“遊びのプロ”が集結!? 人それぞれの楽しみ方がある「OMM LITE」はリピート参加確実

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3 回目の開催となった「Original Mountain Marathon(以下、OMM) LITE)。今年も長野県・白馬に同イベントを楽しむべく“遊びのプロ”たちが集結しました。

そもそもOMMとは?

OMMは、現在のアドベンチャーレースの起源にもなったイギリス発祥のレース。その初開催1968年(当時は、有名ブランドKarrimorが主催していたKarrimor International Mountain Marathonが大会名)。名実ともに世界最古と言える山岳耐久レースですが、その特徴は走力のみならずナビゲーション能力や野営技術など、まさに「山の総合力」が試されルところ。ゴールまで決まったコースはなく、エイドポイントもありません。選手たちは地図とコンパスのみを頼りに、自分たちでルートを探る必要があります。すべて自身の判断による行動を求められるイベント(主催者は、レースではなくイベントと呼ぶ)なのです。

今回参加したOMM LITEはその名の通り「ライト版」。オリエンテーリング出身のアスリートのみならず週末ハイカーまで誰でもが参加できるイベントです。初めて参加される方は、イベントをより楽しめるようコンパスワークの事前講習を受けられることをオススメします。なお、OMM LITEの特徴として、自転車に乗って得点を競うBIKEカテゴリーもあります。

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同イベントのルールは下記の通り。

① 大会期間は、2日間(一日目/5時間、二日目/4時間)
② 1グループ2人〜5人までのチーム制
③ ザックに必携リストを入れ、競技中背負うこと
④ (非常事態を除き)競技中の音声通話、データ通信を禁止とし、コンパスと地図のみを頼りに行動すること
⑤ フィールドに散りばめられたチェックポイント(以下、CP)の得点を制限時間内にどれだけ獲得できるかを競う

一般的なトレイルランニング・レースと異なり、単独のタイム・レースではありません。上位を狙うアスリートチームにとっては「誰と組むのか」「荷物をどれだけ軽くできるか」など、イベント前からレースが始まっているのです。

今回、ラントリップからは男性双子ランナーと実業団出身の女性ランナーの3名でエントリー。

イベント会場(長野県白馬村白馬岩岳スキー場)に到着すると、ジリジリとした容赦ない日差しが。この夏、どの地域でも言われる暑さ。長野県白馬村も例外ではありません。前日入りして早速、キャンプの準備。開けた夏のスキー場には、程よく涼しい風が肌を触り抜けていました。明るいうちに、区画整理されたエリアでテント、タープを張り前夜祭スタート。受付時に手渡されたマップを見ながら、思い思いのドリンクを片手に「得点配分がこうだったら、ああだったら」と作戦会議。前日からレース要素だけではないOMMの魅力を存分に楽しむことができました。

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OMM LITE DAY1スタート

そして、OMM LITE HAKUBA 2018当日。

テントから出ると、前日とうって変わってたくさんのコンペティターがテントを張り、朝食を取っていました。近くにいらした顔見知りの方とも挨拶を交わし、朝支度をしては、レースに向けてストレッチなどしながら気持ちを整えます。

レース開始30分前(9:30)。全コンペティターが、スタートエリアに集合すると、大会側から同大会のブリーフィング(ルール説明)が始まりました。その後(9:40頃)、待ちに待った得点表が配布。

この得点表配布が同レースの最初の山場。スタートとなる10:00までの残り時間で、得点表とマップとにらめっこし、チームで話し合い、ルート選定を行います。ここをミスすると後で大変なことになります。

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今回、DAY1の得点表は、筆者チームの想定を大きく裏切るものでした。すぐ隣の山頂(北西エリア)もしくは南の山頂(南東エリア)のどちらかに大きくポイントが振り分けられると想定していましたが、まさかのほぼ平地の北東エリアに高得点CPが配置されたのです。一方で北西エリア、南東エリアには低得点が配置されていたため、走力勝負の一日に。

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気持ちが焦る中、チームメイトを打ち合わせていると、あっという間にレース開始10秒前。会場全体でカウントダウン開始。5…4…3…2…1…START!!

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ラントリップチームは、結局得点の高い北東エリアを全て獲得するルートを選択し、真っしぐらにC05⇢C04の獲得に向かいました。幸いにも迷うことなく両CP(チェックポイント)を獲得。

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ここまでは他のチームとすれ違ったり、同じ方向に走ったりすることが多い印象でした。しかし、次のC02からは人影がまばらに。「C02が山側にあるから、選択するチームも少ないかな。」と、そんなことを考えながら、着々と山道を探しながら登りました。

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すると、山道の入り口を右手に見つけ、同イベント初のトレイルへ。最早、筆者チームの中で名物となりつつある背丈以上の薮の中を、手で払いながら進みます。ゲイターを穿いていないため、所々で棘のある木々が(針で刺されるような)刺さります……。

負けてられまい!と心で叫びつつ、歩を進めると無事C02を獲得!その勢いのままコンパス指示で直登をすると、C01も順当に獲得に成功!

