レース前日に眠れない……タレントで睡眠改善インストラクター・西谷綾子さんが語る「睡眠とRUN」

1.眠るための『環境』を整える

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■枕の周りにものを置かない
スマホやリモコン類を枕元に置くのは厳禁。置いてあると、眠っていても無意識に注意を払ってしまう。
■布団は眠る場所にする
布団に入ったら、何もしない。布団の中でスマホを触ると、脳が『布団はスマホを触る場所』と記憶し、活発に働いてしまう。どうしても眠る前にスマホを見る習慣がやめられないのであれば、別の場所でスマホを見るようにする。
■夜のライトは暖色系にする
夜になれば外は暗くなるが、部屋のライトが明るいと、眠るための準備ができない。明るいリビングに3時間いると、眠るホルモンであるメラトニンが半分失われてしまう。夕食を済ませたら、部屋のライトを暗めにし、眠る準備を始める。

2.ぐっすり眠るための『生活習慣』を整える

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■朝起きたら、太陽の光を浴びる
起床したらカーテンを開けて、太陽の光を浴び、体内時計をリセットする。成人は、脳に光が届いてから16時間後に眠りのホルモンが分泌される。

■朝食はしっかり食べる
朝食は『これから動きます』というサインになるので、しっかり食べるようにしたい。ベストなおかずは、魚や納豆。この2つには、眠るホルモンであるメラトニンの原料となるトリプトファン(必須アミノ酸)が多く含まれているからだ。このトリプトファンは、昼間は幸せホルモンと呼ばれるセロトニンに変わり、日中の心を穏やかに保つ。そして、夜になると、セロトニンがメラトニンに変わるのだ。「朝は時間がない」、あるいは「朝食を食べる習慣がない」という人は、まずは朝の光を浴びながら豆乳を飲み、タンパク質を摂ることから始めてみよう。

■休憩時間にスマホをいじるのはほどほどに
情報のうち、目から入ってくるのは約8割を占める。現代生活には欠かせないスマホやパソコンだが、目から入ってくる情報が過多になると処理が追いつかず、せっかくインプットした情報が生かせません。休憩中は、情報を遮断する時間を作り、目や脳を休ませ、脳に空き容量をつくる作業も大切です。

■シャワーより入浴を
体温には表面の体温と体の中、つまり深部体温がある。眠りは、後者が上がり、急激に下がったタイミングでやってくるが、シャワーだけではこの深部体温が上がりにくい。したがって、なるべく湯船につかるようにしたい。就寝の1時間前くらいに、38度から40度くらいのぬるめのお湯で半身浴すると、眠りに入りやすい。
また、足元が冷えると寝つきにくくなるので、風呂上りは(シャワーの後も)、レッグウォーマーなどで足首を温めながら足先を出し効率よく体温を放熱することがオススメ。

睡眠はホルモンが分泌される最初の3時間が最重要

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ではランナーは、睡眠において、特にどういうことを意識する必要があるのか。西谷さんは「ランナーは、運動をしていない人以上に、疲労を回復し、筋肉を修復しなければならないので、深い睡眠をとってほしい」と話す。
深い睡眠をとるには、最初の3時間が勝負になる。なぜなら、深い睡眠は入眠からの3時間でしか得られないからだ。この3時間が、成長ホルモンの分泌時間となり、疲労回復、筋肉の修復、お肌の再生などが行われる。したがって、この時間にいかに深く充実した睡眠を得られるか――。
そのためには、本睡眠の前に寝てしまうのは禁物だ。帰宅時の電車の中で、あるいは帰宅後にうたた寝をしてしまうと、本睡眠が浅くなり、スッキリと起きられなくなる。もし夕方になると眠くなるなら、昼間に20分くらいの仮眠をとるか、1分から5分程度、目をつぶるなどして、うたた寝を前倒しする。平日にこうしたことができないランナーは、休日の昼間に仮眠を。ただし、この時に寝過ぎてしまうと、本睡眠を妨げてしまうので注意したい。

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もう1つは、夜のランニングの時間帯だ。ランナーの中には、仕事を終えてからトレーニングをしたり、帰宅後に走る人が少なくないが、深い睡眠を得るには、眠る前の激しい運動は控えたい。体が疲れてすぐに眠れそうに思うが、深部体温が一気に上がり、下げるのに時間を要するため、寝つきにくくなってしまうのだ。夜にポイント練習をする場合は、遅くとも眠る2時間前には終えるようにする。これが鉄則だ。
もっとも適した時間帯は、起床から11時間後(起床7時なら18時くらい)。この時間帯は、深部体温が高い状態なので、運動することでさらに体温が上がり、質の良い睡眠が得られる。

ランナー特有の睡眠の悩みを解決するには

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