MGC開催後はマラソン2時間切りの挑戦が気になる!キプチョゲ選手の「イネオス1:59チャレンジ」
Sep 06, 2019 / COLUMN
Sep 06, 2019 Updated
東京オリンピック開催まであと1年を切りました。
9月にマラソンの東京オリンピック日本代表を決めるMGC(マラソングランドチャピオンシップ)が行われますが、世界では “マラソンサブ2” への挑戦に注目が集まっています。
今回挑戦するのはリオオリンピック男子マラソン金メダリストのエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)。2017年5月には“Breaking2”というマラソンサブ2への挑戦で2時間00分25秒(非公式記録)で走った現役最強・最速のマラソン選手です。
今回のキプチョゲ選手のマラソンサブ2への挑戦、“イネオス1:59チャレンジ”ですが、前回の記事に続いて、この2ヶ月でアップデートされたことを振り返ります。
スタート地点が決定
キプチョゲ選手にとって2回目となるマラソンサブ2への挑戦。舞台は、音楽の街として有名なオーストリアのウィーン、緑豊かなプラーター公園の長い直線の並木道 “ハウプトアレー(Hauptallee)” がメインのコースとなります。
8月21日にレースのスタート地点が発表され、ウィーンのライヒス橋(Reichsbrücke)の上からスタートすることが決定。ドナウ川に架かるこの橋はウィーンシティーマラソンのスタート地点でもあります。
シュテファン大聖堂やプラーター公園の大観覧車といったウィーンのシンボルを眺めることができる序盤のコース。それから長い直線のハウプトアレーに入り、両端のロータリーを4往復する42.195kmのコースをキプチョゲ選手が走ります。
序盤は街のシンボルを通過し、そこからは大声援が待つプラーター公園にて “マラソンサブ2” をかけた世紀のレースが展開されるでしょう。
ペーサーの発表
前回のBreaking2でもキプチョゲ選手をサポートするペーサーのサポートが光りました。ペーサーは一定のペースを作り出す役目だけでなく、前方からの風除けの効果も担う重要な存在。
今回は30人程度のナイキの契約選手が、レース中に途中交代しながらレースを作るペーサーとして起用される予定です。8月には16名のペーサーが発表され、キプチョゲ選手のトレーニングパートナー2名を含む、ケニア、エチオピア、オーストラリア、アメリカ、ノルウェーなど世界各国の選手がキプチョゲ選手の夢の瞬間を後押し。
その中にはリオオリンピック男子5000m銀メダリストのポール・チェリモ(アメリカ)、アテネオリンピック男子1500m銀メダリストのバーナード・ラガト(アメリカ)も。
ラガト選手は今年7月のゴールドコーストマラソンで、44歳にして2時間12分10秒で走ったレジェンド。前回のBreaking2でもペーサーを務め、ベテランらしくリーダーシップを発揮しました。今回もまた、彼がチームのまとめ役となることでしょう。
レース40日前のテスト
8月31日、9月1、2日の3日間にはウィーンでレース前のテストが行われました。キプチョゲ選手はレースに向けてケニアでトレーニングを行なっていることからこのテストには参加しませんでしたが、レースのマネージャーやスタッフ、24人のペーサー、メディア関係者など総勢150名が参加。
レースの先導車はスタートからの経過時間、直前の1kmのラップ、スプリットタイム、ゴール予想タイムを随時表示しながら一定ペースでペーサーを先導します。
このイネオス1:59チャレンジの開催予定日は10月12日で、悪天候の場合は延期され、10月13~20日の8日間を予備日に開催されます。大会40日前の9月2日にはペーサーがコースをレースペースで走るだけでなく、リアルタイムでの記録計測やカメラワークなど実際のレースを想定したリハーサルが行われました。
イネオス1:59チャレンジのチームは今回、ウィーンの街の主要部でテストを数日にかけて行いましたが、これにはこのイベント開催のためのウィーン市長の理解があってこそのテストでした。
Our reigning #AbbottWMM men's series champion @EliudKipchoge's pace team have been testing out the course for his #INEOS159 challenge in October. Looks like it's going well! 💨💨💨 pic.twitter.com/y8cko3x9pj
— Abbott WMMajors (@WMMajors) September 2, 2019
そして、ライヒス橋やプラーター公園でのコースや導線の確保など、そこにはウィーンシティマラソンのスタッフという、経験豊富な現地のスタッフの尽力無くしてこのテストは円滑に行うことができなかったでしょう。
リハーサルでは2人の選手がキプチョゲ選手の代わりとなってレースペースで走り、1時間59分38秒という仮の記録でフィニッシュ。最後はペーサーとレースのマネージャーであるオランダ人のヨス・ヘルメンス氏が一緒になって記念撮影をしました。
日本ではMGCが終わって男女2名ずつのマラソン日本代表が決定した後、例年、学生三大駅伝の始まりとして出雲駅伝が行われる10月2週の3連休。今年はそのタイミングでキプチョゲ選手によるマラソンサブ2達成の挑戦が行われます。
“人類初のマラソンサブ2”。それは、人類にとっての新しい第一歩です。
そして、その瞬間はマラソンファンだけでなく、きっと、読者のあなたにとっても目が離せない瞬間となることでしょう。