10736日間で途切れた「連日ランニング記録」に思うこと

超人ならざるぼくらはどうするか

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最後尾の黒いシャツがぼく。高校生たちと走ると、背中を見せるどころか、背中しか見えない

ところで、ぼくもライト氏と同じく、高校でクロスカントリー走部のコーチを務めている。それではライト氏と同じように、雨が降ろうが、槍が降ろうが、走り続けているか、生徒たちにもそのように指導しているか、と問われると、お恥ずかしいことにまったくそうではない。

それどころか、毎日走っていたら怪我をするし、飽きてくるし、あまり良いことはないぞ、と指導しているくらいだ。ひどく暑い日や雨の日にわざわざ外を走らなくても、室内でやれることはたくさんあるぞ、とも言い聞かせている。ピッツバーグに比べると、ぼくらが住む南カリフォルニアは、はるかに温暖で雨もずっと少ないにもかかわらずだ。

前にも書いたことだけど、ぼくの生徒たちは、頑張れと言ったときより、無理をするなと言ったときの方が素直に言うことを聞く。だから、シーズン中でも走るのはせいぜい週に4~5日くらいだし、最高気温が35度を超えるような日の練習は冷房の効いたジムで行う。

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高校のジム。暑い日はここで練習を行う。このような恵まれた環境からはハングリーなランナーは生まれない

若者よ、大志を抱け

ぼくの専門は、ストレングス&コンディショニングだ。ランナーの能力を高めて、また怪我のリスクを減らすためには、毎日休みなく走り続けることは効果よりも逆効果の方が大きいと思う。それよりも、走る日と走らない日を設けて、走らない日には別のトレーニングをするべきだとも思う。

だが、そのことは、上で紹介した超人たちが行っている偉業の価値をいささかでも減ずるものではない。ぼくの彼らに対する尊敬の念も変わらない。

だから、これを読んで、自分でもやってみようと奮い立った若い人がいれば、明日からとは言わず、今日からでも走り出してほしい。

若い人に勧めないで、自分でやれたら一番なのだが、それは無理だ。ぼくが今日から毎日走り始めたとして、50年を達成する頃には100歳を越えてしまうからだ。こういうことは老後に備えた積立貯金のように、始めるのは若ければ若いほど良いのだ。

生徒たちにも、よく言い聞かせている。「俺の言う通りにやれ。俺がやる通りではなく」

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