10736日間で途切れた「連日ランニング記録」に思うこと
Feb 05, 2020 / COLUMN
Feb 05, 2020 Updated
昨年のクリスマス・イブのことだから、もはや旧聞に属する話題なのだけど、ランナーたちのモチベーションを強烈に刺激するニュースが米国3大テレビ・ネットワークの1つであるCBSで放映された。
ペンシルバニア州ピッツバーグ市にあるボールドウィン高校でクロスカントリー走部のコーチを務めるリッチ・ライト氏が約30年間、正確には10,736日間に渡って続けた連日ランニング記録がこの日に途切れた。ライト氏は1990年に走り始め、それ以来雨の日も雪の日も、最低1マイル(1.6キロ)以上のランニングを欠かすことがなかった。背中の故障により、右足の感覚がなくなってしまったため、数日後に手術を受けることが決まり、ついに走り続けることを断念せざるを得なくなったということだ。
この日、ボールドウィン高校にはライト氏がかつて指導した生徒たちやライバル校のランナーたちまでが大勢集まり、ライト氏とともに陸上トラックを4周した。はっきりとはわからないけど、映像で見る限り、その人数は100人を超えていただろう。
ライト氏はそれらの人々に囲まれて、歩行器を押しながらトラックをゆっくりと走り、最後の100メートルは教え子のランナーに両肩を担がれてゴールした。
ピッツバーグの冬は厳しい寒さで、氷点下10度以下になることも多いと聞く。それでいて夏は蒸し暑く、雨量も多い。けっして屋外でのランニングに適した気候であるとは言い難いのだが、ライト氏は生徒たちを指導するだけではなく、走り続けることの大切さを自らの背中で見せてきたのだと思う。手術が無事に成功したら、また走り始めるとライト氏は涙ながらに語っていた。