山を走るタイムを競うフィジカル重視ではないレース『IMM(石井マウンテンマラソン)』の魅力

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「決められた距離をどれだけ短い時間で走り切れるか」……いつものレースの評価基準とは異なるイベント「IMM 2018」が、昨年の反響を受け、再び静岡県東伊豆町を舞台に5月26日〜27日に開催。

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IMM(ISHII MOUNTAIN MARATHON)とは?

この大会は(株)ICI石井スポーツが主催するイベント。コンセプトは……

「名前はマウンテンマラソンですが、山を走るタイムを競うフィジカル重視のイベントとは違います。
スタート時に渡される地図を仲間とともに検討して、ゴールまでのルートを決めます。途中登山道だけでなく、地図とコンパスをたよりに尾根・谷を進むこともあるでしょう。自分自身で決めたルートが道となるのです。
夜は自分たちが担いだテントで仲間と明日の行動について語らい、今日の健闘をたたえ合う時間です。
もちろん夕食・朝食は自炊します。このイベントはまさに登山に必要な様々なスキルを総動員して山を遊び尽くすのです。」

つまり、同大会のルールは、

① 大会期間は、2日間。
② 2人1組のチーム制。
③ ロゲイニング方式のため、スマホの使用は禁止。地図とコンパスのみで目的地に向かう。
④ ゴールに向かうだけでなく、フィールドに散りばめられたチェックポイント(以下、CP)を通過する。
⑤ 夜営用のテントや寝袋、食料は全て背負って走らなければならない。

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イギリス発祥レースOMM(Original Mountain Marathon) を思い出す人もいるかもしれませんね。

一方で、エントリーレベルから始まる3つのコースが用意されているのもIMMならでは。(以下、HPより抜粋)

① エントリースコア
競技時間 :1日目/4時間 2日目/4時間
地図上のコントロールを自分たちで選択してゴールを目指します。
レベルとしては、ナビゲーションやキャンプのスキルがなくてもイベントに参加できる。
その理由は、以下のサポートを受けることができるため。手厚いサポート体制!
▼競技開始前のブリーフィングとナビゲーション講習
▼キャンプサイトでの幕営講習

② レギュラースコア
競技時間 :1日目/5時間  2日目/4時間
上記基礎的なナビゲーション知識、及び1日5時間以上の行動が可能なフィットネス(体力)があるアスリートが対象。
地図上のコントロールを自分たちで選択してゴールを目指します。

③ ストレートコンバインド
競技時間 :1日目/5時間  2日目/4時間
スコアクラスと異なり、地図上のコントロールを番号通りに回ります。
ただし一部のエリアではコントロールを自分たちで選択するので、体力とナビゲーションの両方の能力が求められる点が魅力的です。

体力的には1日5時間以上の行動が可能なフィットネス(体力)と基本的なナビゲーション能力が備わっているアスリートが対象。私たちは、ナビゲーションスキルと走力の両方が試される「ストレートコンバインド」にエントリー。

そして、IMM当日。

OMMとは異なり大会前日入りができないため、西東京に住んでいる我々は、四時半に家を出発。渋滞もなく快適なドライブを三時間半もすると会場に到着。既に会場にはたくさんの選手が。男性が7~8割近くを占めている印象、年齢層は30代、40代がメイン。ザックサイズは、中にはULペアの10Lクラスが数チームいましたが、平均的に見ると25〜35L程度。

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今回の準備はこちらのとおり。

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受付を済ませると、なんとコンビーフと汗拭きシートが配られました。早速、運営側からの愛を感じます。

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その後、物販ブースを見ていると、9:30になりすぐにルール説明の時間に。

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すると、先ほどまで穏やかだった雰囲気が引き締まり、コンペティターの眼には、緊張にも似た熱い闘志が宿り始めました。10分ほどの運営側の説明が終わると、直ぐにスタート地点に移動。この時点で9:45。到着して間も無く地図が配布されました。

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我々がエントリーしているストレートコンバインドのクラスの地図は、(1チームずつ1分差でスタートするため)自分の出走順になると配布されます。つまり、スタート直前の1分間で地図全体を把握、あとは走りながらコースを練っていくルール。ドキドキしながら、コースを練っているスコアの選手らを眺めながら待機。

すると、スコアクラススタート1分前。そこでなんと、(株)ICI石井スポーツの荒川代表が登場!昨年、過酷なエベレスト &ローツェ登頂を果した方からの激励で、コンペティターの気分も上昇!会場の雰囲気も最高潮の中、火蓋が切られました!

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一斉に走り出すスコアの選手たち。我々は、 30チーム中29番目の出走のため、10:28スタート。それまで、内心様々な感情が複雑に絡まっているのを悟られまいと平静を装いながら、毎分1チームずつ、拍手で送り出します。そして、10:27。スタート1分前。ついに Day1の地図が手渡されました。

実際に1分で詳しいコースを練るのは不可能で、ざっと全体を把握するのが精一杯。直ぐにスタートタイムが訪れ、出走!荒川代表にハイタッチをいただき、力強く走り出しました。

はじめてのIMMスタート

スタートして直ぐに上り坂に直面。しかし、序盤のため走り続け、迷うことなくチェックポイント(以下、CP)「1」が待つ藪道に入り、CPを獲得!

