ボンテージをランニングウェアに変えて…にしおかすみこさんがタレントランナーになった軌跡

「ボンテージをランニングウェアに変えて…にしおかすみこさんがタレントランナーになった軌跡」の画像真っ黒なボンテージに身を包み、鞭を片手にネタを繰り広げる。「にしおかすみこ」さんといえば、そんなSM女王姿が思い浮かぶことでしょう。私もお笑い好きなので、テレビで何度もその姿を見ていました。

しかし現在・・・

実はさまざまなマラソン大会に出場し、フルマラソンでサブ3.5も達成したランナーであることは、もしかしたらご存じないかもしれません。

最近ではお笑い芸人としてネタを披露する機会こそ無くなったものの、テレビ東京『なないろ日和!』などをはじめ、リポーターとして活躍するにしおかさん。では、なぜ彼女はマラソンを始めたのか。そして、どのようにして好記録を打ち出すほどのランナーになったのか。ご本人に詳しくお話を伺いました。

実は昔からスポーツウーマンだった!

–以前からスポーツには取り組まれていたんですか?

8歳の頃から水泳を始め、10年ほど競技に取り組んでいました。平泳ぎを専門にしていて、中学時代には県大会で優勝したこともあります。20歳からはしばらくダンスをしていて、ジャズやHIPHOP、ブレーキングなどいろいろ経験しましたよ。SM時代に「犬神家〜!」っていうネタがあったんですが、これ、実はブレーキングから生まれているんです。結局、ダンスも30歳くらいまでやっていましたね。

–あのネタに、そんな誕生秘話があったとは…。ちなみに、お笑いを志したのはいつだったんでしょうか?

お笑いを始めたのは、大学に入ってすぐ19歳の頃です。月1回のライブや前説くらいで昼間はアルバイト。夜間過程だったので、ちゃんと大学も卒業しました。最初は私服姿で漫談をやっていたんですが、ふと「何かキャラをつけなきゃ」と思ったんです。いくつか試してみたんですが、結局、最終的にいきついたのがご存じのボンテージ姿でした(笑)もう、若い方は知らないですよね・・・

マラソンとの出会いは番組企画

–私は、よーく覚えてますよ!そんなにしおかさんが、なぜマラソンを始めることになったんですか?

生まれて初めてフルマラソンを走ったのは、2008年の東京マラソン。とは言っても、仕事だったんですけどね。番組の企画で数ヶ月トレーニング。とにかく「膝を傷めないように」と、週2〜3回、1回10kmを超えないように走って臨みました。

結果、4時間45分で完走したんですが、正直「もう嫌だ」って思いましたね。大都市のマラソン大会は楽しかったですけど、それ以上に辛かったので。ゴール後の夜には1cmの段差すら上がれないほど筋肉痛で、翌日は“履く”という作業ができず、ワンピースも自力で着られなかったんですから。

–初フルで5時間を切るなんて、凄いじゃないですか!それをキッカケに、ランナーとしてランニングライフが始まったですね!?

いや・・・実は違うんですよ。東京マラソンを走った後は、すぐに走らなくなっちゃいました。でも運動しなくなると、血の巡りが悪くなるんですよ。末端冷え性に腰痛、さらには吹き出物まで。

「何かやらなきゃな〜」

と漠然と考えて、すぐ始められるジョギングすることにしたんです。これが、仕事関係なく走ることを始めたスタートライン。しばらくは、やったりやらなかったりの繰り返しでしたけどね。安田大サーカスのクロちゃんを誘って、歩いたり走ったり。誰か一緒だと、とりあえず頑張れます(笑)でもやっぱり続かなくて、そのとき思ったんです。

「大会に申し込んだら、さすがにやるんじゃないかな?」

そこで2011年の『さのマラソン大会』にエントリー。大会が楽しいのは東京マラソンで味わったけど、楽しむには練習しなきゃいけませんから。これが、仕事関係なく出場した初めてのマラソン大会になりました。そこで4時間05分という記録を出すことができて、「サブ4目指そう!」と次のステップが見えたんです。

–東京マラソンの完走から、3年近く空いたんですか!では実際にサブ4を達成したのは?

サブ4を達成したのは、2012年の「ちばアクアラインマラソン」です!仕事も含めての出場だったんですけど、やっぱり嬉しかったですよ〜。そこで、なんだか欲が出てきたんですよね。

「もうちょっと、いけるんじゃない?」

って。この頃からタイムを意識するようになりました。仕事でもゲストランナーとして声が掛かるようになってきて、少しずつランニングに割く時間も増えていった感じです。

SMの格好でネタをしていた頃なんて、ダンスこそやっていましたが、正直かなり不健康な生活だったんですよ。仕事が忙しいのは有り難いんですけど。しかし、それで「健康のために」と始めたジョギングが仕事にまで繋がっていくなんて、当初は想像もしていなかったですね。嬉しいことです。

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–実際に走ってみて、仕事・プライベートで変化はありましたか?

とにかく代謝が良くなりました。自分でもビックリするくらい汗かくんですよ!そして、悩みだった末端冷え性や腰痛、吹き出物は改善。健康体になれたと思います。

あと、集中力が持続できるようになったかな。これは芸能業界だけじゃないですけど、やっぱり天才っているんですよね。ひな壇に上がってトークする際の切り返しとか、特に感じます。私は天才じゃないけど、やっぱりその中で少しでも役に立ちたいと思うんですよ。そのためには集中しなきゃいけないんですけど、集中するのってとっても体力が必要。走るようになって体力がついてきたから、100%をできるだけ長く維持できるようになってきたかなって感じています。まだまだ…ですけどね。

サブ3.5から停滞…打開策はウルトラマラソン!?

