原晋監督「MGC出場者の28人が 箱根ランナー」、青学Wエースの森田・林入部のGMOアスリーツが駅伝参入

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毎年、元旦に行われているニューイヤー(全日本実業団)駅伝。『箱根駅伝』を走ったスター選手が数多く出場することもあり、年々沿道のファンが増えていると聞く。2年前には、陸上実業団選手を主要人物に描いた小説『陸王』が話題を呼んだ。

こうした中、7月24日、『GMOアスリーツ』が、東京・渋谷で記者発表会を行い、駅伝への参入を表明。新進気鋭の陸上男子実業団チームがまず目指すのは、ニューイヤー駅伝への出場、そして初出場初優勝。個人種目であるマラソンでも、チーム競技である駅伝でも『No.1』になることを力強く掲げた。

『GMOアスリーツ』とは、どんなチームなのか?

能力の高い個人が集まれば、チームとしての総合力も高まる

本題に入る前に触れておきたいのが、チームをスポンサードしている『GMO』について。すでにご存知の方も多いと思うが、1995年に創業した『GMO』(GMOインターネットグループ)は、上場企業9社を中心とした全110社からなるインターネットグループ。インターネットのインフラや、広告・メディア事業などを展開している。たとえば、ドメイン事業は国内シェア約9割。パートナーと呼ばれる社員は、6千人近くいる。

ではなぜ、そんなインターネット集団である『GMO』が、スポーツ、陸上長距離を支援するのか? 同社の取締副社長で、『GMOアスリーツ』部長の安田昌史氏はこう話す。

「弊社は創業時より、多くの人の笑顔、感動を創造することを目指してやってきました。これは世界中の人たちに勇気を与えているスポーツに通じるものがあります」

そして「インターネットのNo.1サービスを提供する、という弊社の理念同様に『GMOアスリーツ』は、世界で通用するNo.1陸上長距離チームになるのが目標です」と続けた。

ちなみに安田氏はサブ3.5のランナーで、東京マラソンを3時間23分で完走した記録を持つ。

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挨拶を行う『GMOアスリーツ』部長の安田昌史氏

『GMOアスリーツ』が創部したのは、2016年4月。創部時よりチームを率いているのが、花田勝彦氏だ。早稲田大学在学中は、4年連続で『箱根駅伝』で出場し、3年時には区間賞を獲得するなどの力走で、往路・総合優勝に貢献。ヱスビー食品在籍時には、1996年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪で長距離代表と、現役時代に輝かしい実績を持つ。指導者としても手腕を発揮し、無名だった上武大駅伝部を8年連続で『箱根駅伝』に導いた。

『GMOアスリーツ』が選手6人でスタートした中、花田監督はマラソンを中心に個人の育成に力を入れた。これが花開き、ともに青山学院大出身の橋本崚選手と一色恭志選手が、9月に開催される『MGC』(マラソングランドチャンピオンシップ)の挑戦権を獲得。また、上武大出身の山岸宏貴選手が、10月にドーハで行われる『世界陸上』に出場する。

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駅伝参入への抱負を語る花田勝彦監督

『GMOアスリーツ』は、選手層も厚くなった。今春には、青山学院大の“ダブルエース”として『箱根駅伝』で名を馳せた、森田歩希選手と林奎介選手、さらには東京大卒の “文武両道ランナー” こと近藤秀一選手が加入。さらには、初めての外国人選手となるキプキルイ ビクターコリル選手もケニアからチーム入り。メンバーは10人に。こうした状況を踏まえ、花田監督は駅伝チームとして必要な陣容が整ったと判断した。

「個人だけではなくチームでも『No.1』を目指すべく、所属選手10名が一丸となるチーム競技、『駅伝』に挑戦することになりました」

花田監督は「能力の高い個人が集まれば、チームとしての総合力も高まり、チームを強化することが個人の成長にもつながる」と、『駅伝』参入がもたらす効果に期待している。

選手代表として挨拶した山岸選手は「若いチームですが、『No.1』に向かっていきます。ニューイヤー駅伝では(上武大時代の恩師でもある)花田監督を胴上げしたい」と意気込みを語った。