ここで一旦ロードに戻るため、筆者が大好きなダウンヒルをスピードに乗りながら駆け下ります。

無事にロードに辿り着くと、地図と方角を決め、DAY1最高得点の一つC03に向かい走り出しました。しかし、ここでハプニング。ランナーの1人の胃の調子がおかしくなり、地面からの突き上げのダメージが内臓に直撃とのこと。徐々にスピードが出なくなり、歩くこともしばしば。なんとかC03を獲得し、次のオフトレイルのL04も。

ここでトレイルが一区切り。山道を抜けると、眼前には雲の切れ間から残雪で化粧をした白馬の山々が。それを見た同チームは「おぉ!白馬山半端ないって、もぉ!出てくるなら言っといてや〜!」と流行りの言葉を叫びつつ感動。張り詰めた緊張も少し緩み、白馬村の魅力を楽しむことができました。これもOMMならでは。

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ここで残り時間は2時間半ほど。その後は、L05⇢C08⇢C11⇢C06⇢C07と容赦ない陽射しの中順当にCPを獲得していき、川沿いのC09に向かいました。暫くロードが続いたためチームメンバーの身体に熱が籠もり始めたこともあり、C09を獲得後すかさず、一級河川の松川でアイシングをすることに!

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とても夏の川とは思えないほど冷たく、1分も足を浸けていられませんでしたが、全身ダイブ!また違った形で白馬の大自然を堪能しました。結果15分ほどアイシングしたおかげもあって、身体の火照りも大分軽減され、再び軽快に走り出すことができました。

とは言いつつも、DAY2の高得点CPが南東エリアに集中することを感じ取った同チームは、(内臓の調子も幾分ありましたが)翌日に脚を残すため1時間早めにゴールすることに。流石に、大会運営側の方々にも「早く帰って来過ぎだよ〜」と言われました(笑)。

1時間ほどすると、ほとんどのコンペティターが着々とゴールインしたため、暫定順位を確認しにイベントセンターへ。するとなんと151チーム中68位。これはマズイ。翌日に向けて気持ちを締め直しました。

その後は、ゆっくりとテントサイトでBBQの準備に取り掛かり、美味しい白馬豚、信州牛などのお肉と新鮮な野菜でエネルギー補給をしました。

勿論BBQの後は、温泉に入ることで疲れた身体を癒やし、お酒もほどほどに就寝。

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OMM LITE DAY2スタート!

この日の朝も、強い日差しを瞼に感じ起床。DAY2は7:00から全コンペティターに朝食が出ます。ご飯も主菜も温かく、筋肉痛の身体に沁みていく感覚がありました。

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DAY2は一時間早い出走のため、8:30にはほとんどのコンペティターがスタートラインに。出走前の大会側の案内では、この日の予想最高気温が35度近くになるということで、大会史上一番の酷暑が想定されるとのこと。これは色々と準備が必要ですね。無理をしないことが第一優先になります。

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その後、すぐに得点表が配られると、予想通り!南東エリアに高得点CPが多数。地図に得点を書き込み、ルートを早々に決めると、カウントダウンが開始されました。5…4…3…2…1…START!!

C06⇢C11⇢C13までは田んぼ道とロードのため、アップダウンもなく順当に獲得することに成功。しかし、次のC15からがDAY2の本番でした。

ここから山頂に向かっていくルートのため、急勾配を登り続けるトレイルです。これがまた酷。「やっと平坦な道が……」と思わせる箇所も幾つかありましたが、その度に眼前に現れる容赦ない斜面に気が滅入り、それに合わせ足取りも重くなっていきました。頭も下を向くようになり、それに合わせて自然と息も上がり、脚が地面にのめり込むのではないかと思うほど、歩が進みません。

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30〜45分くらいの時間を使い、やっとの思いで中腹のC15と山頂のC16を獲得したときには、急登から解放され「よっしゃー!」と心で叫びました。折れたメンタルも少し戻り、次のL06⇢C18までのダウンヒルはトップスピードで駆け下りながら獲得。

その勢いのままコンパス指示で、C19を獲得し、あとは急登で終わった脚を引きずりながら、ロードに配置されたC22⇢C23⇢C29⇢C30⇢C9⇢C07をとっていく作戦に。その道程で知り合いのコンペティターに遭遇し「間に合わへん!辛いけど、走りたないけど、走らなっ!」と言いながら、必死の思いで制限時間15分前にゴール!この日は、アイシングの時間を確保する余裕は全くありませんでした。

しかし、そのおかげでDAY2の結果は8位という好位置。2日間の成績は34位と丁度半分順位を上げる結果となりました。

OMM LITEは白馬の自然を楽しむことが正解?

大会後は、ゆっくりとテントサイトを片し、温泉で疲れを癒やして、帰路へ。

2回目の参加となったOMM LITE HAKUBA。昨年よりコンペティターのレベルアップを実感。例えば、昨年のエントリー数が178チームに対して本大会は151チーム。昨年でしたら720点で29位になれたところが、今年は790点でも34位という結果。大会スタッフの方に伺ったところIMM(ICI Mountain Marathon)から流れてきた人も多いとのこと。

その一方でエンジョイ志向のチームが多数いることも見逃してはなりません。アスリート志向のチームもいますが、シンプルにキャンプやアウトドアを楽しむ“割りきった”参加者も見かけました。本大会が「イベント」である以上、どちらも正解。コンペティターの思考を尊重するために「レース」ではなく「イベント」なのです。2日間通して川・山・空の自然を楽しむコンペティター、火を囲んで仲間と語り合うコンペティター、お酒を楽しむコンペティターの姿がありました。ランニングやトレッキング、キャンプというカテゴリにとらわれない、まさしく“遊びのプロ”のためのイベント。

来年も開催予定である同レース。夏の始まりと告げるOMM LITE、要チェックですよ。

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