2017年12月2日

【12/3・福岡】川内優輝vs神野大地vs設楽啓太vs大迫 傑vs佐々木 悟vs海外選手……福岡国際マラソンで元・日本代表選手と元・箱根駅伝スターが勝負

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12月3日(日)に第71回福岡国際マラソン選手権大会が行われる。今まで数々の名勝負が繰り広げられ、日本が世界に誇る伝統の大会である。今回の顔ぶれは実に豪華で、その結末に注目が集まる。3000mと5000mの日本記録保持者で、今年のボストンマラソンで3位に入ったナイキ・オレゴン・プロジェクトの大迫傑と、旭化成の佐々木悟はリオオリンピックの日本代表(大迫はトラック、佐々木はマラソン)。そして、昨年渾身の走りで3位に入った川内優輝はロンドン世界選手権の日本代表。今回が初マラソンとなるコニカミノルタの神野大地、日立物流の設楽啓太の2人は箱根駅伝のスター。例年ながらに強力な海外勢に対して、日本代表選手と箱根駅伝のスター選手が福岡で激突する。

スターぞろいの国内選手

・川内 優輝 30歳 埼玉県庁 自己記録:2時間08分14秒(2013年, ソウル)ロンドン世界選手権マラソン日本代表

直近のマラソン成績:さいたま国際マラソン(2時間15分54秒=優勝, 2017年11月12日)

福岡への調整レース:上尾シティマラソン(ハーフマラソン:1時間03分35秒=18位, 11月19日)

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Photo ©2016 SushiMan Photography 今年も川内の持ち味が発揮されるか

今年の夏のロンドン世界選手権のマラソンで9位に入った川内。入賞まであと4秒だったが、最後に追い上げたあたりは川内の持ち味を出したレースぶりだった。そして、福岡国際マラソンで過去3度、3位になっている川内。これまでのマラソンでは12回のサブテンを達成し、その安定感はケタ違いである。川内の今年の福岡での目標は、自己記録の2時間08分14秒(2013年, ソウル)の更新。優勝争いに残っていれば、自己記録の更新もみえて来るだろう。今年は、怪我の影響がありながらも激走した去年とは違って、怪我もなく不安のない状態で出場する。福岡国際マラソンとの相性が良いだけに、過去の走りを上回るレースに期待される。

(※関連記事:大迫傑・神野大地・設楽啓太ら参加の「福岡国際」で、川内優輝はどう立ち向かう!?

 

・佐々木 悟 32歳 旭化成 自己記録:2時間08分56秒(2015年, 福岡国際)リオオリンピックマラソン日本代表

直近のマラソン成績:びわ湖毎日マラソン(2時間10分10秒=4位, 2017年3月5日)

福岡への調整レース:宮崎県長距離記録会(10000m:29分19秒09=10位, 10月21日)

リオオリンピックでは16位。日本人最高順位ながらも、力を出し切れなかった。さらに今年の3月にはびわ湖毎日マラソンで日本人トップの4位に入ったが、気温差のある厳しい気象条件もあってかタイムが伸びず、ロンドン世界選手権の日本代表を逃してしまった。佐々木にとっては、この福岡は2015年に2時間08分56秒の日本人トップの3位に入り、リオオリンピックの日本代表の切符を勝ち取った場所である。その時の良いイメージを再現できれば、ベテランらしい終盤の粘りで、好順位とともに自己記録の更新もみえてくるだろう。リオオリンピックと、今年のびわ湖毎日マラソンの雪辱を、まずはここで晴らしたいところだ。

 

・大迫 傑 26歳 ナイキ・オレゴン・プロジェクト 自己記録:2時間10分28秒(2017年, ボストン)リオオリンピック5000m、10000m日本代表、3000m、5000m日本記録保持者

直近のマラソン成績:ボストンマラソン(2時間10分28秒=3位, 2017年4月17日)

福岡への調整レース:フェニックスハーフ(ハーフマラソン:1時間02分15秒=優勝, 大会新, 11月5日)

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Photo ©2017 Geoff Kronik‏ 日本のレースで大迫は更なる飛躍をみせたい

