「マラソン完走は“歩くが勝ち”」ってどういうこと? 専門家が語る「初マラソン挑戦者」の攻略法

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今回はビギナーランナー特有の“焦り”について考えてみたいと思います。

最近のランニング環境では、様々なアプリがあるので、自分のランを数値化して確認することができます。走行距離や走行時間、スピードのアップダウンも知ることができるので、筆者も重宝しています。旅先で走った際のマッピングなど楽しいですよね。ラントリップでも一般ランナーの走行マップが投稿できるようになったので、こちらもご確認ください。

そんなアプリを使っていると、つい月間の走行距離が気になってしまいますよね。先月の自分と比較してどれだけ走れたか、半年前の自分とは、一年前の自分とは……と、ついつい走行距離で満足したり、反省したりしてしまいます。また、アプリによっては友人の走行距離が確認できたりするので、それはそれで気になったり……。最近、友人が月間150kmも走っていることを知り、全く焦らなかったといえば、噓になります。

筆者の当面の目標はサブ4なのですが、そのためにはしっかり走り込まなくてはと考えています。それでは、一体、月間何kmを走ればサブ4が達成できるのでしょうか。

こういった疑問は、皆さんも一度考えたことがあるのではないでしょうか。

書籍『「サブ4」達成のためのマラソン・トレーニング』の著者であり、e-Athletes鈴木彰さんのもとには、同様の質問がたくさん寄せられるといいます。そんな時、「マラソンのタイムは、月間走行距離の多少で決まるものではない」とこたえているようです。

また、「月間走行距離を増やすこと自体を目的としている」ランナーが多いことを心配しています。多く走ることがサブ4達成に直結するわけではないのに、やみくもに距離を伸ばそうとしてはいけないのです。特に走り出したビギナーランナーは月間走行距離を気にしてしまいます。

「マラソンに必要な呼吸循環器の能力(有酸素運動能力)や筋持久力の能力が、トレーニングの反復、適切な負荷の積み重ねによって向上するものであることは確か」

と、鈴木さんは同書で語っています。

この数字にとらわれてしまっては、ケガをしかねませんので無理をしないでほしいところ。サブ4も大事ですが、初フルマラソンの場合は、完走することも目標としてみては。

ここで初フルマラソンに挑戦する方を、“リラックス”させる思考方法を紹介しましょう。

「マラソン完走は“歩くが勝ち”」と語る人がいます。

これはパーソナルコーチングシステム「TeamAOYAMA」代表で、日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員の青山剛さんです。自著『マラソンで自己ベストを出したいなら、全力で走るな!』のなかで、初マラソン時の心の準備として、歩くことを推奨しているのです。

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初マラソン挑戦時に見られる光景として、前半戦につっこみすぎてガス欠、もしくは体が悲鳴をあげだして30km以上を歩いている姿。特に過去にスポーツを経験していたほど過信してこのスパイラルに陥ってしまいます。

それなりのスピードでつっこんで、もちろん、そのままゴールまではもたないのでどこかでペースダウン。回復したらまたペースアップという緩急のある走り方ですと、とても燃費の悪いものになります。

そこで青山さんの「ペースをゆっくり走って速く歩くに変えてみましょう」というアドバイスがいきてくるのです。走る時はつっこむことはせずに、ゆっくりペースで。そして、疲れてきたら歩いていいのです。しかし、その時は、「早歩き」をします。これの繰り返しで効率良くゴールを目指すのです。

同書では青山さんが、あるタレントを指導した際の実績を紹介しています。そのタレントはレース前の走力は皇居1周の5km程度。フルマラソンを走るのにはやや調整不足感がありました。そこで、上記の教えの通りレースを走ったのですが、結果的に全行程の7割を歩くことになりました。

フルマラソンの7割を歩いていたのですが、よっぽど時間がかかったのではと思いきや、実際は、5時間55分というタイムでゴールしたのです。これは驚き。

青山さんがアドバイスするように、適度に歩き(早歩き)を取り入れることは決して悪いことではないのです。ビギナーランナーの場合は、ぜひ「歩き」を効率良く取り入れて、ケガを回避し、好きになったランニングをいつまでも継続できるよう取り組んでみてはいかがでしょう。

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