【メンタル】フルマラソン後半での“失速”対応法 スポーツ精神科医が解説

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順調に走っていたフルマラソン……、ですが、30kmに差し掛かったあたりから急に失速。「想定通りのレースができなかった」と悔やんだ経験は誰にもあるかと思います。今回は、そんなあるあるについて、メンタル面での対応についてご紹介。スポーツを真剣に取り組む方のメンタルケアを行うスポーツ精神科医・岡本浩之先生が、丁寧に解説してくれました。岡本先生は、これまで120人以上のアスリートの治療を担当するなど、メンタルケアの最前線にいながら、2時間48分でフルマラソンを走るランナーでもあります。

失速してしまうのは、思い込みのせい?

フルマラソン後半での失速。練習量を増やしたり、ペース配分に注意したりと、様々な準備をしていてもなお、失速してしまう。この時のランナーのメンタルはどうなっているのか。

「30km以上は体が重たくなる」「体が重いと駄目かもしれない」と、実は思い込んでいる部分があると、岡本先生は指摘します。脳内ではノルアドレナリンが出ている状態で、こうなったらできるだけ早くに気持ちを落ち着かせて、対応したいところ。

例えば、ルーティンの動作を決めておき、それを行うことで気持ちを持ち直すのです(動画では岡本先生のルーティンを紹介)。個々人によってフィットするルーティンは異なりますが、苦しくなった時にルーティンをもっているか否かで、レースの崩れ方が異なります。

また、失速するということは、目標が崩れてしまっている状態とも言えます。目標を持てなくなったランナーの脳内では、ドーパミンがうまく働いてくれません。そこで、ドーパミン分泌のために、できるだけ早いタイミングで、違う目標を設定すると良いでしょう。「次の1kmだけ頑張ってみよう」「抜かれた人についてみる」など、具体的な目標を決めるのです。そうすることでドーパミンが再度分泌して、走りきれる可能性が高まるのです。

そういった対応をしつつも、思い通りにいかないレースはあるもの。ですが、岡本先生が最後にアドバイス。「今日は駄目だったと終わってしまってはいけません。その日のレースのなかで最低限できたこと、肯定感をもって拾ってあげることが、次のレースに安心して参加できるというのです。ポジティブな部分を探すことが大事」とのこと。どんなレースにでもいい気分で終えることが、次に繋がるのです。

最近はレースが軒並み中止や延期になっていますが、レースだけでなく日頃のトレーニングのなかでも、苦しくなったときのルーティーンを決めておくと、最後まで気持ちよく走りきれそうですね。

【合わせて読みたい】
・ランニングを継続するコツ。

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岡本浩之先生

精神科院長。スポーツ精神科医としてアスリートのメンタルケアや運動講座開催、講演、執筆、動画配信を行う、フルマラソンを2時間48分で走る市民ランナー。
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