走り終わってもまだ1日が始まったばかり。夏の早朝ランについて
Aug 07, 2019 / COLUMN
Aug 12, 2019 Updated
高校生でなくても、早朝に走ることにはメリットが多い。よく言われるのがダイエット効果だ。朝起きたばかりの体は空腹でエネルギーに乏しいので、その状態で走ると脂肪を燃焼しやすくなり、その結果として体重を落としやすい。あるいは、コントロールしやすいという理屈だ。これはどうやら本当らしい。もっとも、寝る前に大食いをしたり、深酒をしたりすると、早朝でも空腹状態にはならないから、この理屈は当てはまらない。
走るパフォーマンスに関しては、早朝に走るのはむしろデメリットがあるようだ。人の運動能力が最適化されるのは、体温が1日で最も高い時間帯であり、多くの人にとっては、それは午後4時から7時頃にあたるからだ。最も質の高い走りを追求するのであれば、その時間帯を選ぶべきで、早朝に走るのはトレーニング効果だけを考えれば効率が悪くなる。
こうしたデータには個人差があるし、当てはまる人もそうでない人もいる。ぼく自身はそうしたことよりも、数字にはできないメリットを早朝に走ることで感じている。ふだん見慣れた街や風景でも、早朝の光の中ではまったく違ったように見えるときがある。暗かった空がだんだん明るくなっていくところ、朝霧が風に流れていくところ、そんな時間に走る心地良さは他に例えようがない。人も車も少ないので、その気分が邪魔されることもない。これは早朝でしか得られないものだ。
走り終えたあとでも、1日はまだ始まったばかりだ。世間の人がようやく起きだす頃に、こちらは既に何かを成し遂げた気分で、気力も体力も充実しきっている。思わず張り切って走り過ぎて、疲労困憊ってときもたまにはあるけれど。
どんなに忙しい人でも、早朝は仕事などで他人にスケジュールを左右されないので、本人に意志さえあれば走ることができる。そのことを早朝ランのメリットに数える人も多い。ぼくは忙しい人では全然ないが、よく理解できる。
朝は1分でも長く寝ていたいって人もいるだろうし、それに異議を唱えるつもりは毛頭ないけれど、一度騙されたつもりで早起きをして、走り出してみてはどうだろうか。どうせ日中は暑すぎるのだから、夏は早朝ランを試すには絶好の季節だ。