市民ランナーにも“プロ仕様”シューズを!! アディダスが進めるもの作りの未来

アディダスジャパンは、もの作りの未来の在り方を体験できるイベント“SPEEDFACTORY Tokyo”を開催。ドイツが掲げている製造業のデジタル化による、製造コストの削減を目指す“インダストリー4.0”を実現しているといえる。

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©2018 Sushiman Photography

次世代のシューズ製造工場

SPEEDFACTORYは、アディダスがドイツ本国に現在設置している未来へのシューズ生産拠点。各スポーツメーカーでシューズの製造工程において、この数年で革命が起きている。この近未来型工場では3Dプリンターやコンピュータ編機、ロボットカッティングマシンといったデジタル技術を集約している。

ここでのシューズの製造工程は、その製造のスピードと柔軟性を兼ね備えることで、従来のもの作りのプロセスを根本から変えることができると期待されている。今回のSPEEDFACTORY Tokyoでは、カスタマイゼーションに必要な、最新のデータキャプチャリングを巨大コンテナの中で体験することができた。これは、デジタル技術を結集させた未来型の計測体験といえるだろう。

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©2018 Sushiman Photography 顔のデータ撮影であるフェイススキャン

アディダスジャパン副社長兼マーケティング事業本部長のトーマス・サイラー氏は「将来的にはこのようなデータキャプチャリングの数々は、アディダスの店舗内でできるようになり、市民ランナーがその場でプロ仕様のシューズを作ることが可能になるかもしれない」と述べた。

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©2018 Sushiman Photography 足のデータ測定であるフットスキャン

早速、私もこのSPEEDFACTORY Tokyoのデータ測定を体験。まずは、SPEEDFACTORYのアプリをスマートフォンにダウンロード。特にフットスキャンとランテストは、その場ですぐ結果が把握でき、記録としてスマートフォンの中に残るので、とても良いサービスだと感じた。

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©2018 Sushiman Photography 走りのフォームや骨格の動きを測定するランテスト

スポーツジムやパーソナルトレーニングでも、このような足の測定やランニングフォームの撮影などは行われているだろうが、近未来的にアディダスの店舗でそれが気軽にできるとなると、今から期待せずにはいられない。さらに、それらの測定によって自分に合ったシューズが素早くその場でできるとなると、お店での買い物の価値がさらに高まるだろう。

シューズ作り1つをとってしても、製造業におけるデジタル技術の進歩が消費者に好影響をもたらすだろう。

SPEEDFACTORYでのデビュー作『AM4 City Series』

アディダスはSPEEDFACTORYの施設をドイツやアメリカに持ち、そこで生産されたデビュー作となる、AM4 City Series(エーエムフォー シティ シリーズ)が世界でお披露目される。AM4 City Seriesの東京モデルであるAM4TKY(エーエムフォートーキョー)が、アディダスオンラインショップおよび、全国のアディダス取り扱い店舗で発売された。

今回発売されたAM4TKYは、東京でのストリートランニングに対応するランニングシューズで、その特徴は夜に存在感を持つリフレクション、そしてメッシュニットアッパーの通気性の良さにある。反発性とクッション性を両立したブーストフォームを搭載で、従来のトルションシステムを再設計。ソール内部に浮かぶように、デジタルで埋め込まれたフローティングトルションバーが屈曲性と安定性のバランスを実現している。

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©2018 Sushiman Photography 東京モデルの「AM4TKY」

AM4TKYをはじめとするAM4 City Seriesは、SPEEDFACTORYで生産され、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルス、上海、東京の6都市それぞれで、ローカルクリエイターとスポーツ科学のデータを活用して製作された。このAM4という名称は“adidas made for”を意味しており、通常18ヶ月とされている、新しいシューズの発案から製作にかかる業界標準を大幅に短縮することに成功した。

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©2018 Sushiman Photography パリモデルの「AM4PAR」

AM4 City SeriesのパリモデルであるAM4PARは、女性のランナーによるランニングコミュニティの活性化に伴い、ヌーディーカラーを意識して製作されたという。ロンドンモデルのAM4LDNは、通勤前にランニングをして、その靴のまま通勤する人が多いことから、それらの人々に向けた1足。ニューヨークモデルのAM4NYは、ランニングコミュニティ間の競争を象徴するスピードモデルとなっている。

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©2018 Sushiman Photography 上海モデルの「AM4SH」

ロサンゼルスモデルのAM4LAは、海岸が近いことから環境というテーマで、環境保護のためにパーレイの糸を使用している(パーレイの関連記事)。そして、上海モデルのAM4SHは、パワーランというテーマでランニング以外のスポーツにも馴染みがある人たちに向けて、左右の動きにブレないように設計された。

これらのAM4 City Seriesは、それぞれのローカルランニングコミュニティと協力し、それぞれのデザイナーたちが、その都市のトレンドや文化をダイレクトにシューズに反映することで生まれた傑作である。様々なニーズに柔軟に対応でき、かつ迅速にその生産体制を築くことができるのが、近未来型シューズ生産工場のSPEEDFACTORYといえる。

もの作りの未来の在り方を変えるであろうSPEEDFACTORYや、アディダスの今後の動向を引き続き注目したい。

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