ヴェイパーフライからアルファフライ ネクスト%まで。ナイキ厚底シューズの進化を振り返る

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現在、最も注目されているランニングシューズといえばナイキの厚底シューズでしょう。2017年のマラソン2時間切りへ挑戦したBreaking 2 プロジェクトで、エリウド・キプチョゲがヴェイパーフライを履いて2時間00分25秒というタイムを出してから、マラソン界を席巻してきました。

Breaking 2についてはこちら

2017年に初代モデル『ヴェイパーフライ4%』が登場して以来、ヴェイパーフライネクスト%、アルファフライネクスト%と進化。今年3月の東京マラソンではアルファフライネクスト%を着用した大迫傑選手が2時間5分29秒の日本新記録を樹立し、東京五輪マラソン代表へ内定したことも大きな注目を浴びました。

今回はナイキの厚底シューズがどのような進化を辿ってきたのか、新作ランニングシューズに至るまでの変遷を紹介していきます。

「ヴェイパーフライがどのようなシューズかよく分からない」という方も、この記事を読めば理解も深まりますので、ぜひ読み進めてみてくださいね。

エリート選手の多くが着用する『ヴェイパーフライ』

人類で初めて“2時間の壁”を突破

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©︎2019 Thomas Lovelock(INEOS 1:59 Challenge)

2017年のBreaking2プロジェクトでは、エリウド・キプチョゲ選手が非公認記録ながら2時間00分25秒というタイムでフルマラソンを走り、人類初の2時間切りまで25秒に迫りました。その際にキプチョゲが履いていたシューズがヴェイパーフライシリーズのエリート向けモデル『ヴェイパーフライ エリート』でした。

ヴェイパーフライシリーズの登場により、マラソンはより高速化。

2018年のベルリンマラソンでは、キプチョゲがそれまでのマラソン世界記録を1分18秒更新。2時間1分38秒という新記録を打ち立てました。2019年には、ロンドンマラソンで2時間2分37秒と自身の持つ世界記録に次ぐ2位の記録を残し、Breaking2の第2弾となる“INEOS 1:59 Challenge”では1時間59分40秒というタイムを出し、人類で初めて2時間切りの壁を破りました。

また、その翌日に開催されたシカゴマラソンでは女子選手のブリジット・コスゲイがヴェイパーフライネクスト%を着用して走り、16年ぶりに女子マラソン世界記録を更新しました。

日本でも2018年に設楽悠太選手(2時間6分11秒)、大迫傑選手(2時間5分50秒※当時)が立て続けにマラソン日本記録を更新。2人が着用していたシューズは、ともにヴェイパーフライ4%(大迫はヴェイパーフライ4% フライニットを着用)でした。

そして、2020年には女子ハーフマラソンで、以前からヴェイパーフライネクスト%を着用してきた新谷仁美選手が日本記録を大幅に更新。

84.7%がナイキの厚底シューズを着用した2020年の箱根駅伝

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©︎ 2020 Y. Nishikata

2020年1月2日、3日に行われた第96回箱根駅伝は、ヴェイパーフライが大きく注目されました。2019年から“ピンクシューズ”として注目されていたヴェイパーフライ ネクスト%を着用する選手が続出。1区から超高速レースの展開となり、全10区間中7区間で区間新記録が誕生。出走した全210名の選手のうち、実に177名(84.7%)の選手がナイキの厚底シューズを着用。各区間の上位3名(計30名)のうち28名(93.3%)がナイキ着用だったという統計も出ています。

ヴェイパーフライ4%の登場が常識を覆した

レーシングシューズの常識を覆した厚底シューズ

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ナイキの厚底シューズが登場する以前のレース用シューズといえば、できるだけクッションを薄くし、反発性を高めた(クッション性と反発性が相対するため)レーシングフラットと呼ばれる薄底シューズが主流でした。

ナイキはヴェイパーフライシリーズの開発のため、多くのアスリートから意見を聞くなかで、シューズの軽さや反発性とともにクッショニングに対する要望がとくに強かったそう。選手生命を長く維持するために脚への負担を軽くできるシューズが求められていました。

クッション性反発性の両立は従来の素材では実現が難しいものでしたが、それを解決したのが航空宇宙産業で使う特殊素材を使用した『ズームX』フォーム。このズームX』フォームが、長距離ランナーにとっては大きなメリットになりました。

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2017年に登場したヴェイパーフライ4%

ヴェイパーフライ4%が生んだ『厚底ブーム』

2017年7月に発売されたヴェイパーフライシリーズの1作目となる『ヴェイパーフライ 4%』。厚底のズームXフォームによるクッション性があり、ミッドソールに内蔵されたカーボンプレートにより高い反発を生み出す画期的なシューズです。

