どれくらいの糖質が必要? ジョガー・ランナーのための最適な糖質量

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あなたは普段、ご飯をどれくらい食べていますか?

「食べ過ぎてる」「ダイエットのために抑えている」

ご飯やパン、ラーメン、パスタ、蕎麦などには、主に3大栄養素の1つの炭水化物(糖質)が含まれています。美味しさ故に、ついつい食べ過ぎてしまいがち。ランニングで、理想のカラダ、理想のパフォーマンスを手に入れたいと思っている方。

実は、糖質がカギかも。

糖質は、走る際のエネルギー源として、とても大切な栄養素です。ランニングの内容に応じて、最適な糖質の量を調整することで、健康やランニングのパフォーマンスアップにつなげられます。

今回は、推奨されている糖質摂取量とランニングの関連について、お伝えしていきます。

適正量は、1日ごとに大きく変わる

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炭水化物は大きく2つに分けられ、エネルギー源となる “糖質” と健康維持に欠かせない “食物繊維” に分けられます。糖質は、肝臓や筋肉の細胞内でグリコーゲンという塊になって貯蔵されます。グリコーゲンの貯蔵スペースは限られているため、空きがない場合、食事で摂った糖質はグリコーゲンではなく脂肪に変換されて貯蔵されます。ランニングをすると貯蔵されていたグリコーゲンが使われ、肝臓や筋肉での貯蔵スペースができる仕組みです。グリコーゲンの使われ方も、ランニングの強度や距離によって、都度異なります。

つまり、ランニングの内容によってグリコーゲンの貯蔵スペースが変化するので糖質の摂取量を変えること。それが、糖質摂取量を考える上で大切なポイントになります。

2018年に発表された最新のグリコーゲン代謝レビューに掲載されている論文*¹ *²を参考に、『ランニングをする際に、どれくらいの糖質量・ご飯の量が必要なのか』をお伝えしていきます。

なお、目安として下記を参考にその日の食事をイメージしてみてください。

  • ご飯 1膳(150g/約0.4合)   約50g
  • パン6枚切り1枚          約25g
  • パスタ1人前(乾麺100g)   約80g
  • ラーメン1人前         約75g
  • 蕎麦 1人前          約65g
  • うどん 1人前         約55g

*麺類は『麺の糖質量のみ』『茹で重量250g』の表記となります。

ヨガ・ウォーキングの日は『軽くご飯1膳』

「どれくらいの糖質が必要? ジョガー・ランナーのための最適な糖質量」の画像ヨガやウォーキングなど強度が低く、数十分で終わる運動の日は、体重1㎏当たり1日3~5gの糖質の量が推奨されています。運動強度の目安は、会話や歌うことが簡単にできる程度です。この糖質量は、健康的な通常の食事量で十分に摂ることができる量で、1食あたりご飯1膳前後が目安になります。

長めのジョギングをする日は『ご飯1膳』を軸に

「どれくらいの糖質が必要? ジョガー・ランナーのための最適な糖質量」の画像1時間前後のウォーキング・ジョギングをする日は、体重1㎏当たり1日5~7gの糖質の量が推奨されています。運動強度は、会話はできるが歌うのは難しいくらいが目安となります。この糖質量の場合、1食当たりご飯1膳+おかずのイモ類やフルーツなどを加えることで補えます。

インターバル走などの高強度運動の日は 『しっかりご飯』 を

「どれくらいの糖質が必要? ジョガー・ランナーのための最適な糖質量」の画像記録向上のための負荷の高いトレーニングをすると、それに応じて糖質の必要量も増えます。インターバル走など、走っている間の会話が難しいくらいの強度のランニングの日は、体重1㎏当たり1日6~10gの糖質の量が推奨されています。

注目すべきは、6~10gと推奨量に幅があること。これはトレーニングの内容によって、消費量が大きく異なることを意味します。ショートインターバル走の場合、強度は高いですが走行距離が短いため、糖質(グリコーゲン)消費量は比較的少なくなります。一方、ロングインターバルやペース走、距離走といった場合は消費量が大きくなります。トレーニングの内容に沿って、食べる量もコントロールできることが理想的です。

