記録よりも楽しむこと優先? 初マラソンを海外レースに選んだ3人の視点

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かつては海外のマラソン大会というと、ハワイの『ホノルルマラソン』が “ド定番” だった。だが、ランニング人気が定着する中『マラソンメジャーズ』と称される規模の大きな大会をはじめ、世界各国の様々な大会に参加する人が増えているようだ。

とはいえ、海外でのマラソン大会を走ったことがないランナーはまだまだ多い。いろいろな面でハードルの高さを感じているランナーは少なくない。

そこで、旅行会社『エイチ・アイ・エス』で海外マラソン大会のツアーを企画する仕事をされている、日髙未紗子さん、飯田紘貴さん、長谷川航さんに、海外マラソンの魅力や海外ラントリップの楽しみ方について、お話を伺った。

初フルは、海外のほうがモチベーションやテンションが上がる

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日髙さんはスキー、飯田さんはテニス、長谷川さんはサッカーと、3人とも学生時代は本格的にスポーツに打ち込んでいた。現在は、ツアーに参加したお客さんの気持ちに寄り添う目的もあり、何度も海外の大会で走っているが、学生時代はマラソンや長い距離のランニングが得意ではなかったと口を揃えた。

日髙 短距離は好きだったんですが、マラソン大会がない高校を選んだくらい、長距離は苦手でしたね。マラソンは持久力がなければ難しい、と思い込んでいたところもありました。
飯田 テニスはコートを走り回りますが、持久走的なトレーニングはしないところが多い。鍛えるのは、もっぱら瞬発力と体幹ですね。テニスに限らず、球技の選手は(ボールを使わずに時間をかけて走る)長距離走にあまりいいイメージを持っていないのでは(笑)。
長谷川 サッカーは常に走っていますが、実際は短い距離の積み重ねなので。合宿で、長い距離を走り込むときは嫌でしたね。

そんな3人の初マラソンは、海外の大会だった。日髙さんは2014年に『ニューヨークシティマラソン』、飯田さんは2015年に『ゴールドコーストマラソン』、長谷川さんは2018年に『ニューヨークシティマラソン』を走った。仕事関連とはいえ、なんとも贅沢な初フルマラソン。これを機に、3人はランナーになっていく。

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日髙 『ニューヨークシティマラソン』は、スタートがマンハッタンから離れているので、途中まで走らないと地下鉄で帰れず、ならば最後まで走ってしまおうと(苦笑)。ただ道路が閉鎖され、途中から戻れないため、ならば最後まで走ってしまおうと(苦笑)。ただ、その年はすごく寒くて、凍えそうになりながらスタートを待ち、これで走りきれるのか……という感じでした。でも、いざ走り出したら、沿道の応援がずっと途切れず。しかも、場所によって応援のスタイルが違うんです。初フルだったので、半分を過ぎたころから足が痛くなりましたが、応援のおかげでアドレナリンが出て、最後まで楽しく走れました。走る前は42.195㎞なんて、途方もない距離でしたが、その長さを全く感じず。もしかすると、初フルは海外のほうがモチベーションやテンションが高まる分、完走しやすいかもしれませんね。

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長谷川 僕も、日高と同様に初フルは『ニューヨークシティマラソン』。本当に応援、声援がものすごくて、気が付いたらゴールしていました。ブルックリン橋を下りたあたりでは、応援の人に囲まれて走る感じで、ちょっとしたヒーロー気分も味わえました。大会の雰囲気も良かったですね。警備体制はかなり厳重ですが、警備の人も大会を楽しんでいて、それが良い空気を作っていたのが印象的でした。
飯田 僕は研修で『ゴールドコーストマラソン』を走りました。ゴールドコーストマラソンは、毎年7月に行われるオススメの大会の1つ。費用は、早期割引期間で10万円を切る価格。比較的お手頃で、コースはフラットで走りやすいし、街の雰囲気も海風を感じる “サーファーズパラダイス” という感じがとても良いんです。ただ、当時はまるで余裕がなく……走った後はもうボロボロでしたね(笑)。もう2度と走るまい、と思ったのですが、帰国したらまた走りたくなって。友達とトレーニングをしているうちに、目標に向けて走る楽しさにハマり、現在の部署に希望して異動してきました。

