【メンタル】あなたのそれはランナーズハイではない?スポーツ精神科医が解説
Apr 22, 2020 / MOTIVATION
May 01, 2020 Updated
わかっているようでわかっていない感覚の一つが『ランナーズハイ』。今回は、スポーツを真剣に取り組む方のメンタルケアを行うスポーツ精神科医・岡本浩之先生をお招きして、『ランナーズハイ』について解説してもらいました。
岡本先生は、これまで120人以上のアスリートの治療を担当するなど、メンタルケアの最前線にいながら、2時間48分でフルマラソンを走るランナーでもあります。
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ランナーズハイとは?
走り出してからしばらくすると呼吸が苦しくなり、体が重たくなる感覚、どのランナーにも心当たりがあるでしょう。長距離を走る時の序盤はなかなか苦しいもの。でも、この苦しい状態が続くと、徐々に呼吸が整い、体が軽くなっていく感覚が得られます。「むしろ、今日調子いい? 」と思う時も。
このまま集中していく状態を『ランナーズハイ』と思っている方が多いと思いますが、実はこれ、『デッドゾーン』と『セカンドウインド』と言われる状態とのこと。「え? ランナーズハイじゃないの? 」と声が聞こえてきますが、「これは体の機能が走ることに慣れてきた状態で、ランナーズハイではない」と岡本先生。
スポーツ精神の領域で、『ランナーズハイ』については様々な説があるようです。
よく言われる説は、 “エンドルフィン” が分泌された状態のこと。このエンドルフィンは、ガンの痛みをとる際に使われるモルフィネに似たものを想像するとわかりやすい。ただ、エンドルフィンは体の痛みを和らげるものだったりするので、精神的な部分の大きい『ランナーズハイ』に影響を与えないのでは、というような研究結果もでてきました。
そこで出てきたのが、脳内マリファナ類似物質である “内因性カンナビノイド” が影響するのでは、という説。また、脳にある “前頭葉の影響” といった説。前頭葉の活動が疲労によって落ちている際に、ランナーズハイという状況になるのです。
ランナーズハイを説明する研究結果は様々。ただ、走りで追い込んだ後にやってくることには間違いなさそう。『ランナーズハイ未体験』という岡本さんや岡田さんは、「つまりは、伸び代がまだある」と盛り上がるのです。
精神科院長。スポーツ精神科医としてアスリートのメンタルケアや運動講座開催、講演、執筆、動画配信を行う、フルマラソンを2時間48分で走る市民ランナー。
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