ランニングを継続するコツ。サブスリー精神科医が伝授【ランニング ×メンタル】

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新年明けましておめでとうございます。

『スポーツ精神科医』として、メンタルの専門家として、アスリートのメンタルケアに取り組んでいる精神科医師の岡本浩之です。

学生時代は陸上競技、中でも中長距離に取り組んでいました。当時はメンタルのコントロールがうまく出来ず、結果を残すことはできませんでしたが、精神科医になり、自分のメンタル強化に向き合ってコントロールする方法を身につけました。その経験を活かして、ランナーの皆さんがメンタルの不調に悩むことなく走ることを楽しめるようにサポートしたいと考え、活動しています。

フルマラソンを2時間48分で走る精神科医が『メンタル』について、連載でお伝えしています。

前回は、『レース中にパニックに陥ったときの対処法』をお伝えしました。

2020年は東京五輪開催ということで、今まで以上にスポーツが注目を集めますね。マラソンや駅伝中継を見て、「ランニングをやってみようかな」という方もいらっしゃるかもしれません。

一方で、昨年も一昨年もランニングに興味を持って始めたけど、なかなか続かなかったという方もいらっしゃるでしょうか。

「最初は頑張っていたけど、段々億劫になった」「体に痛みが出て、走れなくなった」などという話はよく聞きます。気分を新たに、ランニングをしようとお金をかけてランニンググッズを買い揃えたけど、いつしか使わなくなってしまいこんでしまったという話も。

「今年こそはランニングを継続したい」と意気込んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、今年こそランニングを継続するコツをお話しします。

継続するコツは継続可能な計画を立てること

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ランニングを始める(再開する)時に、どれくらいの頻度で練習しようとしていますか?
知らず知らず、無理な練習計画を立てていませんか?

新しい目標が出来ると、脳内ではドーパミンが分泌されます。ドーパミンは意欲や活力に関係する脳内ホルモンです。ドーパミンが分泌されることで意欲的に取り組むことが出来ますが、新しい目標を日々次々に立て続けるのは困難ですよね。ランニングでの目標を明確に認識することが出来ないと、ドーパミンの分泌は低下して意欲的になれません。また、無理に走ることで知らず知らずのうちに過度のストレスホルモンが分泌され、脳にダメージを与えて脳が疲弊。意欲や気力が低下しやすくなります。

ランニングを続けるコツとして一番大事なのは、もの足りなくとも、まずは継続可能な計画を立てることです。

運動不足の身体では予想以上に走れず、がっかりすることが多いです。私は大学で陸上競技をやっていましたが、卒業して1年間何も運動せず、体重が12㎏増えました。久しぶりに走ってみようと、学生時代と同じペースでジョギングをしたら、1㎞も行かずに苦しくなって歩いてしまいました。その現実にショックを受けて、走るのをやめてしまい、その後5年間ほとんど走らなかったという経験があります。

また、病気で走れない時期が長くあってから再び走り出した時には、まず『週1回ランニングウェアに着替えて外に出てみる』→『週1回5分歩く』→『週1回5分歩いて1分走る』などと細かく目標を決めて、少しずつステップアップしていました。

以前は練習で40㎞、50㎞と走っていたので「こんな少ない練習ではダメだ」と焦りましたが、焦って無理をすると、ストレスが大きすぎて反動があることも経験として理解していたので、まずは続けられる練習計画を作りました。

ドーパミンが分泌されて「もっと走りたい、続けたい」と思えるような、そして過度のストレスホルモンが分泌されないような練習計画を立ててみましょう。「ちょっと疲れるけど、まだまだもの足りないな」そう思うくらいのキツさで丁度良いです。

モチベーションアップのために、新しいラングッズを買うというのもドーパミン分泌には良いのですが、モチベーションが下がるたびに新しいグッズを買っていてはお金が足りませんよね。既に、充分ラングッズやウェアを持っている方は、「明日は朝起きたら(仕事が終わったら)このウェアで走ろう! 」というように、ランウェアを着て走る自分をしっかりイメージするようにしてみましょう。

『具体的なイメージが出来る=目標が明確になる』ことでドーパミンの分泌が増えて、走るモチベーションを保ちやすくなります。

また、この時期、駅伝やマラソンが全国各地で行われていますよね 。年末の全国高校駅伝や富士山駅伝(大学女子駅伝)、お正月のニューイヤー駅伝(実業団男子駅伝)、箱根駅伝を毎年観戦し、トップ選手の走りに刺激を受ける方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

テレビを観て、もしくは現地で観戦して、印象に残った走り方をする選手はいませんか? 今はYouTubeなどでも過去の大会の映像が観られるので、それを視聴して、印象に残る走り方をする選手を見つけるのも良いでしょう。そのような選手の走りを見て記憶し、自分がランニングをする時にその選手になりきって走ってみるのも、ドーパミン分泌を促しますよ。私自身も「カッコイイ! 」と思う走り方の選手を見つけると、その走りをイメージしながら走ってみたくなって「早く走りに出かけたいな」とソワソワしています。

ランニングによって、意欲や活力をもたらすドーパミンだけでなく、気分を安定させる『セロトニン』、ひらめきや認知症予防になる『アセチルコリン』、快感や集中力をもたらす『エンドルフィン』、脳の神経細胞の栄養となる『BDNF』などが分泌され、心の状態を良くすることが分かっています。

「ランニングは体だけでなく、心にもいいものだ!」 と認識することも、ランニングを続けるモチベーションの一つになりますね。
続けられそうな目標を立てて、今年こそランニングを継続する参考になれば、うれしく思います。

 

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