高校生ランナーと一緒に断続的断食をすると?
Jan 08, 2020 / COLUMN
Jan 08, 2020 Updated
断続的断食とは
断続的断食とはつまり、食べ物を全く摂取しない時間帯を定期的に、且つ連続して設けることだ。様々なパターンがあるけど、代表的なものを挙げると、以下のものがよく使われる。
- 16:8ダイエット: 1日のうち、食べ物を摂取しない時間帯を16時間、摂取する時間帯を8時間に分ける。
- 5:2ダイエット:1日の総カロリー摂取量を女性は500カロリー以下、男性は600カロリー以下にする日を週2日(連続してはいけない)設ける。
- 24時間断食:24時間食べ物を摂取しない日を週に1回ないし2回設ける。
有名な芸能人から医療関係者まで、様々な人がこの断続的断食はダイエットに良いだけではなく、長期的な健康効果があると主張している。ここではその是非を問おうとは思わない。だが、これらが以前の常識に反するやり方であることは間違いないだろう。食事を抜くとドカ食いして体重がリバウンドしてしまうとか、血糖値を安定させるために食事の回数を多くしろ、などと言われてきたのは何だったのか、という話である。
実験1:偶然発見した16:8ダイエットとランニング
上のパターンの中で最も取り組みやすいのは16:8ダイエットだろう。元々朝食を食べない人は多いが(そしてそれは健康に良くないとされてきたが)、お昼まで何も食べない人は前日の夜8時までに食事を済ませておけば、それだけで16:8ダイエットのパターンに当てはまる。
この16:8ダイエットをぼくは夏の間、2か月間に渡って行うことになった。きっかけは息子がやっていたクロスカントリー走部の朝練だ。彼らの練習は朝の7時に始まり、9時過ぎに終わる。それから家に帰ってきて朝食を食べるのは10時近くになる。ぼくの家では夕食は早く、午後6時前には食べ終わっていることが多い。つまり前日の夕食から次の食事までは16時間あるのだ。
一昨年までは早起きをして、朝食を食べてから練習に行っていたのだが、昨年からまったく何も食べないで家を出るようになった。理由を聞くと「朝食を食べると走っているときにトイレをしたくなる」ということだった。
思わず笑ってしまったが、本人にとっては切実な問題だったようだ。彼らは毎朝10キロ以上、ときには20キロ近くを走る。それもペースを決めて集団で走る。トイレに行く時間などないし、そもそもコースの近くにトイレがあること自体が稀なのだ。
最初に気になったのは、そんな空腹の状態でちゃんと走れるのかということだった。長時間走る前にはエネルギー源となる糖質をなるべく多く体内に貯めておくべきだとするのが以前までの常識だったし、ぼく自身もその頃まではそう考えていた。マラソンを走る前にカーボ・ローディングをしていた時期もある。
だが、息子は食べないで走っても平気のようだった。体はどんどん引き締まったランナー体型になっていき、タイムも飛躍的に向上していった。元々そのような時期だったのかもしれないが、むしろ食べてから走っていた頃よりランナーとしての成長度が高いようでもあった。
そうなると、今までの常識が間違っていたのではないかという考えがぼくの頭に浮かんできた。だから、今年の夏は自分でも16:8ダイエットを試してみようと思ったのだ。ぼく自身も別の高校で同じ時間帯で朝練を指導するので、息子と同じように朝食を食べなければいい。生徒たちと一緒に走るのも同じだ。
6月から8月にかけて、2か月間16:8ダイエットをやってみた結果、ぼくの体重はまったく変化しなかった。体重を減らすことが目的ではなかったから、ぼくにとっては何の問題もないわけだけど、痩せたい人にとってはあまり良い情報ではない。もっともぼくは、午後6時以降は固形物は食べなくても、ビールはしっかり飲んでいた。夏の夜をビール無しで過ごせるわけがないではないか。それにもかかわらず、体重が増えなかったのは、むしろダイエット効果はあったのだとするべきかもしれない。
ランナーとしてのぼくは、このやり方でもスタミナ不足に陥ることはなかったし、むしろ調子が良くなっていると感じていた。心配していたように、お腹が空いて走れないということはまったくなかった。体が軽い分だけ軽快に走ることができるのは当たり前だし、少なくともお腹が重いよりはずっといい。ぼくはこの実験を通してそのように感じた。