【最新版】話題の厚底レーシングシューズ7選!2022年箱根駅伝注目のシューズは?
Dec 20, 2021 / SHOES
Jan 03, 2022 Updated
昨今、エリート選手から市民ランナーまで多くのランナーがレースで着用している『厚底レーシングシューズ』。特に2021年は各シューズブランドから注目モデルが登場した1年でした。
Runtrip Magazineでは以前にも厚底レーシングシューズの比較記事をお届けしましたが、今回はその後登場したモデルやアップデートされたモデルも含め『2021年最新版』としてシューズアドバイザー 藤原岳久さんと解説します。
■前回の厚底レーシングシューズ比較はこちら
藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わり20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、50歳になった現在も走るシューズアドバイザーです。
2021年に登場した注目モデルは?
大森:話題の厚底レーシングシューズについてシューズアドバイザー 藤原さんに解説していただきます。よろしくお願いします!
藤原:よろしくお願いします。
大森:こちらに5足の厚底レーシングシューズが並んでいますが、各シューズにどのような特徴がありますか?
藤原:はい。中央にあるのが、ナイキ『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2』ですね。キング・オブ・レーシングシューズとも呼べるほど、言わずと知れた王道シューズです。近年は『ヴェイパーフライ』が長距離界を席巻していましたが、2021年は多くの厚底レーシングシューズが登場しました。まずはアディダス『ADIZERO ADIOS PRO』シリーズ最新モデル『ADIZERO ADIOS PRO 2』です。
大森:初代『ADIOS PRO』から見た目がだいぶ変わりましたよね。履き心地は初代『ADIOS PRO』と『ADIOS PRO 2』の間にどのような違いがありますか?
藤原:『ADIOS PRO 2』は非常にヴェイパーフライに近い仕上がり。中足部の凹みにより軽量感もありますが、接地時に動きが出るようになりました。そのため、初代モデルの方が安定感を感じられます。『ADIOS PRO 2』は接地時の横振れを作り出しているので不安定さがあります。ランナー自身が横振れを制御しないといけないところがヴェイパーフライの構造と共通しています。
個人的には初代『ADIOS PRO』の方が好きなんです。世界的に見ても未だに『ADIOS PRO 2』ではなく初代『ADIOS PRO』を履いている契約アスリートがいるほどです。
大森:つまり、アスリートの中にも安定感を好む選手がいるということでしょうか?
藤原:そうですね。初代『ADIOS PRO』は非常に安定感とクッション性を感じます。しかし、揺れのある動きに変わったことで推進力は『ADIOS PRO 2』の方が感じられると思います。
あと、2021年のトピックスとしてはニューバランス『FuelCell RC Elite v2』も登場しました。他のモデルと比較しても遜色なく、さらに扱いやすいです。
大森:そうですよね。さらに、“厚底ビギナー”でも履きやすい走り心地を感じられました。
箱根駅伝に向けて注目の厚底シューズ
藤原:それから、もうすぐ箱根駅伝がありますよね。箱根駅伝で台風の目になるシューズを紹介したいと思っていて、私はこれだと思いますよ。アシックス『METASPEED Sky』。
大森:おお! 『METASPEED Sky』! たしかに、駅伝シーズンに入りレースでこのシューズを着用する選手が増えてきていますよね。
藤原:はい。世界的な流れを見ても、ナイキの契約アスリートがアシックスへ変更する動きがありました。アスリートたちにとって『METASPEED Sky』が好感触だったのだと思います。その選手たちが結果を出しているので、2022年の箱根駅伝でも着用する選手が多いと予想しています。『METASPEED Sky』は先ほど話した初代『ADIOS PRO』にも似た、安定感と軽さを両立したシューズなんですよね。
大森:たしかにそうですよね。このシューズを履いて走ると、私も走りやすいと感じるほど安定性を感じました。
藤原:また、サッカニー『ENDORPHIN PRO』も2代目『ENDORPHIN PRO 2』が登場しました。今作はアッパーのみのマイナーチェンジ。前作『ENDORPHIN PRO』の非常に良い履き心地を引き継いでいます。価格も他の厚底レーシングシューズと比較するとお手頃な¥19,800(税込)です。
大森:たしかに市民ランナーのなかでも、愛用者が増えてますね! 前作のフィーリングが非常に良かったので、マイナーチェンジだったことを歓迎する雰囲気がありますよね。
藤原:さらにこのシリーズはアスリートの声に応えた最上位モデル『ENDORPHIN PRO+』が登場しました。ENDORPHIN PRO+のレビューでも話しましたが、『ヴェイパーフライ』や『ADIOS PRO 2』に近いつくりに仕上げられています。
大森:接地時に揺れるような動きがあるということですか?
