人生の最期までハツラツと! 今の健康を保っていくための食事のポイント

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健康な体で人生を過ごすには、日頃から運動をして、生活の中で意識的に体を動かすことが必要です。健康のために、ランニングをしている人もいますよね。運動の他にも、体をつくる材料となる『栄養素』が必要。栄養も私たちの健康をサポートしてくれます。食事でどんなことを意識するとより健康な方向に進んでいけるのか、 “今” の健康を保つための食事ポイントを紹介します。

この先待ち受ける “移動の問題”

年齢を重ねると、様々な健康問題が生じます。例えば、近年『サルコペニア』が問題視されています。サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少と筋力の低下の総称です ¹⁾。「最近、疲れるようになってきたな~」と感じることがありませんか? それは年齢を重ねるごとに、サルコペニアが進行している兆候かもしれません。

サルコペニアの進行は、20代後半から始まり ²⁾、50代になると30代と比べて筋肉量・筋力の両面で顕著な変化が生じます⁷⁾ ³⁾。筋肉量の減少スピードは1年に0.5~1%と言われていますが、筋力の低下は年間1~3%と急速に衰えていきます。そのため、見た目は変わらずとも、動きが鈍化し、疲れやすくなっているのかもしれません。

更に、サルコペニアが進行すると、歩行を始めとした日々の『移動』に制限がかかります。階段の上り下りや外出といった1日の活動量が少なくなりやすいです。今は 普通に歩いて、生活ができているかもしれません。しかし、ふとしたタイミングで膝や腰などに痛みが出始めると、急速にサルコペニアが進行してしまうケースも。気持ちよく運動をしたり、人との交流への場に出向いたりすることが億劫になり、生活全体の質、QOLの低下へとつながっていきます。また、体重増加などの健康問題も起こりやすくなります。サルコペニアによって引き起こされる “移動の問題” は、私たちの生活の根幹を揺るがす老化問題の1つなのです。

食事で『筋肉量』を保つ

サルコペニアの原因は様々 ⁴⁾。1つに、加齢による体内のホルモン分泌の変化があります。また、病気や運動不足による不活動状態も原因としてあげられています。病気の原因となる栄養の偏りがある『食事』『運動不足』を解消することがサルコペニア予防のカギ。

『食事』、特にたんぱく質の摂取量が深く関係しているとされています。たんぱく質は筋肉や様々なホルモン、酵素、骨など体を作る材料として機能しています。たんぱく質の “量” と “質”、両面を考えて摂ることが大切です。たんぱく質の多くは筋肉の構成成分であることから、基本的に動物性食品に多く含まれます。質の面では、肉・魚・卵などの動物性食品は優れていますが、植物性食品の大豆も優れもの。 “畑の肉” と言われています。その他の植物性食品では質が劣りますが、食材の組み合わせにより、足りない部分を補うことが可能です。これを『アミノ酸の補足効果』と言います。

例えば、お米に含まれるたんぱく質は “リジン” というアミノ酸が少ないため、リジンが多く含まれる豆類と一緒に食べることで補足効果が生まれます。すると、お米のたんぱく質でも、しっかりと機能するようになります。筋肉を構成するたんぱく質を含む食事を心がけることで筋肉量を維持し、それが 健康維持にもつながっていきます。

いかに “製造作業” を高めていくか

筋肉量を保つことがサルコペニアを予防する1つの方法。筋肉量が多いほど、筋力を発揮できます。筋肉量が少ないと筋力の上限が決まってしまうため、基礎となる筋肉量を一定量保つことがとても大事です。

筋肉を構成するたんぱく質は、ヒトの体内で常に “解体・製造作業” が行われています。古くなったたんぱく質が他のたんぱく質に悪影響を及ぼさないよう、適宜解体(分解)されます。また、マラソンのような強い運動刺激が加わることでも解体が進みます。解体されたままでは筋肉が無くなってしまうため、喪失分を補うために新しい筋肉の製造(合成)作業も同時に行われます。この作業が四六時中、私たちの体内で自動的に行われているのです。

