ランニングシューズ作りの裏側に触れる。池井戸潤 著『陸王』を読む

こんにちは、“走る”フリーライターの三河です。連載『三河の本棚』も、早いもので10回目となりました。そんな記念すべき今回ご紹介するのは、走りを支える側の挑戦を綴った一冊『陸王』です。

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最近は各メーカーが技術力を駆使し、実にさまざまなランニングシューズを展開しています。スポーツ用品店に足を運び、その品揃えに

「どれが良いのだろう」

と頭を悩ませた経験は少なくないはず。お気に入りの一足に巡り合うまで、履き比べするという声もよく聞きます。では“足袋”と聞いて、そこからランニングを連想できる方はどれだけいるでしょうか?

老舗足袋業者が創り出すランニングシューズ

足袋を履く機会といえば、今では浴衣を着る夏シーズンくらいかもしれません。そのような時代の流れもあり、経営が苦しくなってきた足袋業者。資金繰りに苦しむなか、現状を打開するための策として打ち出したのが、ランニングシューズでした。

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足袋作りの技術をランニングシューズに活かす。それは、簡単なことではありません。納得できる一足が完成するまでには、さまざまな苦難と苦悩の連続。さまざまな人々の思いが交錯する中、諦めず取り組むチームの力が、やがて形となります。

しかしシューズが出来ても足袋業者。スポーツ分野で実績はなく、業界への展開もまた一筋縄ではいきません。果たして、老舗足袋業者の挑戦は実を結ぶのか!?その結末は、ご自身の目でご覧ください。たとえランナーでなくとも引き込まれ、あっという間に読み終えてしまうことでしょう。走ること以外にも、仕事にかける情熱や人と人との繋がりなど、感じ取れることが山ほど。“読み物”として十分に威力的な一冊といえます。

実はモデルとなっているシューズがある!?

「ランニングシューズ作りの裏側に触れる。池井戸潤 著『陸王』を読む」の画像ちなみに本著では架空の足袋業者の話として書かれていますが、実際に開発・販売されている『無敵』というシューズがモデルになっていると言われています。

確かに、見た目は足袋のようですね。指先は2つに分かれており、ソールも薄そうです。一見すると「これで走れるの?」と疑問に感じてしまいますが、お気に入りのヘビーユーザーも多い様子。気になる方は本著と合わせ、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。


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2016/7/8 池井戸 潤 (著)
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