日本人が保持している100m世界記録って何? 世界で勝てる日本の“走り”にせまる

現在開催中の「リオデジャネイロ五輪代表選考会兼日本選手権」。注目の男子100m決勝は、ジャマイカ生まれのケンブリッジ飛鳥選手が10秒16で優勝。五輪内定を決めました。また、すでに五輪参加標準記録クリアの桐生選手は8位以内が条件で、3位フィニッシュ。こちらもまた、五輪代表を内定させました。

100m走は、数ある五輪種目の中でも大変注目度の高い競技。世界記録はウサイン・ボルト氏の9.58秒で、日本人の記録はというと10.00秒が最高記録となっています。この約0.4秒の差は縮まりそうで縮まらない、数字以上に大きな差があると言えます。リオでの日本人優勝・世界記録の更新はなかなか難しい面もありますが、若い2人には是非、五輪の舞台で堂々とレースに挑んでもらいたいところですね。

「100mという短い距離では日本人に優位性がない」、これは一般的な考え方ですが、書籍『日本人も知らなかった日本の国力』を開いてみると、その書籍名どおりに、なかなか知られていなかった隠れた力に気付くことができました。今回はその一例をご紹介したいと思います。

この100m走において、最年少・最高齢の世界記録を、なんと“日本人”が保持していることをご存じでしょうか。

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最年少部門は16歳の部で、これは10秒19の桐生選手が。また、最高齢部門となる105歳以上の部では、宮崎秀吉氏が42秒22という世界記録をもっているのです。

しかも、最年少・最高齢のカテゴリにおいて、この2人だけが突出しているわけではありません。同書で各年代の100競争・歴代50~100傑(年代により母数のバラつきあり)に載る選手の数を国籍別にまとめられています。

その結果を見ると、19歳以下の部門でアメリカ、ナイジェリア、ジャマイカに次いで日本は堂々の4位に。選手として油がのった時期の日本人は世界で戦えていませんが、80歳を超える頃になると、再び日本の選手は世界の上位にランクインするのです。あまり知られていない事実ですが、日本人はこの競技で十分世界と戦えるのです。

記録に残る数字だけでは語られないこの“走る力”についてですが、距離がよりマラソンに近づくことで、日本人の本領が発揮されます。

同書で100m~100km走の歴代ランキング表から、上位の約150位の選手の数を国別に集計しています。100mでは日本は11位、200mも15位、そして、400m、800mと上位に登場しません。しかし、男子マラソンになると4位、女子マラソンも5位と突然上位にランクイン。また、その距離が100kmとなった時(ウルトラマラソン)には、男女ともに1位となったのです。実は同競技の現在の世界記録保持者が男女共に日本人。女子の場合は、歴代100傑に4人がランクインしており、圧倒的な強さをほこります。

また、種目は変わりますが、競歩の20kmでも日本人が世界記録を保持していますね。さらに同書の「走波力まとめ」によると、身体障害者が行うマイノリティ系ですと、義足100m部門で日本は3位、車椅子部門で日本は4位にランクイン。視点を登山に移すと7大陸最高峰登頂で日本は4位、フリークライミング総合で3位、ビーチ短距離で2位、スケート500&1000mで3位、100m競泳4泳法で8位と上位にランクインしています。

こうしてみると、日本人の「走破力」は相当高いものがあると言えるのではないでしょうか。

著者の川口盛之助さんも、「“柔能く剛を制す”というのが日本式のようです。非力な分野を徹底的に迂回し、勝てる活路を見つけだしています。ひ弱かというとそうでもなく、命がけの登山にチャレンジしたり、不利なロングトラックで勝負を挑んだりと男気も忘れません。また志で走るレスキューには美しさを求める心意気も感じられます。すべての運動競技の基本となる歩行・走行のパフォーマンスを見るだけでも、細部に宿る日本風のあり方が見えてくる」とまとめています。

いかがでしたでしょうか。普段、皆さんが取り組んでいるマラソンだと、距離が伸びるほど、日本人は結果が残せる可能性が高いのです。筆者はフルマラソンを完走することすら大変なので、想像すらできないのですが、100kmマラソンに挑戦するのも有意義なことかもしれませんね。

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