4時間あるなら50km走る!? 最強「公務員ランナー」を兄に持つ川内鮮輝選手

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先日、2017年8月にロンドンで開催される世界選手権のマラソン日本代表に川内優輝選手が選ばれました。川内優輝選手は、2020年の東京オリンピックは目指さず、3度目の出場となる今回の世界選手権を「これが最後の代表」と語っています。最後の走りに期待しましょう。

そんな川内優輝選手ですが、実は3兄弟の長男。そして弟2人ともランナーという一家なのです。今でも3兄弟で一緒に練習をすることもあるとか。今回は川内3兄弟の次男であり、プロランナーでもある川内鮮輝(よしき)さんにお話を伺いました。

最強公務員ランナーを兄に持つということ

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ーー優輝さんが世界陸上の代表に選ばれましたね。川内家の反応はいかがでしたか?

嬉しかったですね、代表はこれを最後にするみたいなので、頑張って欲しいです。ただ、兄は純粋に走ることそのものを楽しんでいるので、ロンドンが終わっても走っていると思います。

ーーなるほど。当日は応援に行かれるんですか?

はい、行きます。家族みんなで行く予定で、チケットも予約を進めています。兄は1週間前には入っているみたいで、私たちは3日前くらいに行きます。今年の世界陸上は女子と男子が同日に行われて、恐らく10kmの周回コースになると思うので、応援側としては嬉しいですね。川内スペースをぜひ作りたいです(笑)。

ーーそれは楽しみですね!ちなみに「川内優輝の弟」と呼ばれることについて、鮮輝さんはどう思っていますか?

そこまで気にしていないですね。マラソン大会の招待選手として出られたりするので、良いこともあります。ただ、自分自身もまだランナーとして陸上を突き詰めている途中なので、「そこで結果を出してやる!」とも思っています。

私は、兄が生活の全てを陸上のために振り切って突き詰めているところを尊敬しているので。その精神力は凄いなと思います。

7時間ジョグも!?一味違う川内家のトレーニング

「4時間あるなら50km走る!? 最強「公務員ランナー」を兄に持つ川内鮮輝選手」の画像2015年の女神湖杯駅伝を共に走った坂本兄弟、川内優輝さんと

ーー今でも兄弟で練習することはありますか?

はい。今でも一緒に練習したりしますね。私がウルトラマラソンのための50kmジョグをするときに兄もついてきてくれたりして。終始陸上談義をしながら走っています。

ーー陸上談義!気になります(笑)。そして50kmもジョグできるのが凄い。頻繁に走っているんですか?

50kmジョグは気軽に行きますね。「4時間あるから50km行くかー!」みたいな感じで(笑)。週末に試合がなければ、1週間に1回は定期的に入れていきたいなと兄と話しているので。

実際に50kmを走って身体が極限まで疲労してくると、一歩一歩の地面をとらえる感覚がリアルになってくるんです。フォームが効率的になっていく感覚です。兄は「(感覚が研ぎ澄まされて)身体がだんだんシビレてくる」って言っていたんですけれど、それはたぶん軽い脱水症状ですね(笑)。

ーー弟の鴻輝(こうき)さんとは一緒に練習しているんですか?

そうですね、3人でスピード練習はします。この前は近所のトラックで100m走もしたりしました(笑)。ただ、鴻輝は私と兄よりもゆっくりとジョグをしたい派なので、ロングジョグは一緒にはやらないですね。

ーーまた、鴻輝さんは先日会社を退職されましたが、プロランナーになられるんでしょうか?

鴻輝は株式会社モンテローザの陸上部が廃部になったので退職したんですけれども、実は既に会社を起こしていまして。「KK スポーツ」と言うんですけれども、川内家のマネジメントやランニング教室の運営をしていく予定のようです。私もそこの所属アスリートになっているので、もっともっと頑張らないといけないなと思います。

走ることがマイナスからプラスへ

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ーー子どものころから一緒に練習をされていたんですか?

はい、母に連れられて3人で練習していました。ただ正直、あの当時はきつかったですね。母の練習方法がスパルタで(笑)。毎日タイムトライアルを行って、前日の記録を更新し続けなければペナルティがありました。学校にいても、友だちと遊んでいても、練習のことがずっとプレッシャーになっていました。

兄は全力で走ってぶっ倒れていて、鴻輝は上手に力の加減をしながらこなしていたのですが、私は反発したり、体調を崩して記録が出せなかったりして。でもメンタル面ではいろいろと鍛えられましたし、今となっては感謝することも多いですね。

※川内家の幼少時代の練習については、以前に母の美加さんも話してくださいました。

ーーそれは大変でしたね。

でも中学生になって陸上部に入ってからは、走ることの楽しさに気づきました。練習のプレッシャーから開放されたり、速く走れると友だちやクラスメートが褒めてくれたりして。今では走ったあとの達成感だけではなくて、走ること自体が楽しいと感じています。

ーーちなみに、鮮輝さんは将来子どもにランニングを勧めますか?

無理には勧めないです。ただ、自分が楽しそうに走っている姿を見て、自主的に走りたいと思ってくれたら良いですね。

けじめとして100kmマラソンの日本代表へ

「4時間あるなら50km走る!? 最強「公務員ランナー」を兄に持つ川内鮮輝選手」の画像大阪マラソンにてウルトラマラソン世界記録保持者の砂田さんと並走

ーーこれからの鮮輝さんの目標を教えてください。

私は、来年までに100kmマラソンの日本代表を目指しています。走ることが好きで、それが自分のアイデンティティになっているので、けじめとして結果を残したいと考えています。そのために、今年はウルトラマラソンの大会に4回出る予定です。

ーーそれはすごいですね。ちなみに100kmマラソンってどのくらいのペースで走るんですか?

日本代表レベルだと100kmを6時間30分とかで走ります。その中にトイレや給水、給食も含まれているので、実際は1kmを3分50秒くらいのペースになります。私はまだ7時間20分なのですが、これから記録を上げていきたいです。もし結果を残せたら、走ることの優先順位を下げて、その他の生活も充実させていきたいと思います。

ーーなるほど、最後にウルトラマラソンの魅力を教えてください。

はい。ウルトラマラソンは普段の生活の集大成だと思っています。何を食べるか、何をするか、何時に寝るか、全てがウルトラマラソンにつながっていると思います。だからこそ、走ることを中心に生活をしていけることがウルトラマラソンの魅力だと感じています。

ーー日本代表へ向けて頑張ってください!今回はありがとうございました。

プロフィール

川内 鮮輝(かわうち よしき)さん

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国学院大学出身、都内の印刷会社に勤めた後にプロランナーへと転向。「第1回サンスポ古河はなももマラソン」男子の部で初のフルマラソンにして優勝を果たす。最強の公務員ランナー、川内優輝選手の弟であり、ウルトラマラソンランナーとして活動している。「隠岐の島ウルトラマラソン 2016」優勝、「第31回 田沢湖マラソン」優勝。

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