ボストンマラソン3位。日本人としてだけではなく、非アフリカ人ランナーとして現代のワールド・マラソン・メジャーズの世界6大マラソンで3位に入り、とてつもないインパクトを世界中に与え、しかも初マラソンでそれを達成してしまった。ボストンマラソンの後は、日本選手権の10000mで連覇を達成し、その後ホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会の10000mでは、高温多湿の厳しいコンディションのなか健闘し、さらなる進化をみせた。

今回の日本人選手のなかでは中心的な存在となるが、本人が話すように“周りの選手を意識するのではなく、あくまで自分との戦い”になると本人は考えている。ボストンマラソンのように、集団がばらけた時に自分のペースで走るか、それともそうなる前に、自分から勝負所で仕掛けるか、大迫のレース終盤の走りに注目だ。日本でのレースということもあり、たくさんの沿道の声援を受け、大迫はレースに華やかさを加える存在となるだろう。今回の福岡で13年ぶりに日本人選手の優勝がみられるならば、大迫がその最有力候補だろう。

(※関連記事:ボストンマラソン3位・大迫傑が国内初マラソンに挑む!! 今週末・福岡で見せる姿は

 

・神野 大地 24歳 コニカミノルタ 自己記録:1時間01分04秒(ハーフ=初マラソン)

福岡への調整レース:グレート・ノース・ラン(ハーフマラソン:1時間04分47秒=12位, 9月10日)

大迫に2月の丸亀ハーフマラソンで競り勝ったのがこの神野だ。神野は、箱根駅伝の3代目・山の神と呼ばれているが、青山学院大学時代も、そして今年の丸亀でも1時間01分04秒と好走したように、山上りだけでなくハーフマラソンでも結果を残しており、ロードに強いといえる。初マラソンから期待されることは間違いない。しかし、一ついえるのは箱根駅伝の距離や、ハーフマラソンという種目は、その2倍の距離を走る“マラソンとは違う競技”であるということだ。

神野は、長い時間をかけてマラソンのための準備をしているはずであるが、箱根駅伝とマラソンの違いについて比較するときに、このことをよく知っておく必要がある。箱根の初代・山の神の今井正人が、初のサブテンを達成したのは8回目のマラソン、2代目・山の神の柏原竜二はマラソンを二度走り、自己記録は2015年のシドニーマラソンで2時間20分45秒。また、川内優輝でさえも、初のサブテンを達成したのが6回目のマラソンだった。神野の初マラソンに大きな期待を寄せられるなか、順位もタイムも初マラソンで良い成績を残すようであれば、今後の神野に対するマラソンへの期待がより一層深まりそうだ。注目の一戦である。

 

・設楽 啓太 25歳 日立物流 自己記録:1時間01分12秒(ハーフ=初マラソン)

福岡への調整レース:東日本実業団駅伝(5区7.8km:23分06秒=区間2位, 区間新記録, 11月3日)

設楽もまた神野と同じくこの福岡で初マラソンを迎える。ハーフマラソンの自己記録は2年前の丸亀での1時間01分12秒、さらに、2013年の大学4年時の熊日30キロロードレースで1時間29分55秒の好記録を残しており、神野と同様にロードの長い距離に強い選手といえる。また、双子の弟である設楽悠太は今年、ハーフマラソンの日本記録を更新し、さらに東京マラソンとベルリンマラソンでともに積極的なラップを刻み、連続でサブテンを達成した。兄の啓太は、今年の東京マラソンを10km・28.4km地点である日本橋で観戦し、弟の力走に心打たれたという。

「悠太が頑張っている姿をみて、自分もマラソンで勝負をしたいと思った」

双子で、日本代表として世界の舞台に立つことを夢見ている兄の啓太は、弟の東京マラソンでの勇姿をみて感銘を受けた。二人揃って世界の舞台にチャレンジする。そのための舞台が“マラソン”であり、その始まりが彼にとってはこの福岡となった。設楽啓太は今年、コニカミノルタから日立物流に拠点を変え、新たなスタートを切り、この福岡でまた新たな競技に挑戦する。設楽のロードへの長距離適正と、直近の東日本実業団駅伝の区間新記録の走りを考えると、神野同様に初マラソンから注目するにふさわしい。

 

その他の日本人選手として、一般参加の佐藤悠基と前田和浩は、ともに日本代表として国際舞台の経験を積んでいるので、この大舞台でも注目の存在である。

例年通りに強力な海外選手

・イエマネ・ツェガエ 32歳 エチオピア 自己記録:2時間04分48秒(2012年, ロッテルダム)ロンドン世界選手権マラソンエチオピア代表、北京世界選手権マラソン銀メダル

