進化する新進気鋭ブランド「スケッチャーズ」の4代目マックスロード
Mar 19, 2020 / SHOES
Mar 19, 2020 Updated
みなさん、こんにちは。F・Shokai 藤原商会代表 シューズアドバイザー藤原です。
今回は、スケッチャーズ『ゴーランマックスロード4ハイパー(GORUN MaxRoad4 Hyper)』のご紹介です。
新進気鋭なブランドでは、開発・展開のスピード感があり、出るたびにコンセプトすらガラッと変わってしまうのようなことがあります。最近のスケッチャーズのランニングシューズもその代表例で、進化のスピードが半端なく早い印象です。このシューズも、1〜3代目までとは、全く違うモデルになっています。ということで、4代目のマックスロードも、新しくリリースされる品番、ぐらいに考えた方がいいですね。
ロード用のマックスクッションのシューズ
このシューズ、”マックスロード”というシューズ名からも分かるように、ロード用のマックスクッションシューズです。全体的に刷新されましたが、大きなコンセプトは変わっていません。スケッチャーズ独自技術『HYPER BURST(ハイパーバースト)』を搭載したデイリートレーナー(トレーニングシューズ)で、これはお世辞抜きで履いてないような “軽量感” と、地面に接地していないような “レスポンシブな(反応の良い)” シューズです。
あのホカ オネオネ の『クリフトン』は、わたしの『無人島に持っていきたいシューズ』のひとつですが、そのクリフトンに勝るとも劣らない、粘っこいクッション感で、とてもレスポンシブ。これはヤバイです。
『HYPER BURST(ハイパーバースト)』は、素材自体の革新ではなく、従来素材のEVAを使った技術革新。基本的にEVAは、70年代から利用されている素材なのですが、その成形のプロセスが異なります。CO2を圧力下で加熱し、超臨界流体にして、フォームを整える技術。EVAより軽くて、反発があり、耐久性もある、といった3拍子揃った素材なのです。
この科学的なバックグランドは伊達ではなく……本当に地面に接地していないような、軽量感とクッションを感じます。とにかく軽い。足が疲労しているのに、わざわざ硬いロードを走りたくなる、そんなシューズですね。
ゆりかご構造、Mストライクがスムーズな足抜けに貢献
レスドロップであることで、ランナーの足首の不要な動作が減る、という研究もあり、このシューズもレスドロップ、船底ソールです。ミッドソールは極端に真ん中付近が出っぱった構造になっていて、曲解すると、“踵”が真ん中にあるような構造、『Mストライク構造』になっています。
シューズを履くと、踵が下がるぐらいに後ろに揺れる感じが分かると思います。ゆりかご構造とセットで、足が接地する時間を最小限にする、転がるような足抜けが特徴。踵から着地して、つま先から抜ける時間を最小限にする、踵から着いたつもりが、すでに船底をつたって、足抜けにスムーズに向かっていく、そんな感覚です。
強いヒール接地の傾向があるランナーで、前傾姿勢がうまくいかなかったり、膝が痛くなったり、接地時間が長くなることで、不調やタイムの伸び悩みを感じている方は、是非このようなシューズに身を任せてみると、色々発見があると思います。
ソックライクフィットのニットアッパーにはややクセがあり
コンプレッションニットアッパーと、ハイパーバーストミッドソールのコラボレーションも、ソール単体の構造に相乗効果ありです。
アッパーは、ソックライクフィット(ソックスのような足入れ)で、伸びてほしい場所は伸び、しっかり締めたい場所は伸び過ぎない、そんな足幅を選ばない柔軟性があります。この手のアッパーのフィット感は、やはりとても良いです。
ただ、少しクセがあるもの事実。特に、マックスロードは足首まわりの履き口が、やや高さがあるように感じます。内外のくるぶしあたりが当たってしまうことも。ソックスは、アンクルぐらいのシューズから見ないような長さのものより、くるぶしを覆うくらいの、やや長めのものを合わせると良いでしょう。
サイズは、少し大きめのサイズ感です。ヒール部分は、カップがありますが最小限で、全体のニット構造から強い固定感があるわけではありません。甲まわりがフィットするサイズを選ばないと、ヒール部分の適度な固定感を感じられず、この良質なクッションを本当の意味で楽しめないので、ご注意を。
マックスロード……やっぱりロードが似合う
基本的には、ニュートラルのデイリートレーナー(トレーニングシューズ)です。ランナーを選ばないスタイルですから、『はじめての1足』でもいいですし、『いつもの決まった定番シューズ』というように、使う人によって変化を持たせることのできるシューズ。見た目とは裏腹に、意外にしっかりとしたトレーナーです。
上述しましたが、怪我、タイムの伸び悩みなどは、自分自身の動作不良(フォームの課題)が原因となっていることも。そういった課題感を持っているランナーにも是非、挑戦してほしいタイプのシューズです。
アシックスやブルックス、ナイキ、ミズノのような、多くのランナーが慣れている、オーソドックスな坂道のソール構造を軸にしたブランドのシューズと履き分けるのも、良いアイディアです。
その名の通り、ロードで使うのも定番、何しろとても快適なクッションですから。ペースに関わらず、LSDなどのロングランにも、とても相性がいいですね。また、はじめてのスケッチャーズの1足としても、このブランドを象徴したモデルなので、とてもオススメです。
スケッチャーズマックスロード4 ハイパー
・価格:15,500円(税別)
・ドロップ:6mm
・重量:約238g (27.0cm)
・アッパー:コンプレッションニットアッパーが、ソックスのような足入れ、高い通気性を実現。ゾーン別に収縮し、伸びてほしい場所、しっかりホールドしてほしい場所のメリハリを実感できます。
・ミッドソール:ハイパーバーストが高い軽量性と復元力の高さからくる反応性を演出。“Mストライク”形状が、スムーズな足抜けをサポートします。
・アウトソール:戦略的配置によるラバーパットによって、軽量性、耐久性、グリップ性のバランス感が感じられ、ラバーマット自体のクッション性により、Mストライク構造をより効果的に感じることができます。
(写真 Eliana)