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直ぐに次のCP「A」を目指す。ロードに再び戻り、走っていると風力発電の風車が並ぶ伊豆ならではのフィールドに遭遇。そのままダウントレイルを走り抜け、山道に入り、無事CP「A」を獲得。ここまで40分弱。すこぶる順調のため、「今日は行けるのではないか?」と思ったが、甘かった。

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ここからが伊豆を舞台にしたIMMの真髄。

次のCPを「B」に定め、ロードを止まる事なく走ったものの、山に入った途端、ロスト(現在地がわからなくなる)。方角を定め、越えるべき尾根の数を数え、その通り進んでいるつもりですが、一向にCPが姿を現さない。「こっちの尾根か?」「いや、まだここじゃないか?」と話し合うも、気を紛らわす事にさえならず不安が積もる一方。山で遭難した人の気持ちというのはこういうものなのかと、こめかみに汗が流れる。

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……30分近く彷徨い、結果CP「B」を諦めることを決断。

山頂にあるCP「C」に狙いを変更するも、大きなタイムロスから心境は穏やかでなく、後ろ髪を引かれっぱなし。その気持ちから「この尾根の下にBがあるんじゃないか?」と雑念が混じるが、なんとか我慢しCP「C」に向けて歩を進める。

気が付くと、他の選手が四方八方から山頂目指して集まっていました。そのおかげもあり、迷わずCP「C」を獲得!

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ここで「B」に引っ張られていた気持ちの整理がやっとでき、続くはCP「D」に狙いを定める。

すぐさまコンパスを合わせ、谷、沢が続く道無き道を進むと、最短距離でズバリ決まりました。

その後、道沿いにあるCP「5」を順当に獲得。次のCP「6」では比較的易しいトレイルにも関わらず現在地を見誤り20分のタイムロス。逐一現在地を確認する作業が必要であることを身に沁みた痛いロス。2度目のタイムロスに自責の念を拭い切るように、続くCPへ向かう。

そして、三筋山の山頂に設置されたCP「8」では、曇りながらも絶景を背景に気分が高まり、渾身のポージング!

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その直後、最後のCPであるCP「9」向かう途中、Day1のキャンプエリア(ゴール地点)が見え、気持ちにも余裕が。他のコンペティターの動きを見ながら、最後のCP「9」を獲得。内心ほっとし、思わず笑みがこぼれます。

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やっとのことでゴール。時間にして4時間9分と、30チーム中11位。

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50分という大きなタイムロスを考えると、健闘した方ではないかと考えつつも脚全体が張っており、すぐさま大の字に倒れる。

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マウンテンマラソンの醍醐味でもある野営タイム

一休み後、降りてきた三筋山をバックに野営に移り、マウンテンマラソン恒例の反省会+食事会。走ってきた地図を見ながら「ああでもない」「こうでもない」と振り返りつつ、チームルールを決めるこのコミュニケーションこそ、翌日のレースを決める大事な時間でもあり、醍醐味でもある。

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そして、もう一つ忘れてはならないのが、隣のテントのチームや、ライバル視していたチームに話しかけに行くこと。お互いロストしたCPの話に華が咲き、健闘を讃えつつ、翌日の目標タイムを確認し締めることで、不思議と仲良くなれるのがマウンテンマラソン。

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心身ともに癒し、翌日のレースに備え早めの就寝。

Day2スタート

就寝時、暑くて寝袋を掛け布団のようにしていたが、夜中は意外と冷え込んだためしっかりと寝袋の中に身体を埋めておりました。しかし、幸いにも雨にも打たれず快適な野営。瞼を透ける朝陽を感じ目覚めると、それは見事な朝陽と青い空が広がっておりました。

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慣れた手つきで各チームが朝食を済ませ、全選手スタートラインへ。

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Day2も荒川代表の合図で、スコアクラスが一斉にスタート! Day1同様、ストレートコンバインも追ってスタート。「地図とコンパスは絶対」「逐一現在地を確認」の2つをルールにし、地図片手に出走!

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この日は、驚いたことにコンパスがバシバシと決まり、一度も迷うことなくCPを獲得。

ちなみに我々が取ったルートは、1→2→3→A→C→D→7→8→9→10→Goal。時間にして2時間52分。3位チームと2分差という大健闘!

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すぐに暫定結果を確認すると総合4位という高位置。想像以上の良い結果に疲れも吹っ飛ぶ。

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互いの健闘を讃えつつ、二日間走り疲れ切った身体を、東伊豆町名物「金目鯛の味噌汁」で癒しました。

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次回大会は来年?

表彰式とジャンケン大会終了後、確定順位を確認すると順位は変わらず総合4位!しかし一方で、それ以上に驚いたのはストレートコンバインクラスの完走率。その率36%。30チーム中19チームが完走できなかったのだ。

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実際にはエントリーをして得た率直な感想は、「難易度はOMMと同等、もしくはそれ以上かも」。体感気温が30度という伊豆ならではの気候、決められたCPを順番に獲得していくだけでなく、一部は自分たちで選択してCPを獲得していくルール等様々な要因が考えられる。しかし、総じて今回のIMMはマウンテンマラソンの奥深さを感じさせるイベントでした。

そして最後に。ブヨやダニに噛まれた方が多かった為、虫除けスプレーもしくは露出の少ないウェアでの参加をオススメします。

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