名物『ゴーロ』をかけ降りろ!「UEDA SKYRACE」に挑戦!

平成から令和に改元されてから、初の開催となった『太郎山登山競走』。舞台となるのは、長野県上田市にそびえる標高1164.3mの里山・太郎山。今回は、第2回目の『UEDA SKYRACE』の模様を今回レポートします。※前日開催の『UEDA VERTICAL RACE』はこちら

JSA(日本スカイランニング協会)公認のスカイランナー・ジャパン・シリーズ第2戦とあって、世界基準の選手が多く参加するUEDA SKYRACE。『信州上田から世界へ』をスローガンに掲げる本大会の概要は、以下の通り。

・秋和コース(ノーマル):距離18km、獲得標高2,000m
・塩尻コース(エリート):距離25km、獲得標高3,000m

塩尻コースのレベルは下記のよう。

世界基準を満たしたスカイレース(駆け上り & 駆け下り)。平均斜度は国内最大であり、世界屈指の難コースです。ナイフリッジやスクランブリング(攀じ登り)箇所を含む熟達者向けであり、登山経験が乏しい方、高所が苦手な方は、安全のために絶対エントリーしないでください。“走る”という陸上競技的(=トレイルランやクロスカントリー的)な意識では非常に危険であり、全く通用しないテクニカルなコースです。“登る・下る”という登山スキルを持った者だけがゴールにたどり着けます。なお、制限時間も世界レベルの設定ですので、ファンランの挑み方ではゴールできません。このコースをすべてクリアできれば、“真のスカイランナー”といえるでしょう。

秋和コースにエントリーしたものの、ほとんどエリートと同じコースをなぞるため、身の引き締まる思いです。

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スカイレースのスタートは、1分ごとに20人のランナーが一斉に。

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神社をはじまりとし、スタートの合図とともに一気に駆け抜けていきます。

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「3、2、1、スターーーート!!いってらっしゃーい!!」

実行委員長の松本大さんの声が響きます。

この日の気温は23℃で晴天。太陽が燦燦と照りつけ、新緑が光り輝き、最高のコンディション。太鼓のリズムにあわせてピッチをあげ、参道を一気に駆け抜けます。秋和コースはノーマルといえど以下の通り。

最初のピークである太郎山を目指すルートは、前日開催の『UEDA VERTICAL RACE』猿飛佐助コース(エリートコース)のそれと同じ。エリート選手たちと同じコースを走る喜びは、最後まで続きそうにありません。

序盤の急峻な登りを一気に走り終えて、左折して白蛇コースに入ります。最初のエイドがある緑ヶ丘を目指し下りの登山道。我々のスタート時間は最終組だったので、先行するランナーを抜けば順位が上がるというシンプルな構造。これはモチベーションを保ちやすい! 緑ヶ丘のエイドでは、普段は飲まないコーラを一気飲み。すぐさま太郎山に向けて、登り返すことになります。事前に調べていたので、等高線の詰まり具合は頭に入っていたつもりでしたが、ここでUEDA SKYRACE最初の洗礼をうけます。

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登り返し直後の写真ですが、なかなかの傾斜。この傾斜は特に急というわけではなく、UEDA SKYRACEでよく見られる光景。この後に三点支持しないと登れないような、急峻な斜度の登山道がありましたが、気を抜いたら滑落する恐れもあるので撮影できず。

この最初の洗礼に耐え続けているち、太郎山山頂へ。頂上では、雲一つない清々しい青空が我々ランナーを待っていました。家族で太郎山登山を楽しんでいる一般登山客に「がんばれー」なんて声をかけてもらいながら登頂。一気に心拍数があがりましたが、心地よい達成感が得られ、次へと体が向かうのです。

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長野県上田市の街並みが一望できる素敵な太郎山。ここで気分をリフレッシュします。