■ENDORPHIN PRO+のレビュー記事はこちら
藤原:そう。その理由はアッパーにあります。ソールユニットは『ENDORPHIN PRO 2』と同じですが、スパイクシューズのような薄いアッパー素材を採用しています。甲周りのサポートがなくなった分、接地時の揺れをより感じるようになりました。まさにスピードを出すためのつくり。箱根駅伝を目指すような学生ランナーも好みの走り心地だと思いますね。
大森:そうですね。アッパーの見た目からもサポートがない様子が伝わってきます。
藤原さん注目の規格外シューズ
藤原:最後に紹介するシューズはこれ。アディダス『ADIZERO PRIME X』。
大森:規格外シューズ『ADIZERO PRIME X』!
藤原:そう、まさに規格外の超厚底シューズ。ミッドソールの厚さが50mm、5本骨状カーボンバー『エナジーロッド』とナイロンバー『エナジーブレード』を2層に配しています。世界陸連の規則で公認ロードレースは、ミッドソールの厚さ40mm以下のシューズのみ着用が認められているため50mmの『ADIZERO PRIME X』は規則に反した “イリーガルシューズ” 。私はこのシューズで下りの10kmコースを走ったら32分35秒でした!
大森:めちゃめちゃ速い!(笑)
藤原:実際のところ、着地時に強い衝撃が加わる下り坂では強い反発力をアドバンテージにできましたが、平地では扱いづらい印象がありました。しかし、このシューズは “規格外” というルールを逸脱したコンセプトにこそ存在意義があります。世界陸連が定めるルールに縛られず、アディダスが培ってきたテクノロジーが各所に散りばめられたモデル。この感覚を体験したい方に、ぜひおすすめしたいシューズです。
大森:そうなんですね! ぜひこの走り心地を体験していただきたいですね。
各シューズおすすめの選び方
大森:藤原さんの解説をまとめると、私たち市民ランナーがレースで着用する場合は『ENDORPHIN PRO+』『ADIZERO PRIME X』以外の5足がおすすめということですね。
タイプ別に分けると、着地時に揺れを感じるタイプがナイキ『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2』、アディダス『ADIZERO ADIOS PRO 2』。安定性を重視したタイプはニューバランス『FuelCell RC Elite v2』、アシックス『METASPEED Sky』、サッカニー『ENDORPHIN PRO 2』という分類が分かりやすいでしょうか。
藤原:そうですね。揺れを感じるタイプは厚底レーシングシューズ特有の特徴を大きく感じられるモデル。自分の脚でブレを制御しなければなりませんが、よりスピードを出したいランナーへおすすめです。安定性重視のタイプはエリートランナーだけでなく、多くのランナーが短い距離から試していただきたいシューズです。
大森:そうですね。たとえば、レース後半で脚筋力を保てる自信がないランナーは安定性重視のシューズがフィットすると思います。一言に『厚底レーシングシューズ』といっても、そうした選び方をしていくことが大切ですね。ぜひ、藤原さんの解説を参考に選んでみてください。藤原さんありがとうございました!
シューズ詳細情報
1.ナイキ|ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2
・価格:¥26,950(税込)
2.アシックス|METASPEED Sky
・価格:¥27,500(税込)
3.アディダス|ADIZERO ADIOS PRO 2
・価格:¥26,000(税込)
4.ニューバランス|FuelCell RC Elite v2
・価格:¥28,600(税込)
5.サッカニー|ENDORPHIN PRO 2
・価格:¥19,800(税込)
6.サッカニー|ENDORPHIN PRO+
・価格:¥23,100(税込)
7.アディダス|ADIZERO PRIME X
・価格:¥36,300(税込)
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藤原 岳久さん
F・Shokai 【藤原商会】代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
藤原商会オフィシャルサイト