直近のマラソン成績:ロンドン世界選手権(途中棄権, 2017年8月6日)

福岡への調整レース:なし

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Photo ©2016 SushiMan Photography 連覇を狙うイエマネ・ツェガエ

今回の福岡の優勝候補の筆頭がこのツェガエである。昨年のレースでは、マラソン前世界記録保持者で、福岡での3連覇を狙ったケニアのパトリック・マカウとの終盤のデッドヒートを制した。今年はロンドン世界選手権のエチオピア代表として出場するも、途中棄権に終わっている。しかし、福岡のコースをすでに走っているという強みを生かして終盤のスパートに備え、前回王者として恥ずかしくない走りを今回してくるだろう。

 

・ビダン・カロキ 27歳 DeNA ケニア 自己記録:2時間07分41秒(2017年, ロンドン)ロンドン世界選手権10000mケニア代表、2016年世界ハーフマラソン選手権銀メダル

直近のマラソン成績:ロンドンマラソン(2時間07分41秒=3位, 2017年4月23日)

福岡への調整レース:東日本実業団駅伝(3区9.2km:25分33秒=区間賞, 区間新記録, 11月3日)

(※カロキは日本のDeNAに所属しているため今回は国内招待選手としての参加となるが、ここではケニア人=海外選手として扱う)

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Photo ©2016 SushiMan Photography DeNAのビダン・カロキ

日本でも御馴染みのDeNAに所属するカロキは、今年の4月にマラソンデビューをロンドンで果たした。そのレースでは、初マラソンながらも世界記録ペースの激流を体験し、2時間07分41秒の記録で3位に入った。初マラソンでワールド・マラソン・メジャーズの世界6大マラソンで3位に入ったのは大迫と同じであり、胸を張って2回目のマラソンに今回臨んでくる。カロキもまた、今回の優勝候補の一人である。

カロキは、今年のニューイヤー駅伝のインターナショナル区間の2区で18人抜きの区間賞。その後ケニアに帰国してトレーニングをして、2月のRAKハーフで59分10秒の自己新記録で優勝。その後、4月のロンドンマラソンでマラソンデビューを果たし、さらには8月のロンドン世界選手権でケニア代表として10000mに出場し、26分52秒12の自己新記録で4位に入った。また、直近のレースの東日本実業団駅伝でもインターナショナル区間で区間賞を獲得し、年間を通して調子が良いことをアピールした。今年に自己記録を連発している地力強化の面と、ロンドンマラソンでの激流に耐えたマラソン適正は、今回のレースで30km以降の爆発力に繋がるだろう。

 

・スティーブン・キプロティク 28歳 ウガンダ 自己記録:2時間06分33秒(2015年, 東京)リオオリンピックウガンダ代表、ロンドンオリンピック、モスクワ世界選手権マラソン金メダル

直近のマラソン成績:ハンブルグマラソン(2時間07分31秒=2位, 2017年4月23日)

福岡への調整レース:なし

ウガンダのスティーブン・キプロティクは、2012年のロンドンオリンピックのマラソンで、ウガンダにオリンピックでの初の金メダルをもたらしたウガンダのヒーローである。彼はその翌年のモスクワ世界選手権のマラソンでも優勝を果たした。その後は国際レースでの優勝はないが、2015年の東京マラソンを2時間06分33秒(自己記録)で2位、2016年の東京マラソンを2時間07分46秒で4位に入っている。

キプロティクは、今回の福岡が日本での4回目のレース(東京マラソン×3回)となる。今年はロンドン世界選手権に出場していないが、今年の春のハンブルグマラソンで2時間07分31秒の2位に入っていることを考えると大きく力を落としているとは考えにくく、優勝候補の一人として考えられる。エリウド・キプチョゲと同じ、ケニアのグローバルスポーツのキャンプで生活し、トレーニングにはげんでいる。近年のキプチョゲの活躍に間近で刺激を受けており“今度は自分の番だ”と気合いが入っているだろう。

 

・ソンドレ・モーエン 26歳 ノルウェー 自己記録:2時間10分07秒(2017年, ハノーファー)リオオリンピックマラソン、ロンドン世界選手権5000mノルウェー代表

