原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?

6月2日の夜に、原宿の明治通りのアディダスブランドコアストア原宿を起点とした“RUNNING 3on3”のイベントが開催された。このイベントはPure BOOST DPRの新発売を記念して、そのプロモーションのイベントとしても十分な意味を持っているが、原宿、表参道、渋谷、青山、神宮外苑等の日本の都会のド真ん中を駆け抜ける“シティランニング”を楽しんでもらおう、という目的も持っている。アディダスブランドコアストア原宿が発信するシティランニングや3on3バトルの魅力とは何か。このイベントのレポートとともにお届けする。

シティランニングとPureBOOST DPR

原宿、表参道という場所は、日本の中でもトップクラスのショッピング激戦区である。そのようなこともあり、この場所には各スポーツメーカーが旗艦店を置く。昨年11月に原宿にガラス張りの旗艦店をオープンさせたニューバランスは、近年において、この地区では最も大きな投資に打って出た。その後、2017年3月にオープンしたアディダスブランドコアストア原宿。この激戦区で生き抜くには、製品群の充実、より良いサービスの提供、魅力的な店内のレイアウトやスタッフのホスピタリティ、そして質の高いプロモーションやマーケティング戦略が求められる。

近年は都心における各スポーツメーカーが行うランニングのイベント、グループランの興隆が目覚ましい。アディダスランナーズ(AR)ナイキランクラブ(NRC)ニューバランスランクラブ(NBRC)など、各スポーツメーカーは日本の主要都市のみならず、グローバルに繋がるランニングクラブをそれぞれ独自に形成している。アディダスジャパンにとってこの激戦区で生き残るには、より洗練されたオリジナリティを確立していかなければならない。

そもそもランニングやジョギングは、例えば、皇居や公園や競技場などを、ジャージや短パン姿で走る、という身のこなしが一般的であり、そのように普及していった。しかし今では、お洒落なランニングウェアやシューズとともにクールな身のこなしで、煌びやかな街を颯爽と駆け抜けるシティランニングが若者や都心のランニングクラブを中心として盛り上がりをみせている。競技志向の高いものもいれば、ファンラン、仮装ラン、トレイルラン、ラントリップ、そしてシティランニングなどと、ランニングカルチャーは年々多様化している。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像PureBOOST DPRを履いて準備完了 ©2017 adidas Japan KK

そのシティランニングに最適なのが、今回のイベントで参加者に渡されたPureBOOST DPRである。その特徴はミッドソールに搭載されたBOOST TMフォームの優れた反発性とクッション性である。そして何よりも“見た目のカッコ良さ”が街での普段履きやランニングには求められる。クールなシューズが持つのはビジュアルのカッコ良さだけではない。シティランニングに必要なコーナーでの機動性に優れたこのシューズの性能を、実際に体験するためにこのRUNNING 3on3が行われたのだ。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像今年の箱根駅伝9区を走った池田生成さん(左)も参加 ©2017 adidas Japan KK

3on3バトルに求められる3つの要素

3on3バトルのルールは以下の通りである。

1 スタート地点(今回は原宿店)を各チーム一斉にスタートし、決められた制限時間内に多くのポイントを獲得したチームが勝利する。

2 あらかじめ渡されたコースマップ上の、チェックポイントにいるスタッフが持つサイリウムライトをスタート地点に持ち帰った時点でポイントが付与される。

3 サイリウムライトは先着順に獲得できる。各チェックポイントのサイリウムライトの数は決まっており、一回戦は各地点2つ、つまり先着2チームの選手が獲得できる。

4 制限時間を超えてスタート地点に持ってきたサイリウムライトはポイントにはならない。

5 サイリウムライトのポイントは、基本的にスタート地点から遠い場所ほど高得点になる。

6 同点だった場合、まわったチェックポイントの数や走行距離の総合計などで勝敗が決まる。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像チームの3人で事前に戦略を練る ©2017 adidas Japan KK

各チーム、コースマップとシューズを受付時に受け取り、その履き心地を確かめた後、チームで地図を見ながら戦略を立てる。一回戦は受付時の抽選によって決められたA~Dブロックごとに、4または5つのチームが対決した。1チーム選手は3人で、一回戦は17チーム総勢51名が各ブロックのエリアのサイリウムライトをめがけ一斉に夜の街に繰り出した。私はBブロックの選手として参加し、その作戦はメンバーの走力を活かし、できるだけ遠い場所にあるサイリウムライトをめがけ、高得点を狙うことであった。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像一斉に夜の街を走り出す参加者たち ©2017 adidas Japan KK

序盤は私よりも走力のある他チームが先行したが、設定されていたサイリウムライトの数は2本。しばらくしてから2番目で獲得できる見込みが立ったので、冷静に目的地を目指した。途中、道に迷い、どうなることかと思ったが、無事にスタッフを発見し、サイリウムライトを受け取る。あとは制限時間内にスタート地点へ戻るのみ。その後、無事にスタート地点に制限時間内に戻りポイントを獲得。しかも、チームは1回戦を通過。その後もサイリウムライトめがけて夜の都会を駆け抜け、準決勝、決勝と3回もこのRUNNING 3on3を体験できた。煌びやかな東京の街を駆け抜ける爽快感がたまらない。また、このPureBOOST DPRのシューズも評判通り、コーナーでの機動性に長けていた。自身の五感を通してRUNNING 3on3の醍醐味を体験できた。

