走ることで環境保護団体に寄付「アディダス×パーレイ」に100万ドル

アディダスと※ パーレイは“RUN FOR THE OCEANS 2018”という名の下、6月8日 〜 7月8日に全世界で海洋環境保全運動を行った。この1ヶ月の期間に日本を含む全世界で、“100万人近く”のランナーがこの活動に参加し、アディダスは最初の100万kmまで1kmごとの走行に対して1ドルをパーレイに寄付。その結果、総走行距離1240万km以上(地球300周ほどの距離)を記録し、100万ドルがパーレイに寄付された。

(※ パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ:ニューヨークに本部を置く海洋環境保護団体)

「走ることで環境保護団体に寄付「アディダス×パーレイ」に100万ドル」の画像
©2018 adidas Japan K.K.

“アディダス × パーレイ”の取り組み

現在、温室効果ガスによる地球温暖化が海の生態系のバランスを急激に崩す大きな要因となっており、 早期解決が求められている。“プラスチック汚染”を中心とする海洋ごみ問題も、地球温暖化とともに国際的な環境問題となっている。

現在、世界中の海洋ごみの総量が年々増加。そのなかでもプラスチックごみは、2050年に魚類の総量を上回るとの予測がされている。そのプラスチックごみの多くが ※“マイクロプラスチック”とされており、それが海洋動物によって誤食され、多くの野生動物の死を招いている。このようなことから、2018年に欧州連合はプラスチック素材の食器やストローなどを代替品に切り替えるよう義務付けた。

(※ 5 ㎜以下の腐敗しない素材のごみ)

パーレイは、海洋の美しさと脆弱性について意識を高める目的で設立された組織である。アディダスは、パーレイという組織が作られた当時からサポートし、これまで海洋汚染の問題について真剣に考えてきた。両者はこのプラスチック汚染の現状への問題提起として、“RUN FOR THE OCEANS”の活動を行い、そして、“アディダス × パーレイ”のオリジナルの製品を作り出している。

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©2018 adidas Japan K.K. “アディダス ウルトラ ブースト パーレイ リミテッド”

アディダスのリリースによれば、“アディダス ウルトラ ブースト パーレイ リミテッドのシューズ1足につき、およそ11本分のペットボトルがゴミとして海に流れ込むことを防いでいる”、という。その仕組みは、パーレイの協力団体によって、モルディブなどの海沿いの地域で海に流れ込む前のプラスチックごみを回収。その後「洗浄 → 選別 → 粉砕 →  紡績」という行程を経て、高性能ポリエステル糸の“Parley Ocean Plastic™”に生まれ変わる、というものだ。

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©2018 Sushiman Photography

そして、生まれ変わった産業用原糸ファイバーを素材にし、“アディダス × パーレイ”のオリジナルの製品が作られている。アディダスとパーレイは、プラスチックによる海洋ごみ問題の解決策の1つとして、その製品にリサイクルされたプラスチックを用いて、環境に配慮した製品づくりを行っている。

“ヒトの本能に基づいた活動”

“RUN FOR THE OCEANS”の活動において、日本では6回のセッションが東京で開催された。この締めくくりとして第13回お台場ナイトマラソンのレース前に、約200名のランナーがお台場を駆け抜け、サッカー選手の内田篤人選手がスターターとして参加した。

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©2018 adidas Japan K.K. スターターの内田篤人選手(中央)

100万ドルの寄付金は、学校や野外活動など様々な体験を通じて、次世代の“オーシャンガーディアン(海の保護人)”を育成するパーレイ・オーシャン・スクール・イニシアティブに提供される。このプログラムは若い世代に水中の世界を紹介し、海の将来を守るためのツールとインスピレーションを与えている。

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©2018 Sushiman Photography

多くの人々がこの活動に賛同した理由とはなんだろうか。その大きな要因は、環境問題に対しての人々の危機感のあらわれである。“走る”ことによって環境保全のための寄付を促す“RUN FOR THE OCEANS”の活動の根本には、ヒトの“美しい地球を走りたい”という本能に基づいているのだろう。

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©2018 Sushiman Photography

筆者の私もこの活動の取材を通じて、「より綺麗な地球の姿へ。そして今日も“楽しく走る”」このようなことを強く感じた。私も参加したこのアディダス史上最大の環境保全運動は、ランニングを通じて人々の海洋環境問題に対する意識を高め、それをもって行動に移すということに成功したのである。

私たち1人1人にできることとは

まずは、この海洋に漂着するプラスチックによって起こっている“海洋ごみの問題の現実を知る”ということ。そして、布製のエコバッグを持ち歩く、お気に入りのタンブラーや機能性の高い水筒を持ち歩く、ストローの使用を控え、ゴミに対する意識を高めるなど、1人1人が今日からできる環境に配慮した行動を心がけて実践することが大切である。

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