直近のマラソン成績:ハノーファーマラソン(2時間10分07秒=3位, 2017年4月9日)

福岡への調整レース:バレンシアハーフ(ハーフマラソン:59分48秒=4位, ノルウェー新記録, 欧州歴代2位, 10月22日)

日本のマラソンファンには馴染みが薄いであろうが、このノルウェーのモーエンが今回の台風の目となるだろう。モーエンはリオオリンピックのマラソンの後にコーチを変えた。そのコーチとは、イタリア人のレナート・カノーバで、ケニアで長年、世界中の中長距離選手を指導しているパイオニアである。今年のロンドンマラソンで女子マラソンの世界記録(女子のみのレース=男女混合のレースでない、もしくは男子のペーサーを使わない)を更新したケニアのメアリー・ケイタニーもカノーバの指導している選手であり、そのカノーバに自ら、コーチングをしてほしいと申し出たのがこのモーエンである。

モーエンは去年の秋からケニアのイテンに居住し、標高2400m前後でコーチカノーバのメニューを消化。春先もヨーロッパの高地をその時々にうまく使い分けレベルアップをはかった。今年の4月のハノーファーマラソンでは、胃のトラブルに見舞われるも3位に入り、2時間10分07秒の自己記録。サブテンの実力はほぼあるとみていい。また、10月のバレンシアハーフでは、59分48秒という欧州歴代2位の素晴らしい記録を樹立した。モーエンは非アフリカ系の選手として、ハーフマラソンだけでなくマラソンで今後も注目の存在である。この福岡でもサブテンを出してきて上位に食い込むだろう。そして、モーエンが優勝してもおかしくはない。

(※興味がある人は、こちらからモーエンについてのこの1年の詳しい詳細を見ることができます)

レース展望と優勝への条件

福岡国際マラソンでは、レースは通常30kmまでをペーサーが引っ張って、そこからが勝負の見所となるのだが、昨年は23km手前、一昨年は25kmでペーサーが突如走るのを止めてしまった。もしそれが30kmであったとしてもペーサーが外れてからは、ほとんどの場合でペースアップもしくはペースダウン、または選手間の位置取りの変更が発生する。今年も30kmまでにペーサーが外れてしまうようなことがあれば、それを見越して早めに集団を崩しにかかる選手があらわれるかもしれない。いずれにせよ、集団がばらけ始める後半に、

①誰が仕掛けるのか

②どこで仕掛けるのか

がポイントとなってくる。①に関しては、海外勢、川内、大迫あたりがポイントとなり、②に関してはペーサーが外れたとき、もしくはオーソドックスに30kmや35kmが一つの目安となるだろう。福岡国際マラソンのコースは基本的にフラットで走りやすいコースである。32kmの手前で折り返してそこからゴールに向かうが、当日の風向きと風の強さによっては、そこで一旦ペースが落ち着き、駆け引きのポイントを終盤に残す可能性がある。そうなったときに、集団がまだばらけていなければ日本人選手の優勝への可能性がより高まるであろう。

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Photo ©2016 SushiMan Photography 昨年のレースの模様

福岡国際マラソンでは2005〜2016年まで12年連続で海外選手(日本人選手以外)が優勝している。また、その12年の優勝記録は2時間05分18秒〜2時間08分48秒。少なくともペーサーがレースを先導するこの福岡国際マラソンでは、序盤のペースは安定しているので、最低でもサブ2時間09分を達成しなければ優勝する事は厳しいだろう。2011〜2016年までの結果をみると、日本人選手は毎年1人か2人がサブテンを達成し、日本人トップは2位〜4位に入っている(川内優輝が3回、3位に入っている)。

とはいえ、今回の豪華な顔ぶれを見る限り、日本人選手には記録として2時間08分切りを、順位としては“優勝争い”を期待したい。そのどちらも、最近の福岡国際マラソンではしばらくみられていない。レース当日の気象条件(今のところ週末の福岡は良好のコンディションが予想される)もあるが、日本人選手たちの積極的なレース展開で、2時間06分台や07分台、さらには13年ぶりに日本人選手の優勝を見ることができるだろうか。福岡国際マラソンの号砲は12月3日(日)の12時10分。注目の一戦から目が離せないこと間違いなしだ。

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