日本ではあまり知られていない現地で人気の大会がたくさんある

様々な海外マラソンツアーを企画し、スタッフとしてツアー参加者を支えている、日髙さん・飯田さん・長谷川さん。これまで様々な海外の大会を経験してきた3人によると、現地では有名だが日本人ランナーには知られていない面白い大会がたくさんあるという。

長谷川 たとえば『ロックンロールラスベガスマラソン』ですね。夕方スタートで、ラスベガスのライトアップされた夜の街を走るのですが、沿道でロックのバンドの演奏があるなど、とても華やか。フルは制限時間が5時間と厳しめですが、ハーフは4時間なので、初心者の方でも雰囲気を満喫しながら余裕を持って走れます。
飯田 海外だと “ハーフ” の大会が人気なんです。ニューヨークは『ニューヨークシティマラソン』があまりにも人気ですが、実は現地では『ニューヨークシティハーフマラソン』や『ブルックリンハーフマラソン』の人気も高く、参加者も2万人程度と規模も大きい。それで弊社では『ニューヨークシティハーフマラソン』や『ブルックリンハーフマラソン』のツアーを企画しました。海外でフルはちょっと……という方も、ハーフなら参加しやすいと思います。

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日髙 ハーフの大会でわざわざ海外に行くのは……と、思われる方もいるでしょうが、距離が短いほうが、気楽に楽しめるし、走った後に観光などをするにも余裕が持てます。
飯田 『ロサンゼルスマラソン』も日本人参加者はまだ多くないですが、魅力的な大会です。ドジャースタジアムから出発して、ハリウッド、チャイニーズシアター、ビバリーヒルズなど、お馴染みの名所がコースに織り込まれていて、ロスを満喫できますよ。

日髙 世界中、どこにでもマラソン大会があります。ワインを飲みながら走る『メドックマラソン』や、最高級ワインと白トリュフが楽しめるイタリアの『バルバレスコマラソン』など、個性豊かな大会も。何人かでワイワイと楽しみたい! という方には、ハワイの『ホノルル駅伝&ミュージック2020 』というグループで参加できる駅伝大会もあります。

ランニング文化の違いを感じるのも楽しみの1つに

数多くの海外の大会を見てきた3人は、日本とのランニング文化の差を感じることもよくあるという。

飯田 『ニューヨークシティマラソン』では、スタートすると、参加者は着ていた防寒用のウェアを柵にかけたりボックスに脱ぎ入れたりして “寄付” していきます 。走ることが世界への貢献になるという文化が根付いているような気がします。
日髙 海外の大会は、日本以上に “街ぐるみ” という印象が強いです。日本だと、地元の人が大会が行われていることを知らない場合もあったりしますが。
長谷川 『ニューヨークシティマラソン』では、ニューヨークの人たちがフィニッシャーをリスペクトしてくれます。大会後に完走メダルを胸にかけていると、「完走したの? 」 と声をかけてくれて。
日髙 東京マラソンを完走してメダルをかけていても、東京ではなかなかないですよね(笑)。海外ランナーは完走したことに誇りを持っていて、ホノルルでは翌日多くのランナーが完走Tシャツを着ています。完走メダルをランナーであることのステータスかのように、とても大事にしている印象があります。
長谷川 海外のランナーは、楽しむのが上手ですね。まず楽しむことを第一にしていますね。日本のランナーは、目標達成や自己実現のために走っている方が多い印象があります。
飯田 また、海外の大会は、非常にエキスポの会場が大きいですね。2時間あってもまわりきれない規模のところも多いです。記念グッズが充実しているので、応援で来られた方も楽しめます。

