2016年10月13日

1997年1月1日に開催された「参加者27人、脱落者22人」という過酷なウォーキングレースとは

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ランナーの皆さんはウォーキングに取り組むことはありますか? ランニングもウォーキングも本気で取り組むと疲れるものですが、どこかランニングの前段にあるように見えるウォーキング。

長く時間をかけて行うウォーキングと、軽装にランニングをして脂肪を燃焼させるのは、どちらが体に良いのか。このテーマについては、長く研究者の頭を悩ませてきました。なかなか回答が出ないなか、同じ研究が、正反対の記事の見出しを出すなど、さらにわかりにくいことに。

WIREDによると、「ウォーキングはランニングより健康的」と『ガーディアン』紙が書いたのに対し、『Health Magazine』では「減量するにはウォーキングよりもランニングのほうがいい」というタイトルを付けた」と紹介されております。「コーヒーが体に良いのか悪いのか」、「男女の友情は有るのか無いのか」のように、難しい問題となっています。

どちらにせよ好んで行うスポーツは楽しいもの。好きだからこそ、とことん追究したくなるのです。

かつて、屋久島を舞台にした、ちょっと変わったウォーキング大会が開催されていました。これは屋久島を一周歩くという大会なのですが、皆さん、屋久島はどのような島なのかをご存じでしょうか。

この島を一周まわろうとすると約100kmにもおよび、月に35日も雨が降るという島なのです。また、この大会が開催されたのは1月。寒くて雨が降るなか開催される100kmのウォーキング大会。

この大会を発案したのは、書籍『屋久島発、晴耕雨読』の著者であり、民宿「晴耕雨読」を経営する長井三郎さんです。同大会発案のきっかけが、登山家の戸高雅史さんとの出会いだったことを同書で明かしています。既に、高校生に向けて「100kmウォーク」というプログラムを実施していた戸高さんとの交流から、屋久島で開催したいと思ったのです。

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「100kmというとんでもない距離をただひたすら歩く。その単純な行為の中で、何が見えてくるのだろう? 肉体的、精神的限界の中で、何を思い何を考えるのだろうか? 話を聞いているうちに、歩いてみたいと思った。おあつらえむきに、屋久島一周は約100kmときている。加えて、40代半ばになってアチコチ故障箇所が出はじめた自分に、いったいどれだけの体力や気力が残っているのか、それも確かめたい」(同書より)

全国的には無名な大会ではありますが、この発案にのった精鋭27人が、「歩いてみよや! 屋久島一周」として、1997年の1月1日午後0時に100kmウォークをスタートしたのです。

ただ、そこは屋久島“らしさ”が全開だったようで、晴れていたかと思ったら、今度は雷鳴がとどろき豪雨となる。衣服や靴はびしょ濡れに。1月の屋久島ともなると夜は寒いですし、また、翌日には台風のような突風が吹いたといいます。想像するだけで相当過酷ななかでのレースとなったのです。

一人、また、ひとりと脱落していく。あまりの厳しさにゴールできずに脱落していく参加社が続出。結局、完歩できたのはたったの5人。1位は22時間40分でのゴール。0時にスタートしたのですから、丸一日かかったことになります。何度も言いますが、1月の雨中でのレースです。そして、最後にゴールした参加者は、なんと33時間46分、これはこれで凄い。「もうだめだと何度も思ったけど、それでも成せばなるんですね、いい財産になりました」とは、この参加者。

他にも、レース中にマメができてしまい、あまりの痛さにシューズを脱ぎ捨て、なんと「裸足」で歩き出した人や、また、その姿に心を動かされ、一度はリタイヤしたものの一緒についていった参加者もいました。最後まで歩けなかった参加者の中には、反省を語ったレポートを9枚にわたって綴った人も。

何とも個性の強い参加者が集まったレースではありますが、マニアックなレースな程、こういった色の濃い参加者がいるものです。

1997年に始まった同大会ですが、なんと、その後10年間も続いたそうです。第10回大会には参加者が102人にまで増え、うち82人が完歩するという好成績。この10年間、同大会には、のべ566人が参加し336人が完歩したというのですから、皆さんの心と体の強さに驚くばかりです。

屋久島という南の島で“こっそり”開催されていた、なんとも羨ましいレース。いつか再開されないかぁと、楽しみにしているのは筆者だけではないでしょう。

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