プロ山岳ランナー・上田瑠偉選手へ聞く2023年シーズンの目標は?ASICS・inov-8・MERREL…トレランシューズの履き分け方もご紹介
May 28, 2023 / SHOES
May 28, 2023 Updated
山岳ランニングの舞台で多くの実績を残し、2021年に新しいアスリート像の確立を目指して独立したプロ山岳ランナー・上田瑠偉選手。こちらの記事では、上田選手へ2023年の目標や冬春シーズンの過ごし方、さらにはおすすめのトレランシューズを教えてもらいました。
レースに向けてモチベーションを高めたい方やシューズ選びでお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
冬から春にかけてのトレーニング
岡田:レース出場に向けた準備期間でもあると思いますが、冬から春にかけてはどのように過ごしていたのでしょうか?
上田:年末年始は体調を崩していたこともあり、本来は春に向けて土台を作りたい1月にトレーニングを行えませんでした。体調の回復後は仕事でマルタ共和国に行く機会がありましたが、あまり練習していない中で50kmを走りました。
帰国して間もなく大阪の『かたのビックロックトレイル2023』に出場しました。
岡田:上田選手の場合、大会に出場する際は過密なスケジュールになっていますよね。
上田:さらに、大阪から帰ってきた直後にはインフルエンザに感染してしまいました。なので、2月も思うように練習は積めませんでしたね。
岡田:大変でしたね。例年であれば1月や2月はどのように過ごすのでしょうか?
上田:例年であれば緩いペースのジョグやクロストレーニングなどでシーズンに向けたベースを固めています。今年は身体を休める時間が多かったのですが、そのおかげか昨年の疲れは取れてスッキリした感じはあります。
岡田:休息期間を経て、インフルエンザからも回復した後はどう過ごされたのでしょうか?
上田:インフルエンザから回復した直後ですが佐賀・長崎に遠征して『JAPAN FKT JOURNEY』に出場し、その直後にはハーフマラソンにも出ています。
いきなりペースを上げ過ぎた分、心肺機能的には負荷が高かったものの身体の動きは軽く感じました。自分のイメージしていたよりも速いペースで走れて後半はさらにペースを上げられました。
岡田:インフル明けでもさすがの走りですね!ハーフマラソンにも出場されているのは、山での走りにもロードやフラットな路面での走力が大事だと考えているということでしょうか?
上田:はい。平地での走力は高めたいですね。レースや場所によって傾斜は違いますが、登りだけでなく前に進む力が必要になる場面もあります。
上田選手が語る2023年シーズンの目標
岡田:2023年の目標や出場を予定している大きなレースを教えてください。
上田:2つ目標があって、1つはオーストリアで開催される『トレイルランニング世界選手権』でのメダル獲得。もう1つは『富士登山競走』で大会記録を更新することです。
岡田:海外のレースを中心に出場しているイメージもありますが、国内レースのタイトルに挑戦するのはどういった狙いがあるのでしょうか?
上田:国内のビッグタイトルを獲りたいと思っています。今後ウルトラトレイルレースにも挑戦していきますが、30歳を迎える年齢も踏まえてスピードがあるうちに短いレースでの記録に挑戦したいです。
3月・4月のトレーニングプラン
岡田:目標としているレースに向けて、3月や4月はどのようにトレーニングを進めていますか?
上田:3月はトレッドミル(傾斜角度10〜15%)を使って“走れる登り”を強化しています。傾斜角度がきつい“走れない登り”は元々得意ですが、“走れる登り”の課題を克服することでレースも優位に進められると感じています。
岡田:なるほど、トレッドミルにはそういう使い方もあるんですね!
上田瑠偉選手のお気に入りシューズ
岡田:今回は上田瑠偉選手に今年の勝負シューズ3足を選んでいただいています。冬から春にかけては土台づくりのトレーニングに加え、レースで使用するシューズも選んでいくタイミングなのでしょうか?
