『ヴェイパー』もいいけど、NIKE『フリーラン 』の魅力を再確認【 シューズアドバイザー藤原のレビュー】
Jan 29, 2019 / SHOES
Apr 26, 2019 Updated
みなさん、こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。
本年もよろしくお願いします。2019年最初の投稿は、ナイキ『フリーラン2018』です。
2018年、ナイキは『ズームヴェイパーフライ4%』でランナーの興味と話題を独占。2019年に入っても、箱根駅伝選手のシューズシェアが40%を越えするなど、その勢いは衰えることがありません。
「レースで速く走りたい」という思いから、ランナーの興味がシューズに向かうのは理解できます。しかし、レースでシューズを使いこなし、力を発揮するためには、まず、コンディショニングを高めることが大切です。故障が続いたり、思ったように走れていないという状況であれば、なおのことです。
コンディショニングという点で言えば、トレーニング量や負荷が増えると、当然、相応のサポートが必要になります。状況に応じて、トレーニングシューズとレーシングシューズと履き分けるのは必要なことです。
それプラス、ひとつまみの塩のような隠し味でコンディションをあげていく。そのためのアイテムがナイキの『フリーラン』です。ご紹介する『ナイキフリーラン2018』はコンディションをあげるために、手にしてほしいシューズ です。
「私は『ズームペガサス35』、トレーニングシューズを履いて気をつけてるよ!」
という人はもちろん、それも大切なので続けましょう。
ただ、盲目的にトレーニングシューズを履いているだけでは、実際にサポートされているのか、敏感に感じられていない場合がほとんどです。体は簡単に感覚に慣れてしまうので、それが受け身になったとき、体のクセや筋バランスの左右差を受け入れてしまい、怪我やスランプといったトラブルに繋がってしまいます。
そんなときは、体に対する“変化”が必要です。もっと地面を感じてみるのも一つでしょう。トレーニングシューズのありがたさを感じることができます。
スタンフォード大の学生が裸足で芝生の上をクーリングダウンを行う習慣によって故障が少ないということをヒントに、2004年に誕生したフリーランは、足の動きに呼応するように、シューズ全体がフレキシブルに動いてくれる独特な構造になっています。ベアフットシューズ(裸足)と言われる、元祖のシューズになります。
アウトソールやミッドソールに深い切れ込み、フレックスグルーブが無数にあり、自由に動くシューズです。ミッドソールのスタックハイト(厚み)は、ヒール23mm、フォアフット15mmで、これは、ナイキの代表的なレーシングシューズ、ストリーク6の26mm、 18mmとほとんど変わらない薄いソールです。
つまり、薄底+スーパーフレキシブルなソールのセットで、十分に地面を感じることができるようになっています。まさにベアフットなわけです。
加えて、アッパーもその機能を邪魔しない構造になっています。
サーキュラーニットアッパーは、切れ込みが入って収縮性があり、ソフトな足当たりでまるでソックスのよう。ダイナミックヒールフィットシステムは、トレーニングシューズ自体が支えようとするサポートではなく、足と密着して、ソールの揺れと行動を共にして、それをより効果的にしています。ちなみに、フリーランは、お馴染みのフライニット(編み込み)アッパーのバーションもあり、足回りが気になる人はそちらが断然オススメです。
そして、体と一緒に動く機能を持つフリーにとって、低クッション・低サポートであることはある種の宿命。結局、低サポートのシューズは、衝撃吸収、重心移動、接地時間の短縮など、本来シューズが補ってくれることを、自分自身でやることになるからです。つまり、低サポート構造が、自分自身が本来持っている体の機能=サポートを引き出すことになるのです。
クッションがなければ、自分でクッションを作り出すしかないですし、当たり前のようにある前方へのガイダンスも自分でするしかありませんからね。いわば、フリーを履いて、車の運転がもっと上手になり、そして車を、スポーツカーであるヴェイパーを乗りこなす、そんなイメージです。
また、トレーニングシューズより負荷がかかる構造であるフリーランを、強度・場所を工夫することで、足を鍛えたり、ほぐしたり、することになります。足裏にやや刺激が必要なローアーチ(扁平足)の方や、アーチが硬く疲れやすいハイアーチの方のほぐしに、とても効果的だと言えるでしょう。
さらに、その発想を、もっとうまく利用すれば、短い時間で高い負荷を与えるいわゆる『時短トレーニング』にもなります。
忙しい現代人、フリーランがいいからといって、そのためのトレーニング時間を新たに捻出することは難しいですよね。ですから、これを普段ばきに使って、足をほぐしたり、鍛えたり、はたまた通勤時間で履き分けてトレーニングの代わりにしたり。トレーニングの行き帰りに履いて、トレーニング前後に変化を与えるなんて使い方もオススメです。
負荷がかかるシューズ だけに、低負荷、短時間で使う原則とともに、逆に、頻度は高くして、多用して感覚を高めるシューズ とも言えますね。ランニングでメインで使うというより、もう1足あるととても効果的。そんな存在だと思ってください。
ヴェイパー、ヴェイパーと言ってないで、フリー未経験のランナーは、フリーを履いてドライビングテクニックを身につけましょう。
【参考記事】
■ズームフライフライニット
■ズームヴェイパーフライ4%フライニット
■ペガサス35