“ゆとり”の反動でアメリカで注目される「グリット」と、マラソンランナーが相性が良い理由

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「ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?」。

こちらは、今年発表された第30回サラリーマン川柳コンクールの1位の作品(5822票)。イマドキの世代と、ベテランの世代の小競り合いをうまく表現した作品です。

「ゆとり世代」や「バブル世代」など、生まれた時の時代背景を象徴するキーワードで、その世代が括られることがしばしばあります。最近では、ゆとり世代が批判の対象になることが多く、そんな状況に対して爆笑問題の太田さんが、「よく『ゆとり世代…』って言ってるやついるけど、お前もゆとりだったろってやついるよね」と発言し、注目を集めています。つまり、さほど詰め込むこともなく、ゆとりのように生きていたということ。

全員が全員、この世代を代表するキーワードに当てはまらないものですよね。むしろ、人それぞれ価値観が異なるので、世代で見るのではなく、人で見るべきということは、もう大人の皆さんにとっては、当たり前のこと。

しかし、一方で、生まれた時代によって受ける影響は間違いなく異なります。

アメリカでも1960年代後半から、子育てにおいての自尊心を尊重する運動が展開されてきました。子供にとって大切なことは自尊心。そのために、負けてももらえるトロフィー、スコアのつかないスポーツ、かさ上げされた成績などが行われたと書籍『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』で語られています。

そんな時代に育った子供達は、日本と同じ傾向があるようです。

「アメリカの生徒は学習スキルが低いのに、数学の成績の自己評価は世界トップクラス」とは同書より。褒められることに慣れてしまい、現実が見えていないこともあるようです。

社会人になったミレニアル世代とこれまでの世代の価値観がマッチしないのは、日本でもアメリカでも同じ。自分のことを特別視することに慣れており、周囲はその価値観に合わせることに精一杯。

同書で、この自尊心を尊重する運動は失敗に終わったと結論づけられています。それどころか、今やその反動が起きているというので、その内容が気になるところ。そんな昨今、注目を集める言葉があります。同書のタイトルでもある「グリット」です。

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このグリット、日本語にすると「努力」「根性」という、一昔前に散々使い回されたキーワード。しかし、この努力と根性こそが、人生を切り開き、成功をおさめるために必要不可欠なキーワードとなっているのです。

「最近の新しい研究によると、人生で成功を収めるには、血統や生まれつきの能力・才能よりもはるかに重要な要因があるとわかってきた。それは情熱や忍耐である。成功するには、才能や知性よりも情熱や忍耐のほうが重要なのだ。会社の重役になったり、仕事上の名声を得たりするのは、その人のハードワークの成果であり、並外れた遺伝子のせいではない。結局のところ、最後に笑うのはたんに才能に恵まれた人ではなく、本当の意味でやり抜いた人、つまり『グリット(grit)』をそなえた人なのだ」(同書より)

バスケット界の成功者であるマイケル・ジョーダンや、IT界での成功者であるスティーブ・ジョブズなど、彼らは生まれつき誰もが羨む才能を持っていた訳ではありません。むしろ、普通の子供でした。彼らが大きな成功を得たその背景には、このやり抜く力、「グリット」があったと言えるのです。

また、心理学者のアンジェラ・ダックワースはこのグリットについて研究している一人。その研究結果から、グリットの持ち主は、努力が長続きすることも発見。目の前のタスクをやり抜くだけでなく、長時間かけてでもやり遂げようとすることがわかりました。

「グリットのある人は何かを達成しようとするとき、マラソンのようなアプローチをとります」とは、ダックワースの言葉。一つの目標に向かってコツコツと目の前のタスクを完了させていくことは、確かにマラソンと通ずるものがありますよね。

そんなグリットの持ち主には共通点があるようです。

「例えば転職することが比較的少ない。好意的なフィードバックを頼りに自分を鼓舞し、やる気を持続させる必要もない。その結果、何十年も誰にも認めてもらえないような、非常に難しい目標をめざすことが多い」(同書より)

なるほど。普段から、マラソン完走を目指し、そのための準備を怠らないランナーの皆さんにとって、このグリットという感覚はよくわかるのではないでしょうか。決して簡単ではないマラソンの完走。そういった目標に対して、生まれ持った才能だけでなく、強い気持ちを持ち、やち抜く姿勢が、今、成功への扉を開けることができると注目されているのです。

この週末も、皆さん、そのグリットを発揮してみませんか。

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