–当初の目的達成ですね。さらに今年、サブ3.5も果たしていると思います。そこに至るまでは、やはりトレーニングなど大変でしたか?

サブ3.5までは少し時間が掛かりましたが、2014年の『つくばマラソン』で達成しました。問題はその後。つくばマラソンは3時間28分だったんですが、以後、ずっと3時間27〜28分をウロウロと…伸び悩みですね。

「これじゃあダメだ!」

って分かってはいるものの、どうして良いのか分からず。そんなとき、知り合いから意外な提案をされたんですよ。それが、ウルトラマラソンへの挑戦でした。

「ウルトラマラソンをやったら、フルマラソンも速くなるよ」

って。かなり半信半疑でしたが、その人が一緒に走ってくれるというので、『能登半島すずウルトラマラソン』に出場することにしたんです。大会はとにかく辛くて、でも仲間がいるからなんとか完走できました。距離は約102kmなんですけど、ウルトラマラソンって、フルマラソンとは全然違うんですね。

でも、信じてよかった!今年出場した『青島太平洋マラソン』で自己ベストを更新し、3時間17分で走れたんです!これが現在の自己ベストですけど、本当に嬉しかった。知り合いに感謝ですよね。本当に、「ありがとう〜!」って思いでいっぱいです。

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青島太平洋マラソンで自己ベスト更新の快走

–素晴らしい記録ですよね!でも、まだまだ記録は目指しているんですか?

もう少し記録は目指したいなって思ってます。まずは、フルマラソンで3時間15分を切りたいですね。そして、もしもサブ3を達成できる日が来たら…あのボンテージを着て走りたいとも思っています。実現できるか分かりませんけど(笑)

あとは先日、サブ10を目指して「秋田100キロマラソン」に出場したんです。部門8位で入賞できたものの、残念ながら15分オーバーで目標は達成ならず…。まだどの大会にするかは決めていませんが、次こそリベンジします!

–ボンテージでの走り、ぜひ見てみたいです!実際、その目標に向けてどのように取り組んでいるんですか?

走る距離は、だいたい月300kmを目安にしています。そして今年から始めたのが体幹トレーニング。周囲からの勧めもあって、走る前に取り入れるようになりました。効果が出ると良いんですけど。だって、効果がなければやめちゃいそうなんですもん(笑)

基本的に1人で走るのが苦手で、ほとんど誰かと一緒に走ってます。ラン仲間を「走ろう」って誘って。でも必ず誰かいるわけじゃないので、今年は1人でも走るようにしているんですよ。年齢を考えたら、去年よりたくさん走ってトントンじゃないですか。実際、転びやすくなったり、走らない日があるとすぐしんどくなったりしますから。だから、妥協なんてしていられません。

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今年9月には人生2度目のウルトラマラソンに出場し部門8位の入賞

–しっかり目標を見据えて取り組んでいるんですね。ちなみにランニング以外にも、何か趣味なんてあるんですか?

はい、柴犬です!(笑)

柴犬が大好きで、時間があればしょっちゅう動画を検索して見ています。それはもう、携帯が容量オーバーで通信制限かかっちゃうくらい。毎月のように数日残して制限されるから、仕事で必要なときには困るんですけど…。実は今日も、仕方なく容量を追加しました。

でもやっぱり、時間があればできるだけ走るようにしていますね。いつか走るのが嫌になる日が訪れるかもしれないけど、その日まではずっと走っていたいと思っています。とりあえず、スポーツは好きですから。ただ仕事で寝不足のときは、無理せず睡眠優先ですけどね。

「ボンテージをランニングウェアに変えて…にしおかすみこさんがタレントランナーになった軌跡」の画像

–意外な回答、ありがとうございます(笑)最後に同年代でこれからランニングを始める方に、何か一言お願いします!

マラソンって、やっぱり地味だし、つまらないって感じることはあると思います。そんなときは、続けるために色んなものに頼ったら良いですよ。例えばインソールやシューズ、ウェアなどのオシャレなグッズを買って気持ちを高める。「やらなきゃ」って気持ちになります。

もしくはランニングクラブに入るのもオススメですね。同じ走力の人と走ったり、知らなかった大会情報を教えてもらったり。私もランニングクラブで仲間を作りました。そういう仲間に頼って、引っ張ってもらったら良いんですよ。あまり気負わず、とにかく楽しんで走ってください!

–仲間、大事ですね!ありがとございました!


「ボンテージをランニングウェアに変えて…にしおかすみこさんがタレントランナーになった軌跡」の画像 にしおかすみこ さん
ワタナベエンターテインメント所属)タレントとして活動する傍ら、各種マラソン大会でゲストランナーなども務める。フルマラソン自己ベストは3時間17分51秒(第29回 青島太平洋マラソン)。下記のような部門入賞の経験も持つ。

  • 第33回「藍のまち 羽生さわやかマラソン大会」ハーフマラソン:女子40歳代 優勝
  • 第4回「能登半島すずウルトラマラソン」100㎞女子の部:第2位
  • 第26回「秋田100キロチャレンジマラソン大会」女子100kmの部 第8位

※オフィシャルブログはこちら※

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