1日の糖質摂取量が6g/kgの場合、体重60㎏の方で1日360gになります。ご飯であれば2膳弱(糖質量=100g/食)前後が目安となります。その他のおかずや果物などが加わるので、おかずの具材でご飯の量を調整しましょう。

大会レベルの非常に激しい運動の日は “よりたくさんの糖質” を

大会の日は、走る前にエネルギー(グリコーゲン)を十分に蓄えておくことが、ランニングの結果に直接結びつきます。推奨される糖質量は、体重1㎏当たり1日8~12gと幅があります。

大会レベルとはいえ、走行距離が短いレースでは消費量も少ないので、炭水化物の必要度は下がります。90分を超える種目では体内のグリコーゲン量が多い方が有益という報告*³があることから、ハーフマラソン以上の距離の大会では、8~12g/kgの範囲で積極的に炭水化物を補給するといいですね。1食でご飯2膳前後を食べて、間食を活用すると効果的です。

これだけの量になると、摂り方にも注意が必要。今回お伝えしているのは、1日全体を通しての推奨糖質摂取量なので、1日の中でどのように摂るのかを考える必要もあります。その詳細について、下記の記事を参照してください。

運動しない日は『軽いご飯+おかずをしっかり』

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「まだ筋肉痛が残っているから、リカバリーで今日のランはお休み」
「仕事が終わりそうにないから、走れないかも」

運動はお休みして、オフィスで座位中心の生活を送る日は、1日130gの糖質摂取が推奨されています。特に何もしていない安静時でも、脳や心臓が機能を保つためにエネルギーが必要です。血中のグルコースの約60%が脳で使われます。1日当たり130gの糖質摂取が推奨されるのは、脳が多くのグルコースを必要とするためです*⁴。

1日130gとなると、1食当たりの糖質量は約43g。注意する点は、1日に必要となる総エネルギー量をしっかりと取ることです。糖質量を抑える分、おかずからたんぱく質と脂質を十分に摂り、必要なエネルギー量を確保しましょう。摂取エネルギー量が必要量よりも大きく下回る期間が長期化すると、生理機能がうまく働かなくなることもあるので、食事全体のバランスを見て食の選択をしましょう。

ランナーは糖質を味方につけていこう!

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最近は炭水化物や糖質が悪者扱いされることがありますが、ランナーにとってはとても大切な栄養素の1つです。長期的な低糖質食はランニングのパフォーマンスにつながりにくく、3週間の低糖質食(糖質量が1日50g未満の高脂肪食)で競歩のトレーニングをした場合、その後のパフォーマンスは導入前に比べて1.6%低下してしまうという報告もあります*⁵。ランニングの内容や必要性に応じて、糖質量をうまく調整していくことが重要です。

健康やダイエット、パフォーマンスにコミットするには、ランニングを長期的に継続していくことが大切です。怪我をしないためにも、食事は欠かせない要素になります。ランニングに良い結果を出せるよう、食事のクオリティを高めていきましょう。

参考文献

*¹ Thomas, D. T., K. A. Erdman, and L. M. Burke. “American College of Sports Medicine Joint Position Statement. Nutrition and Athletic Performance.” Medicine and science in sports and exercise 48.3 (2016): 543-568.
*² Burke, Louise M., Luc JC van Loon, and John A. Hawley. “Postexercise muscle glycogen resynthesis in humans.” Journal of Applied Physiology 122.5 (2016): 1055-1067.
*³ Burke, Louise M., et al. “Carbohydrates for training and competition.” Journal of sports sciences 29.sup1 (2011): S17-S27.
*⁴ Institute of Medicine. Dietary carbohydrates, sugars and starches. In: Dietary Reference Intakes for Energy, Carbohydrates, Fiber, Fat, Fatty Acids, Cholesterol, Protein, and Amino Acids.Washington, DC: National Academies Press; 2005:265-338.
*⁵ Burke, Louise M., et al. “Low carbohydrate, high fat diet impairs exercise economy and negates the performance benefit from intensified training in elite race walkers.” The Journal of physiology 595.9 (2017): 2785-2807.

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