しかし、年をとるにつれてホルモン分泌などの変化が起こるようになり、筋肉での解体作業が増えていきます。若い頃は、意識しなくても体の筋肉量・筋力を保てますが、年齢を重ねるにつれて、解体と製造のバランスが乱れ、製造が追い付かなくなっていきます。そのまま対処をしないと、筋肉が少なくなり、それが長期化することでサルコペニアへと進行してしまいます。解体されていく筋肉量を保つこと、つまりサルコペニア予防には、たんぱく質を解体に見合った形で摂ることがカギになってきます。解体作業のスピードを抑えることは、ほぼ不可能です。そのため、私たちができることは、いかに筋肉(たんぱく質)の製造作業をスピードと量で高めていけるか。それが食事の大切な役割になります。では実際にどのような食事することが、筋肉量の維持につながっていくのでしょうか。

たんぱく質を『1日3食』『程よく』摂る

「人生の最期までハツラツと! 今の健康を保っていくための食事のポイント」の画像筋肉の解体・製造作業は、常に同時に行われているため、時間によっては解体作業が先行している時間もあります。食事をした直後は、たんぱく質などの身体作りに必要な材料(栄養素)が供給されることで製造作業が先行し、筋肉量が増えます。しかし、その作業が終わると解体作業の方が多くなり、次の材料(たんぱく質などの栄養素)が供給されるまで解体が続きます。つまり、筋肉を失ってしまう解体作業を食い止めるには、適切なタイミングを見計らって食事を取ることが大切になります。この適切なタイミングが『1日3食』です。

健康な若い男女が朝食を欠食するだけでも筋肉量低下が報告されており ⁵⁾、高齢者を対象にした研究でも1日のたんぱく質量が3食均等摂取していた方が、健康状態が良いとされています ⁶⁾。これは、たんぱく質の製造作業は1回にできる量に上限があることが1つ大きな要因あると考えられています ⁷⁾。その量は1回の食事につき20~30gとされています(*実際には年齢・体格など個人差を配慮した量に調整する必要があるため、これ以上に摂る方が良い場合もあります)。食事摂取基準では、1日に必要なたんぱく質量は、推奨量で男性で60g、女性で50gとされています。研究の報告から考えると、1日の推奨量を満たしていたとしても、朝・昼・夜のどこかでたんぱく質摂取量が20~30gを下回って筋肉量を保つためには “足りていない” ということが考えられます。そのため、『1日3食』というのは、筋肉量を保つ観点からもちょうど良いタイミングになるのです。

だからと言って、毎食たんぱく質をたくさん食べれば良いとは限りません。食事でたんぱく質の摂取量を2倍ほどに増やしたとしても、反対に解体される量が増えてしまうため、実質的には作られるたんぱく質の量は変わらないとされています ⁸⁾。筋肉量を維持・増加させるために、低糖質・高たんぱく質食のような偏った食事バランスにする必要はなく、たんぱく質が程よく(20~30g)食べられる主食・主菜・副菜のバランスの取れた食事がよいでしょう。たんぱく質源としては先述した質のよいたんぱく質源(肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など)を中心に、ご飯もしっかりと摂りましょう。「バランス良く食べましょう」という決まり文句には、実はこのような様々な意味合いが隠れてるのです。

食事は基礎、ランは応用

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毎回、100点満点の食事でないといけないわけではありません。ただ、栄養への意識があるとないとでは、大きな差がつくと思います。コツコツ継続していれば、それなりにカバーもできます。また、このことを知っていて「気をつけないと……」と振り返りをしてみるのも良いですね! 是非、ランニングと共に食事にも目を向けて、これからも楽しく走って行きましょう! 人生をますます楽しみましょう!

参考文献

¹⁾ Bauer J, et al. J Am Med Dir Assoc. 2013 Aug;14(8):542-59.
₂⁾ 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 『e-ヘルスネット』, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-087.html
³⁾ Fielding RA, et al. J Am Med Dir Assoc. 2011 May;12(4):249-56.
⁴⁾ 公益財団法人 長寿科学振興財団 『健康長寿ネット』, https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sarcopenia/about.html
⁵⁾ Yasuda J, et al. Nutr Res. 2018 Dec;60:26-32.
⁶⁾ Bollwein J, et al. Nutr J. 2013 Aug 5;12:109.
⁷⁾  Moore DR, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015 Jan;70(1):57-62.
⁸⁾ Juillet B, et al. Am J Clin Nutr. 2008 Mar;87(3):666-78.

   
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