シューズの名称に付いている“4%”とは、それまでナイキが展開していた最速のレーシングシューズ『ズーム ストリーク 6』よりも、ランニング効率が平均で4%改善されたことから名付けられたものでした。ランニング効率を改善するという意味では、短い距離よりもフルマラソンなどの長い距離を走るマラソンランナー向けといえるモデルです。

当時、ヴェイパーフライ4%は、品薄のためにオークションサイトで高値取引されたり、ヴェイパーフライを購入できなかったランナーが廉価版のズームフライを購入したり、『厚底ブーム』が巻き起こりました。

シリーズ2作目『ヴェイパーフライ4%フライニット』

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出典:nike.com

2018年9月には、アッパーがメッシュ素材からフライニット素材へと変更された『ヴェイパーフライ4% フライニット』が登場。

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話題の厚底シューズ『ヴェイパーフライ4% フライニット』

 

初代ヴェイパーフライ4%では、アッパーに厚さがなかった分、足幅が細いランナーにとってはゆるく感じる部分もありましたが、ニットアッパーに変更されフィット感が向上しました。

ヴェイパーフライ4%フライニットのレビュー

『ヴェイパーフライネクスト%』のレビュー

さらに厚底になったヴェイパーフライネクスト%

2019年にはヴェイパーフライシリーズ3作目となる『ヴェイパーフライネクスト%』が登場。ヴェイパーフライ4%と比較して前足部で4mm、踵部で1mm厚さが増し、ズームXフォームが約15%増え、シューズデザインも大幅に変更されました。フォームの量が増え、さらに厚底に変わったのは、より多くのエネルギーリターンを獲得するためでした。

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ヴェイパーフライ ネクスト%は、史上最軽量のデザインでスピードを実感できるシューズ

 

一方、シューズの厚みを増すほど安定性が崩れるため、前足部のミッドソールはヴェイパーフライ4%よりも幅が広くなっています。

 

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また、アッパーが『ヴェイパーウィーブ』と呼ばれる新素材に変更されたことも、ヴェイパーフライネクスト%の大きな特徴。ヴェイパーウィーブを採用したのは、シューズの軽量化のため。ズームXフォームが15%増量されているにもかかわらず、ヴェイパーフライ4%フライニットと同じ重量を保っています。

アウトソールのデザインも大幅に変更され、雨天時にもアスファルトの路面で滑ることがないよう、溝が深い構造になりました。たとえば、横断歩道のような塗料が塗られた滑りやすい場所でも、高いグリップ力を発揮するといいます。

EKIDEN PACKなど新カラー登場

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2019年9月には新しく『ピンクブラスト』と呼ばれる、ピンクカラーのモデルが登場。秋に入るとマラソンや駅伝などで、多くのランナーがピンクのヴェイパーフライネクスト%を着用して走る様子が目立ちました。さらに、2019年12月には、日本の駅伝ランナーからインスピレーションを得た『EKIDEN PACK』のヴェイパーフライネクスト%が登場(同時に発売されたアパレルは日本限定発売)。エメラルドグリーンとオレンジの2色が配色されたモデル。後ほどご紹介するアルファフライ ネクスト%のファーストカラーと同じ黒と緑の2色でデザインされた新カラーも登場しカラーリングが豊富になりました。4月7日にナイキアプリ上で先行発売、4月9日から一般の店舗等でも販売が開始されましたが、ナイキオンラインストアでは早くも多くのサイズが売り切れ、その注目度の大きさと人気が窺えます。

こちらの記事では、シューズアドバイザーの藤原さんにヴェイパーフライ ネクスト%のレビューをしていただいています。気になっている方はぜひ読んでみてくださいね!

■ヴェイパーフライネクスト%のレビュー

■新カラーの登場について

ナイキ厚底シューズ最新作『アルファフライ ネクスト%』

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ナイキエアズームアルファフライネクスト%はヴェイパーフライ シリーズから学びを得て、さらなる進化を遂げたソールの厚さが39.5mmの “スーパー厚底シューズ”。キプチョゲが去年の10月にウィーンで非公式ながら2時間の壁を破った際に履いていたのが『アルファフライ ネクスト%』のプロトタイプでした。

アルファフライ ネクスト%には、2つの新しい ナイキ ズーム エア ポッドが搭載され、改良された “カーボン ファイバー プレート” と増量した “ズームX フォーム”により、さらなるエネルギーリターン、クッショニング、安定性が高められています。冒頭でもお伝えしましたが、今年3月に開催された東京マラソンでは大迫傑がアルファフライ ネクスト%を着用し、2時間5分29秒のタイムでマラソン日本新記録を樹立。