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続いては、太郎山と虚空蔵山を結ぶ稜線。空を見上げれば綺麗な青空。下を見れば、かなりの高さにあることがわかります。「これがスカイレースの醍醐味か! 」とこのレースの素晴らしさを感じつつ、ぐんぐんスピードを上げていきます。

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走り心地のいい稜線を終えると、ノーマルとエリートの分岐に差し掛かり、ノーマルは一気に高度を下げる登山道に入ります。気持ちよく走れたのは、結局この稜線エリアが最後。急峻な下りの登山道を駆け下っていると、UEDA SKYRACEの名物、その名も『ゴーロ』。

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UEDA SKYRACE秋和コースの第2の洗礼となるこの一帯は、浮石だらけで、気を抜いたら確実に捻挫してしまうし、踏み外して浮石が落ちれば、先に下っているランナーにぶつかってしまう危険なエリア。スカイレース初心者としては、一歩一歩を確認しながら歩いて下るのがやっとでした。世界基準のランナー達はテクニックを駆使して、ものすごいスピードで駆け下りていきます。

ここを過ぎると、細かいアップダウンを繰り返し、秋和エイドに到着。ここは、蕎麦を提供してくれるユニークなエイド。塩分が嬉しくもあるのです。

その直後に待ち構えていたものは、UEDA SKYRACE秋和コースの第3の洗礼と(勝手に)よんでいる獲得標高約+600mの登り返し。木々が生い茂り、先程まで頭上にあった青空は見えず、どこまで登り返せば太郎山に辿り着けるのか見当もつきません。上に向かって伸びていく登山道に、気持ちがまいってきました。もちろん写真を撮る余裕なんて一切ありません。走ることは到底できず、一歩一歩足を進めていくことだけに集中していると、遠回りしてきたエリートの選手が後ろから走って登って来るではありませんか! ?

「どんな脚をしているのだろう」と、心の声。

そんなこんなで、なんとか2度目の太郎山山頂に辿り着き、あとは昨日の猿飛佐助コースを逆に進んで大星神社を目指すだけ。こうなると気分も回復。秋和エイドまで駆け下っていきます。登り返しはあと一つ。秋和エイドでエネルギーを補充して最後の登り返しを一気に進みます。そして、待ちに待った瞬間がやってきました。

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「あとは下るのみ!!」

「よくがんばった!!」

「よっしゃー!」と思わず叫んでしまいました。大会運営者に拍手で送り届けられながら、最後の力を振り絞って快速下山です。道中、何度も抜いて抜かされてを繰り返したランナーを捕らえる事にも成功。抜き去ってしまおうかとも思いましたが、幾多の苦難を乗り越えてきた仲間のようにも思えたので、一緒にゴールを目指すことにしました。

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そして、ついにゴール!!!!

「終わらないことはない」と何度も自分に言い聞かせ、走った甲斐がありました。「山に登って無事に街まで戻ってきた! 」という達成感と尋常ではない疲労感が全身を包みました。この感覚は、普段の生活でなかなか得ることができません。

ゴールした後は、全ての景色が美しく見え、我々にかかわってくれた全ての人に感謝を伝えたくなるもの。もう一人のメンバーは、既にゴールしており、秋和コース男子の部で16位と大健闘(126人中)。

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大会後は、真田十勇士ガーデンプレイスで後夜祭兼2019ユース世界選手権壮行会が開催され、2日間の闘いの労をお酒や上田市の銘産品と共にねぎらい、さらにユース世界選手権に出場する若いスカイランナーたちの健闘を祈る素敵な時間を過ごしました。

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【レースを終えて】

UEDA SKYRACEを体験して思ったことは、スカイランニングはトレイルランニングとは完全に別物だということ。勾配の激しい急峻な登山道を攀じ登り、駆け下るスタイルは、体への負荷が高いですし、危険もともないます。ただ、それら苦難を乗り越えた先にある達成感や山頂から見える美しい景色は、言葉に言い表せません。“UEDA SKYRACEロス”となっている我々は、次のモチベーション探しに盛り上がるのです。

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