ランニングマシンVSトレイルランニング、走りの「楽園」に連れていくのはどっち?
Apr 10, 2017 / COLUMN
Oct 20, 2017 Updated
マラソンブームや登山ブームの影響を受けてか、昨今、トレイルランニング(以下トレラン)への注目が高まっています。株式会社日本能率協会総合研究所が行った「トレイルランニングに関する実態調査」(2014年)によると、現在のトレラン参加人口は約20万人に到達したとのこと。また潜在人口に関しては70万人とされています。
とはいえ、専門的なシューズやリュックが必要で、マラソンよりも体への負担のありそうなトレイルランニングに対して、何だか敷居が高い競技と感じている人も少なくないのでは。
健康への意識が高まる昨今、スポーツジムに会員登録し、ランニングマシンやエアロバイクに乗ってトレーニングに励む人は少なくありません。今回は、そんなスポーツジムの会員者と、実際にトレイルランニングをしている人の違いについて見ていきたいと思います。
ランニングマシンでの走り方は
まずは、スポーツジム。皆さんはどのようにジムでのランニングに取り組んでいるのでしょうか。お気に入りのウエアに身を包み、イヤホンを装着。ランニング用プレイリストをスタートさせ、ランニングマシンの上に。いつもの時間・距離より少し多めに設定し、走りだす。左、右、左、右……徐々にスピードを上げて走り出します。
そのペースに慣れてきたら、少し傾斜をつけてみたり、また、スピードをあげてみたりと、自分の体をいじめます。20分も走ると汗がじんわり出て来るでしょう。予定していた時間・距離を達成すれば、クールダウン。気分も体もスッキリ。少しの休憩をはさんで、他のトレーニングに挑むでしょう。
以上がランニングマシンでの動きとなります。
トレイルランニングでの走り方は
一方のトレイルランニングはどんな感じになるのでしょうか。先日、筆者は第19回青梅高水山トレイルランに参加してきたので、まずはそれをふり返りたいと思います。
トレランのアイテムは随分と華やかです。綺麗な色のシューズが揃って気分が少しアガります。
レースが始まると一斉にランナーが飛び出します。マラソンほど広い道を確保できないトレランレースでは、どの位置で走るかが大切。周囲のペースをブレーキするような走り方をしてはいけませんし、無理にスピードアップしようにも、細い道にランナーが溢れかえっているので、それは叶いません。周囲のペースを確認しながら、自分がどうすべきかを常に考えておく必要があるのです。
そうこうするうちに平坦な道が終わり、上り坂がランナーを迎えます。まだまだ走り出しばかりなので、心と体に余裕があっても、心拍数が徐々にあがっていくことを感じます。かと、思えばすぐに下り坂。ここで調子にのってペースを上げてしまうと、次に待っている上り坂で痛い目にあってしまいます。
下り坂はトレランの面白いポイントでもあります。木の根っこに注意しながら、次に自分の足をどこに出すべきかを考えます。同様に、岩があったり、水たまりがあったりと、どこをどう飛び越えて、また、小刻みにステップを踏みながら次の展開を常にイメージ。滑りそうな粘土質の道では、より一層の注意が必要です。
カーブを走るのもまた楽しい。体を斜めに入れて、上半身の体重を移動させる。ジグザグと続くカーブに体をあわせて走りきる。まるで自分が野生にかえったかのように、本能的に動くのです。泥がはねても気にしない。多少の汚れやすり傷なんて勲章だと思えてくるほどです。
ついスピードにのって無我夢中で山の中を走る。そして再び現れる上り坂。心拍数は急上昇、大腿四頭筋に疲労を感じ、体が重たくなるのを感じるのです。息がきれ、終わりなき上り坂に愕然とすることも。周囲を見わたせば、誰も余裕をもってはいません。皆、同じように辛く、同じように前に進もうとするのです。数メートル上るにも大変な上り坂もあるので、常に頭は冷静でないとゴールするまでに足を使い切ってしまいます。
そんな上り坂や下り坂を繰り返し走り抜け、時折、木の間から見える下界の姿に心を休め、周囲のランナーや自分の記録を勝負するのがトレイルランニングなのです。
フィットネスクラブのランニングマシンと比べて、トレイルランニングは走っている間に体だけでなく、頭も随分と使っていることがわかりますよね。冷静に頭で考えながら走ることもありますし、野生の勘を頼りに、体をまかせることもあります。フィットネスクラブでのランニングマシンで走る時間を、トレイルランニングに置き換えてみると、その間にどれだけ頭を使ったかがわかるでしょう。
もちろん、どちらも達成感があるのは間違いありません。ただ、どちらが走りの楽園に近いかと言えば……筆者はトレイルランニングに一票を入れたいと思います。
ドロドロに汚れたシューズもまた、嬉しかったりするのです。継走で走りやすい季節となりました。そんな時にはトレイルランニングに挑戦するのも良いかもしれませんね。もちろん、毎週末、トレイルランニングができる人は限られているので、その間はランニングマシンでトレーニングすることもオススメです。
ランニングマシンと屋外ランの比較はこちら
トレイルランニングの世界選手権代表に内定した荒木宏太さんにトレイルの魅力を伺いました。