その東京マラソンが開催された3月1日、ナイキはアルファフライ ネクスト%をナイキのNRCアプリ上で先行販売。購入可能な人が限定され、その条件は過去2年間にフルマラソンで男性は2時間50分以内、女性は3時間40分以内で走った記録がNRCアプリ内にあるランナーのみが購入権を得られる形でした。さらに購入は先着順で、そのタイムをクリアしているからといって必ずしも購入できるわけではなく、大きな注目を浴びるきっかけともなりました。

また、アルファフライ ネクスト%は世界陸連が先日発表した「反発性の高い内蔵プレートは1枚まで」「靴底の厚さは40mm以下」「4月30日以降、競技会で履くには4カ月以上の市販期間が必要」「全選手が入手可能」といった公式レースにおけるシューズ規定を満たしたシューズ。

日本では今年夏に発売予定です。

ヴェイパーフライシリーズのサイズ感や耐久性

ここまで、ナイキのヴェイパーフライ、アルファフライ ネクスト%の各モデルについて特徴をご紹介してきましたが、実際に履いてみたサイズ感や耐久性はどうなのでしょう。

ヴェイパーフライのサイズ感

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初代のヴェイパーフライ4%はメッシュ素材で作られていて、やや薄いため、足幅が細いランナーには大きく感じたかもしれません。その点、アッパー素材がフライニットへと変更された『ヴェイパーフライ4%フライニット』は、初代ヴェイパーフライ4%よりも小さい印象を受けるかもしれません。

しかし、ニットアッパーは伸びるため、ややタイトに作る必要があります。シューズの使用感を考慮したサイズになっているので、必要以上にサイズアップしなくても大丈夫です。

アッパー素材が『ヴェイパーウィーブ』に変更されたヴェイパーフライネクスト%は、フィット感が向上しました。また、前足部に適度な膨らみがあり、足の幅が広いランナーにもフィットする作りに変わっています。

シューズの耐久性

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革新的なシューズとして登場したヴェイパーフライシリーズですが、弱点もあります。それは、シューズの耐久性。ミッドソールに配置されたカーボンプレートの劣化により、ヴェイパーフライ4%では走行距離160kmで寿命を迎えるといいます。また、フルモデルチェンジを果たしたヴェイパーフライネクスト%でも、その耐久性は走行距離300kmと言われています。

普段のトレーニングには、ヴェイパーフライシリーズの廉価版である『ズームフライ』シリーズやミッドソールにズームXフォームを使用している『ペガサスターボ』シリーズやカーボンプレートが搭載されている『ズームフライ』シリーズをオススメします。また、ヴェイパーフライを使うにはちょっと…という方のためにもオススメの厚底シューズの特徴を紹介します。

トレーニングにオススメシューズ①|ズームペガサスターボ2

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出典: nike.com

ヴェイパーフライ同様、ズームXフォームを使用したペガサスターボ。ペガサスターボはカーボンプレートがなく、耐久性が高くなっています。ズームXにより、軽量かつ優れたエネルギーリターンを得られるシューズ。また、接地したときのクセがないことも特徴です。クッショニングと反発性が両立され、長い距離の練習に向いています。最新作のペガサスターボ2はアッパーが一新、薄く半透明の素材に変更され、軽量かつ通気性が高くなりました。

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ジョギングよりは強度の高いトレーニングに使うシューズを探している、というランナーにおすすめのシューズ

■ペガサスターボの詳しい解説はこちらから

トレーニングにオススメシューズ②|ズームフライ3

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出典: nike.com

トレーニング兼レーシングモデルとして使えるズームフライフライニットが進化して、接地の際のクセがなくなり、より多くのランナーが履きやすくなったズームフライ3。アッパー素材にはヴェイパーフライネクスト%と同じく“ヴェイパーウィーブ”が使われていて、ニットアッパーが雨で濡れると重くなってしまう弱点を改善しています。

「ヴェイパーフライを履くほどのレベルではない…」というランナーや「ヴェイパーフライは高くて手が届かない」というランナーにとっても手が届きやすいモデルですよね。

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ズームフライはしっかりとした耐久性を備えたシューズ。トレーニングシューズ・レーシングシューズとしても活躍します

■ズームフライ3のレビューはこちらから

そして、この2つのモデル以外も知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください!

 

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今回は様々な視点から、ナイキ厚底ランニングシューズについてご紹介してきました。

多くの注目を集めてきたナイキの厚底シューズ『ヴェイパーフライ』。レースで自己ベストを狙う勝負シューズを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

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