 

私が感じたRUNNING 3on3を制するために必要な要素は以下の3つ。

1 走力、知力、修正力 -想定と実践と修正-

地図やコースを見て、実際に走るルートを事前に戦略的にはじき出す。選手3人の配置と獲得できそうなポイントの見込みを立てておく。万が一、他のチームにサイリウムライトを獲得されそうな場合の修正案や、そのルートをはじき出しておく。ここで必要となるのは、目的地に早く到着する“走力”と、道を十分に把握しているかという知力”だけではなく、事前にシュミレーションした展開と、実際の展開とを照らし合わせていき、所々で修正を加える“修正力”である。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像走力だけでは勝ち上がれない ©2017 adidas Japan KK

2 制限時間内に高得点を獲得するための戦略

基本的にスタート地点から遠いチェックポイントのサイリウムライトを獲得すれば高得点となる。しかし、遠すぎるがゆえに制限時間内に戻って来れないというリスクが存在する。チームの選手の走力や他のチームの走力や戦略を見込んだ上で、自分のチームにとって最善の案を実践する必要がある。場合によっては、近くのチェックポイントからポイントをかき集めるという作戦も有利に働く場合がある。

3 街を通行する人への配慮と交通マナーの厳守

このイベントを行ううえで最も重要なことである。速く走れば勝利に近づくが、速く走れば走るほど、街中においては通行者との接触の危険性が高まる。街はランナーだけのものではない。その場所にいるすべての人に対しての配慮が必要である。危ないと思ったら止まる、道を譲る、交通ルールを厳守するなど、一般的なマナーを守る必要がある。これを守れなければ、このイベントで失格になるどころか、交通事故や接触事故を引き起こす可能性があるということを、十分に念頭に置かなければならない。

一体感を生み出した素晴らしいイベント

近年ではファンランやグループラン、シティランニングといった競技的なものよりは、走ること自体をみんなで楽しむ人が増えてきた。今回のイベントでは、一斉に走り出した後はそれぞれの得点を目指してバラバラになるものの、RUNNING 3on3が終われば、その嬉しさや悔しさをチームメイトと共有できる。これはまさに駅伝を走り終えた後のチームの一体感と同じようなものであった。このイベントの凄味を感じたのはその後だ。一回戦で敗れたチームはその場で帰るのではなく、準決勝や決勝も会場にあるモニターで、みんなでリアルタイムで観戦をする。それを可能にさせたのが“GPS機能”だ。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像モニターの地図上に選手の現在位置が映し出される ©2017 adidas Japan KK

準決勝からはスタートする前に、GPS機能のついた端末を渡され、それを装着したままコース上を走る。私はモニタリングされているまま、原宿から乃木坂のデニーズを目指して走り出した。ある地点までは私たちチームの3人は同じ方向に向かい、ある地点で二手に分かれた。その様子や、その戦略はすべてリアルタイムでモニター上に映し出された。ここで、一番重要なのは、観客はこのイベントを一度は体験しているため、他チームの戦略を、自分たちのチームの戦略と比較して楽しむことができる。例えば、このチームの選手はみんな遠くに行っているので高いポイントを獲得できそうだな、このチームは近場のポイントを狙っているな、であるとか、その場の雰囲気を、一度参加しただけあって鮮明に思い出すことができる。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像制限時間ギリギリで戻ってきた選手を祝福 ©2017 adidas Japan KK

サイリウムライトを手にして、一生懸命な表情でスタート地点に戻ってきた選手には、祝福の大歓声や拍手が起こる。まるで自分のチームの選手を応援するかのような盛り上がりをみせていた。チームの垣根を越え、走る者をみんなが一丸となって応援する、そんな一体感を感じることができた。大きなマラソン大会ではなく、いちスポーツメーカー主催の小規模なランニングイベントでこのような一体感を感じることは珍しく思えた。これは、私にとっても参加者全員にとっても新しい発見であった。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像全力でスタートする高木さん ©2017 adidas Japan KK

このイベントに参加した、アディダスランナーズでキャプテンを務める高木聖也さんは「思った以上にハードで、レベルが高かったです。青山学院大学陸上部OBで固めた私のチームも予選敗退…ただ、準決勝、決勝と観ている側も楽しめる、エキサイティングなイベントでした。このようにランニングを楽しめ、且つ本気度の高いイベントが増えるといいですね。」と、その感想を興奮した様子で話した。

「原宿、表参道、渋谷を走った「adidas Running 3on3」って何?」の画像イベントスタート前の集合写真 ©2017 adidas Japan KK

今回のRUNNING 3on3は、今後もアディダスの一部の店舗で定期的に行われる見込みであり、今後、様々な場所でRUNNING 3on3が広がっていくかもしれない。その中で、街の人への配慮を忘れずに、どういう目的でこのイベントが行われているかを認知してもらう必要がある。そして、RUNNING 3on3やシティランニングが街の人々に認めれるような文化として定着していけば、スポーツや運動への機運が高まり、結果として各スポーツメーカーの売上の向上に繋がるのかもしれない。アディダスの今回のイベントを皮切りに、都市部における各スポーツメーカーの顧客をめぐるRUNNING 3on3=陣取り合戦は始まったばかりだ。

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