ランナーにとって「睡眠」とは? 青学駅伝チームのフィジカル強化指導者が選手に教えた睡眠法

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ランナーの皆さんは、日々、何時間ほど眠っていますか?

先日、アメリカ・ミシガン大学が発表した「睡眠」に関する調査結果によると、国によって就寝時間と起床時間が異なることがわかりました。特徴的なところで見ると、アメリカやドイツといった国は「早寝早起」の文化で、フランスやアラブ首長国連邦などは「遅寝遅起」。

日本はというと、平均就寝時間が23時30分頃で、平均起床時間が7時前という結果に。これはいわゆる「遅寝早起」で、平均睡眠時間の7時間24分は、世界100カ国で最も短いことがわかりました。ちなみに最も長いのはオランダの8時間12分で、日本とおよそ50分の差があります。睡眠時間の短い日本人ですが、その理由には早い時間からの勤労、そして、遅い時間までの接待といったライフスタイルが浮かび上がってきそうです。

体調管理に「睡眠」は欠かせないものですが、ランニングを愛する皆さんの中には、意識的に睡眠をとろうとしている人もいるのではないでしょうか。

それでは、「ランナーにとって効果的な睡眠」とは、どのようなものでしょう。単純に日本人の平均睡眠時間よりもたくさん寝れば良いのでしょうか。実はプロの見解では、「時間よりも質が問われる」とのこと。睡眠時間よりも、睡眠の質の方が大切なのです。

というのも、大切なレース前に「眠れない」という人は少なくありません。「寝ないとコンディションが悪くなる」と考えれば考えるほど、目が覚めてしまう。我々は、ある程度の睡眠時間を確保できないと、翌日のパフォーマンスが下がってしまうと考えてしまいがち。

しかし、青学駅伝チームのフィジカル強化指導者・中野ジェームス修一さんによると、睡眠時間の短かった選手がメダルを獲ることもあると、書籍『青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』のなかで明かしています。

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青学駅伝チームを指導する中野ジェームス修一さんは、「眠る時間を長くする」ことよりも「眠りの質をあげる」ことを選手たちに求めたようです。

眠りの質を上げるためにこだわったのが、「食事の時間」。例えば、消化に4時間以上もかかるステーキや天ぷらなどの脂質が多い食べ物を睡眠前に食べてしまうと、仮に6時間睡眠だった場合、そのほとんどの時間で胃腸が消化しようと働き続けることになってしまいます。当然ですが、これは体が休まっている状態とは言えませんよね。消化しやすい食べ物を選んだり、睡眠前にしっかり消化しきるよう時間をコントロールして、胃腸も休ませるようにしています。

また、青学では「筋弛緩法」と「セルフモビライゼーション」も実施しているそう。筋弛緩法は、筋肉の緊張状態のリセットする方法。どのような動きをすれば筋肉をリラックスできるのか、青学の選手たちはよく理解しています。

セルフモビライゼーションは、「解剖学的に見て、関節可動域の限界を超えない範囲で、関節に対して細かな運動を繰り返し与えることで起こる筋弛緩反応を利用し、筋肉の疲労や緊張を軽減させるもの」と同書で紹介されています。どちらも「緩める」ことを目的にしています。緩める・脱力・リラックスは披露回復に欠かせないのです。

ですので、睡眠の質をあげるためには、体を緩めて筋肉の緊張をとる必要があるのです。完全に緩めた状態にしてから睡眠に入ると、少々、睡眠時間が短くても自己ベストに近いコンディションにもっていくことができるのです。

私たちはどうしても「睡眠時間」でコンディションを考えがちですが、睡眠の質をあげることにこだわることも必要なのです。しっかり体を緩めた状態で寝れるよう、調整してみましょう。

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