「まずは鬼塚翔太」駅伝・東海大に集まった黄金世代

第31回出雲駅伝、4番目の順位でゴールしたのは優勝候補の一つ東海大。今年度の箱根駅伝で優勝を飾り、『学生駅伝3冠』を掲げていた同校ですが、キャプテンかつエースの館澤亨次を欠き結果を残せず。優勝はご存知の通り国学院大に。トップから離れること37秒でスタートした6区・土方英和が、残り700mで駒澤大・中村大聖(4年)を逆転する素晴らしい走りを見せました。

そもそも土方は関東インカレでも好成績。2部ハーフで初めての優勝をしており、その勢いのまま出雲に出走。国学院大は、4年生の浦野雄平も2部5000mで6位、2部1万mで4位(これらはともに日本人トップ)と調子をあげており、出雲では3区を担当。区間3位だったものの区間新を記録しています。

国学院大の実力は東海大も意識していたことでしょう。次の目標は全日本駅伝。ここで黄金世代と呼ばれる東海大の選手たちはどのようなレースをするのか、注目が集まります。

東海大の黄金世代。

なぜ彼らはそう称されるのか。時計の針を2016年4月に戻すと、その年の新入生に、22名もの全国区の選手が集まったのです。「4年後の東海大はすごいことになる」、こう噂が広まるにはそう時間が必要ありませんでした。2019年の箱根駅伝の総合優勝時には、このうち9人がメンバーに選出され、7人が箱根を走って優勝に貢献。

阪口竜平(洛南)、關颯人(佐久長聖)、鬼塚翔太(大牟田)、館澤亨次(埼玉栄)、羽生拓矢(八千代松蔭)、西川雄一朗(須磨学園)、郡司陽大(那須拓陽)……。駅伝ファンにとっては錚々たるメンバーが今の東海大を引っ張っているのです。

卒業後、小松陽平は実業団のプレス工業(神奈川)入りすること内定。そのほかにも、館沢、鬼塚、松尾はDeNAへ。阪口、關はSGHへ、郡司は小森コーポレーションへと進むことが決まっています。多くのメンバーが走ることを続けるよう。

さて、この黄金世代、なぜ、こんなにも名選手らが一気に東海大に入学したのでしょうか。2016年の箱根駅伝は青山学院大が完全優勝を達成した年で、東海大は5位に甘んじていました。2015年度は6位です。他にも有力な大学はあったはずです。

キーになったのは鬼塚。大牟田高校1年時にインターハイの5000mに出場した鬼塚は、全国高校駅伝でアンカーを担当。僅差で負けてしまいましたが2位に入り注目されるように。3年時は、エース区間である1区で区間4位を記録しました。東海大強化のため両角監督は、まず鬼塚に狙いを定めたと、書籍『箱根奪取』で紹介されています。

「彼がボウリングのヘッドピンだったからです。彼にそれだけの影響力がありました。鬼塚がうちに来れば、みんな倒れて(来て)くれると思っていました」(同書より)

「「まずは鬼塚翔太」駅伝・東海大に集まった黄金世代」の画像

これは両角監督の言葉。実際に鬼塚が進路を決めたのは他の選手よりも後の方だったようですが、他の選手に影響を与えたのも事実。鬼塚は、大牟田高校の恩師・赤池先生の後押しもあり東海大への進路を決めました。そこから、当初、別の大学を考えていた選手も糸を引くように東海大を意識しだしたのです。館澤もその一人。鬼塚や松尾らが東海大に入ることを聞き、当初考えていた日体大から考えを改めたのです。關もまた鬼塚らと一緒になれることを喜んでいたよう。偶然か必然か、こうやって集まった黄金世代も今や最終学年。そして、『学生駅伝3冠』のうち出雲を落とした状況でもあるのです。

全日本駅伝や箱根駅伝は、長い選手時代の一時期のものかもしれません。ですが、彼らにとっては意識しないことは難しいレースでもあることも事実。「強い選手を集めただけでは勝てない」、何度もこういったヤジを聞いてきた彼らだからこそ、出さなければいけない結果があるのです。

全日本駅伝は11月3日(日)の開催。もう間もなくです。

   
ワニの左手が書いた新着記事
RUNTRIP STORE MORE
RANKING
「COLUMN」の新着記事

CATEGORY