上田:そうですね。シーズン入ってから使用シューズを選ぶと遅いので、今のうちから使って馴染むようにしています。今シーズンのレースを見据えて実際に履いているなかで選んだシューズをそれぞれ紹介します。
1. ASICS|FUJISPEED
上田:まずは『FUJISPEED』ですが、私が出場するレースではシューズの軽量性がポイントになるのでトレランシューズの中では軽い『FUJISPEED』を履いています。また、濡れた岩のうえでも滑りにくいグリップ力も魅力です。
さらに、日本山岳耐久レース『ハセツネCUP』で男子の上位TOP10のうち約半数が『FUJISPEED』を履いていたのも試すきっかけになりました。
岡田:そうなんですね。どんなシーンで『FUJISPEED』を履いているのでしょうか?
上田:短い距離のレースで使用しています。ラグが深すぎずグリップ力が程良いのでロードでも快適に走れます。なので、レース前半はロードが長い富士登山競走で使おうと考えています。
2. inov-8|FLYULTRA G 270 v2
上田:inov-8の『FLYULTRA G 270 v2』は適度なクッション性やフィット感があり、想像していた以上に自分の足に合うので使用しています。
岡田:『FLYULTRA G 270 v2』はアッパーを含めてシンプルなシューズの構造ですよね。
上田:inov-8のシューズは薄いイメージが強いのですが、ある程度軽量ではあるものの50〜100kmの距離を走りやすいシューズだと感じています。
岡田:上田選手にとってはクッション性が高くで長めの距離を走れるシューズということですね。
3. MERREL|MTL SKYFIRE 2
上田:『MTL SKYFIRE 2』は200gとトレランシューズの中では非常に軽量です。また、世界で活躍するアスリートと共同開発されています。
網目状に『Vibram MEGAGRIP』が張り巡らされていて、地面に刺さる感覚を覚えるほどラグが深く急な斜面でも進みやすいのが特徴です。岩場の突き上げにも対応しやすいシューズです。
岡田:軽量性を含めてスピードモデルの印象が強いですが、使用するシーンは短い距離でしょうか?
上田:はい、短い距離ですね。トレイルランニング世界選手権で履く予定です。
シューズの履き分け方
岡田:レースで使用するシューズはある程度絞れてきていると思いますが、どのように履き分けをされているのでしょうか?
上田:メインはMERRELの『MTL SKYFIRE 2』、長い距離はinov-8の『FLYULTRA G 270 v2』、登りのみやロードがある場合はアシックスの『FUJISPEED』という形で使い分けようと考えています。
岡田:トレイルランで10〜20kmを走ってみたい方には今回上田選手が紹介してくださったシューズが合うかもしれませんね。ちなみに、トレイルランではなくロードで土台を作るときはジョグシューズを履きますか?
上田:ジョグシューズも履くことはあります。たとえばクッション性が欲しいときはOn『Cloudmonster』を履きます。逆に、クッション性が薄いシューズでジャンプ系のトレーニングを行う場合はアディダス『TERREX SPEED』シリーズを使用します。
岡田:薄くて軽いシューズは普段使う機会が少ないのですが、上田選手のお話を参考にして積極的に使ってみたいですね。シューズの履き分けや使用した感触など非常に参考になりました。シューズの詳細もぜひチェックしてみてください!
***
2023年シーズンの目標としてトレイルランニング世界選手権でのメダル獲得と富士登山競走・大会記録更新の2つを掲げた上田選手。今後の上田選手の活躍から目が離せませんね。
上田選手が着用しているトレランシューズの詳細はこちらからチェックしてみてください。
シューズ詳細
ASICS|FUJISPEED
・価格:¥16,500(税込)
inov-8|FLYULTRA G 270 v2
・価格:¥22,000(税込)
MERREL|MTL SKYFIRE 2
・価格:¥18,700(税込)
あわせて読みたい
上田瑠偉選手
プロ山岳ランナー/ Runtrip PRO ATHLETE
Twitter:https://twitter.com/trairuy
Instagram:https://www.instagram.com/uedaruy/
公式サイト:https://ruyueda.jp/