走るのは異国の地だから、それ相応の備えは不可欠

仕事で海外に行く機会が多い3人は、休みが取れるとプライベートでもよく海外に出かけるそうだ。今後、個人的に走ってみたいところはどこだろうか。

日髙 ニューカレドニアですね。弊社では、去年から『ニューカレドニアマラソン』のツアーが始まりました。とにかく海が美しい。ハワイとはまた違った美しさがある。そんな素敵な海をコースから見ることができるんです。
長谷川 僕は『アンコールワット国際ハーフマラソン』ですね。日の出とともにスタートするんですが、昇ってくる太陽の光に遺跡群が照らされて、とてもきれいで。大会はハーフなので、終わってからゆっくり観光スポットを巡ることもできます。ビールも安いんです(笑)

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飯田 僕が出てみたいのは『台北マラソン』。長期で休まなくても、2泊3日でサクッと行けますからね。アジアの大会は、欧米の大会に比べて気楽に参加できる魅力があります。

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アンコールワットマラソン

海外Runtripの事前の準備

3人の話を聞いているうちに、海外の大会に出てみたい気持ちになった読者もいるだろう。異国の地を走るからには、それ相応の備えが必要になる。

日髙 長時間のフライトや環境の変化で体調を崩す場合もあるので、常備薬は不可欠です。あと、経口補水液など日本のスポーツ飲料を持っていくといいですね。食べ物は、もちろん海外で美味しいものを食べられますが、合わない人もいますので、日本のレトルト食品を用意しておくとベターかもしれません。
飯田 僕は、海外旅行保険に入ることをお勧めしています。海外の大会では日本の保険が適用されないことがほとんどなので、何かあった場合のために。海外では特に、自分の身を自分で守る意識が必要だと思います。
長谷川 海外の大会は、日本の大会のようにエイドに食べるものがあることが少ないので、栄養補給のジェルを持って行ったほうが安心。現地でも入手できますが、味が濃く、口に合わないこともあるので。

海外マラソンに出たいランナーへのメッセージ

最後に、これから海外の大会に出てみたいランナー、そして海外を走ってみたいけど不安があるランナーに、メッセージをお願いした。

日髙 オリンピックは、平和の祭典と言われます。海外のマラソン大会は、海外に行き、海外の選手と触れ合うわけですから、その平和の祭典を1人でもできるわけです。そう考えると、大きな経験ができる場になると思います。
飯田 最近は、これを食べたいから、とか、この場所で写真を撮りたいから、と目的を持って海外を旅行される方が増えています。そういう選択肢の1つに、マラソン大会への参加があってもいいのでは。海外のマラソン大会に参加する旅は、実は出場を決めて、国内で練習しているときから始まっているのだと思います。
長谷川 海外マラソンでは、その大会に出ないと走れない場所があります。開園前のテーマパークとか世界遺産の中とか……通常の観光では見られない景色が見られる “お得感” も味わえる訳です。そうは言っても、海外の大会に出るのは不安という方は、是非エイチ・アイ・エスのランニングクラブである、『R.C.H』(ランニングクラブ・バイ エイチ・アイ・エス)の練習会に参加してみてください。弊社の海外マラソンツアーに参加される方が対象ですが、そうでない方も、1回2千円で参加できます。ヨガや栄養学の座学も行っていますし、海外マラソンの出場経験が豊富なメンバーがたくさんいますので、きっといい体験談が聞けると思います。

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日髙さん・飯田さん・長谷川さんの海外マラソンツアーにおける最大のミッションは、自らが走ることではなく、ツアーに参加したランナーのサポートだ。気持ち良く走ってもらうため、そして、良き思い出にしてもらうため、とことん尽力する。大会に関わる細かい手続きの代行をはじめ、スタート後は現地スタッフとともに、沿道で声援を送る。また、スタート地点付近に大きなテントを張り、ゴール後のメディカルケアなども行っている。

お気に入りの土地で行われる大会に、旅行を兼ねて参加するのが人気になっているそうだ。
次は一歩踏み出して、行き先を海外にしてみてはいかがだろうか。

現在、H.I.S.の旅好き女子のコミュニティ#タビジョ のランニングコミュニティ #タビジョラン 限定ホノルルマラソンツアー も発売中。

今年は思い切って海外Runtripへ出かけよう!!

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