実際の距離は15kmではなく19km? 驚きの中スタートした日光国立公園マウンテンランニング大会
Nov 25, 2018 / EVENT
Apr 26, 2019 Updated
そのあたりから第1エイドまではしばらく下りが続く。30kmの部の参加者たちとすれ違うところでもある。こちらは下りなので「お疲れさまです!」「ナイスランです!」などと元気に声をかける余裕があるが、上ってくる30kmの部の猛者たちは、息が荒く、表情も険しい。
無理もない。上りというのもさることながら、彼らはすでに、霜降高原名物の天空回廊と呼ばれる1445段の階段もクリアしてきたのだ。それでも挨拶を返してくれる彼らに、同じランナーとして敬意を払わずにはいられない。
第1エイドまであと少し、というところには水場が。滝からの透き通った水が流れる20mほどの川を渡らなければならない。見た感じは浅く、さほどシューズが濡れそうもなかったが、いざ渡ると中までグッショリに。目が覚めるような冷たさだ。だが、不思議に不快ではなく、むしろ心地良く、気持ちがリフレッシュされた。アイシングの効果もあったのか、ここから第1エイドまでは順調に走れた。
スタートから8㎞くらいの地点に設けられた第1エイドには、ここまで走ってきたランナーの心を癒し、お腹を満たすものがテーブルいっぱいに並べられていた。一番人気は、ひと口サイズのコロッケ。ランナーたちは、美味しいこのコロッケに次々と手を伸ばす。また、疲れている時は甘いものを、ということで、日光を代表する和菓子『きぬの清流』もあり、さらにはオレンジやバナナも。数種類のウォーターサーバーには『飲む点滴』と呼ばれる甘酒もあった。
筆者にとっては、久し振りのトレランの大会。直前2週間の間に2度、16㎞走を行うなどして、一夜漬け的な準備はしてきたものの、後半はザックからカメラを取り出して撮影するゆとりがなかった。
最後のエイドを過ぎると、そこからは3㎞ほどのロード。下りで走りやすいこともあり、残っていた力を振り絞るも、ゴールまであと1㎞くらいのところで待ち構えていたのが、上り下りの階段に石畳。これはこたえた。
それでも東照宮の境内に入ると、沿道の応援に押され、足が前に進む。ありがたい。この日しか走れない世界遺産の地を走っている、という思いも力となり、笑顔でゴールすることができた。
ゴールした瞬間の、体を包み込む達成感――。これもまた1つのご褒美かもしれない。
レースを終えた参加者は、振る舞われた日光の手打ちそばをすすりながら、その味とともに、達成感を味わっていたに違いない。