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選手代表として挨拶する山岸宏貴選手

『GMOアスリーツ』は、前述の7選手の他、渡邉利典選手(青山学院大)、倉田翔平選手(上武大)、そして『箱根駅伝』で3年連続8区・区間賞の下田裕太選手(青山学院大)が、メンバーである。

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花田勝彦監督と『GMOアスリーツ』の10名の選手が登壇

『No.1』を目指すとともに、陸上界が発展するための起爆剤となる

一方、アドバイザーとして花田監督を支えているのが、アドバイザーの青山学院大・原晋監督だ。周知の通り、『箱根駅伝』で4連覇に導いた名将である。最近では、テレビのコメンテーターとしてもお馴染みだ。

原監督は、「大学の監督がどうして? 」という、来場者の疑問の表情に応え、次のようにその経緯を説明した。

原監督と『GMO』の出会いは2015年の3月。初の『箱根駅伝』総合優勝を果たした後の祝賀パーティの場だった。学校関係者から、何人もの卒業生が入社している『GMO』の代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏を紹介された原監督は、陸上界の未来について話をしたという。

「当時、日本のマラソン界は2002年に高岡寿成選手が記録した2時間06分16秒が10年以上破られず、陸上界そのものも、1993年に『Jリーグ』発足したサッカー界に比べると大きな後れを取っているということ。また『箱根駅伝』を走った選手の受け皿になる実業団も、さらなる成長を促す体制が整っていない、といった話をさせていただきました」

熊谷氏は原監督の言葉に共鳴。これが『GMOアスリーツ』発足のはじまりとなった。

『GMOアスリーツ』は『No.1』を目指すとともに、陸上界全体が発展するための、カンフル剤、起爆剤となるべき使命を負って結成されたチームだったわけだ。

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『GMOアスリーツ』のアドバイザーを務める青山学院大の原晋監督

『GMOアスリーツ』の駅伝チームとしての初陣は、ニューイヤー駅伝の予選を兼ねる東日本実業団対抗駅伝(11月3日)となる予定。原監督は「他のチームは戦々恐々だと思う」と笑うが、『箱根駅伝』がマラソンなど長距離のレベルアップを妨げている、という向きに対しては、厳しい表情でこう反論した。

「『MGC』に出場する34人の選手中、28人が “箱根ランナー” です。この数字からもわかるように、『箱根駅伝』は、マラソンのレベル向上も果たしているわけです。ニューイヤー駅伝をさらに盛り上げ、長距離界の底上げに寄与できれば、と思っています」

駅伝に向けてのキャッチフレーズは、 “ネーミングの達人” である原監督にあやかって『No.1大作戦』。各選手は記者のリクエストに応え、希望区間を披露するなど、駅伝に向けての気持ちの準備も始まっている。

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駅伝に向けてのキャッチフレーズは『No.1大作戦』

今年3月に発表された、幼児から小学6年までの1000人を対象に行った、第一生命による第30回『大人になったらなりたいもの』の調査結果によると、男の子のトップ10に初めて陸上選手が7位でランクインした。これはマラソン界で大迫傑選手や設楽悠太選手らが躍動し、短距離界では9秒台を狙える選手が何人も出現している影響もあるだろう。ただ見逃せないのが、『箱根駅伝』の人気であり、4連覇を遂げた青山学院大の選手の露出であり、 “長距離界のスポークスマン” と言っていい原監督の貢献だ。

『箱根駅伝』を走った “青学大のスターたち” が名を連ね、名将・原監督がアドバイザーを務める『GMOアスリーツ』が、いかにこれまでにない新しい実業団チームのモデルになるか。今後も目を離せない。

   
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