名トレーナーが導入!!強くなるための「攻めの」エネルギー補給

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正月の箱根駅伝で3連覇を達成し、学生駅伝の絶対王者として君臨する青山学院大学。選手たちはレース後、必ずと言っていいほど、〝あるもの〟を口にしています。

何も知らない人からすれば「何をチューチュー吸っているんだ??」となるかもしれませんが、あれは「糖質が多く含まれたゼリー飲料」。箱根駅伝で初優勝した2014年度から取り入れ、通常のポイント練習後にも栄養補給として行っているそうです。結果的にその年から箱根駅伝王座を継続しており、パフォーマンスにおいて一定の効果があることは間違いないでしょう。

では、レース後すぐにエネルギーを補給する効果はどのようなものなのでしょうか。同大学にてこの取り組みをスタートさせた、フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さんの講演会より、その真意を探ってみたいと思います。

※講演会の全容は、こちらの記事でまとめています!

ガソリンタンクを大きくするには〝枯渇〟させた直後の栄養摂取が効果的!

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時間が無くても手軽にエネルギー補給ができることから、糖質が多く含まれたゼリー飲料はアスリートの間で根強い人気を誇っています。中野さんはレース後のエネルギー補給について、スポーツ医学の側面から以下のように語ってくれています。(以降、中野さんコメント抜粋)

走ると、筋肉では「筋グリコーゲン」というものが使われます。筋グリコーゲンは、わかりやすくいうと〝ガソリン〟です。レースで力を使い果たすと、ガソリンが全部無くなってしまいますよね。さらにレースの時は、緊張などでもグリコーゲンは意外にも沢山使われてしまいます。そうなると必要以上に消耗してしまうため、〝ガソリンタンクの大きさ〟が勝負になってくるんです。

そして、ガソリンタンクの大きさを大きくする方法がひとつだけあります。それは〝枯渇〟させること。何かの要素を枯渇させる、完全に無くなった状態を作ってあげると、身体が自動的に蓄えようとする働きが起こります。ガソリンタンクのグリコーゲンを枯渇させた状態にさせると、身体は早く糖質が入ってこないかなと待っているんです。その状態の時に糖質を入れてあげると、一気に吸収されるわけです。そうすると、この人は「極限までタンクを減らす人」だと身体が認識し、タンクを大きくしようとする。結果的にガソリンの貯蔵量が増えるわけです。だからハードな練習後やレース後は1秒でもすぐに糖質を取ることをオススメします。これは日常的な練習の中で行うことが大切なのです。

レース前のカーボローディングは体重増加に注意!

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さらに中野さんは、昔からランナーの間で広く認知されている食事法「カーボローディング」についても言及しています。正しい方法で行わないと、逆にパフォーマンスの低下につながってしまう可能性があるようです。

※カーボローディング・・・走るためのエネルギー源となるグリコーゲンを筋肉中に最大限に蓄積するための特別な食事法。主にレース3日前~数週間前から糖質の摂取量を増やすことを指す。

今まで糖質の事とかを考えず、試合の数週間前になっていきなり摂取しようとすると、確かに(糖質の)吸収は高まります。が、実はパフォーマンスの低下につながる可能性も含んでいるんです。それはなぜかというと、糖質は1グラム身体に入ると3グラム水が吸着します。つまり糖質の量が増えると水分量が増え、体重の増加につながるわけです。

10日前や1週間前くらいからご飯の量を少しずつ増やすとします。徐々に体重も増えていき、それが大会当日ピークに達するとパフォーマンスが下がる場合があるのです。でも人間は体重が上がっていくと、「ホメオスタシス」という恒常性の反応があって、体重を元に戻そうとする反応が起こります。そうするとご飯をたくさん食べていても、体重が下がってくる時期がある。この下がってきたところ(時期)にレースをぶつけると効果が期待できるんです。

 

膨大なエネルギーを消費するランナーにとって、レース前後の栄養補給は非常に重要な役割を果たしています。

「レース直後すぐに糖質を摂取」「レース前の体重コントロール」

これらを徹底しているからこそ、青学大の駅伝チームは結果を出し続けているのでしょう。

カーボローディングは正しい知識が必要になりますが、レース直後のエネルギー補給については市民ランナーの方々にも取り入れることができる内容だと思うので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?

 


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