「息子のおかげで“理想のキャンプ&ランを実現”」アウトドア派の放浪型ランナーが語る

合宿中の7日間、選手達はずっとキャンプ場でテント生活だ。ぼくも同じキャンプ場内にスペースを確保した。夏のマンモス・レイクスのキャンプ場は予約開始から10分で売り切れになるほどの人気なのだが、実際には当日先着順の枠がいくつかあって、探せば何とかなるようになっている。

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キャンプ場は湖畔にある

一般的にアメリカのキャンプ場は広々としている。マンモス・レイクスもその例にもれず、はっきりとした境界線が引かれているわけではないが、個々のスペースは10メートル四方ぐらいあるのではないだろうか。こちらのキャンプと言えば、キャンピングカーやバンに荷物を満載して、椅子、テーブル、大型テントをスペース内にいくつも並べるのが主流なのだ。利用料は1泊24ドル(約2640円)とかなり高い。そもそもが大人数での利用を想定しているのだろう。キャンプ場を見回してみても、1人でスペースを利用しているキャンパーはぼく以外にいなかった。

選手達は1つのテントごとに6~7名が振り分けられている。8人用の大型テントではあっても、それだけの人数になると、さすがにぎゅうぎゅう詰めで、かなり息苦しそうだ。ぼくと言えば同じ広さのスペースに4人用テントを張って、折り畳み式の椅子を置いただけなので、空き地の方が目立つぐらいだ。

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選手達のテントスペース
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筆者のテントスペース

食事も全て自炊だ。とはいえ、家では料理などしたことのない高校生たちにまともな物が作れるわけもない。栄養バランスなどはお構いないしに、缶詰やパスタなどでとりあえずは腹を満たしていたようだ。ぼくもまともな料理はとうてい無理だ。やはり、缶詰、プロテインバー、ナッツ、それとバナナ、リンゴなどの果物をのべつ幕なしに口に入れていて凌いでいた。

マンモス・レイクスには熊が出る。だから食料は全て各テントサイトに用意されてある鉄製の箱(ベアーボックス)に入れる。それでも熊はやってくる。コーチによると熊を目撃しない年の方がむしろ珍しいそうで、今年もぼくのテントのとなりにやってきた。

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テントそばまで寄ってきた熊。何事もなく立ち去った

夏のマンモス・レイクスは昼間の気温は25~30度程度だが、最低気温は6~10度まで下がる。日中走っているときは暑いのだが、朝夕のキャンプ場は震える寒さだ。ジャケットを着こみ、寝袋のジッパーをきつく締めても、やはり寒くて、夜の間に何回も目が覚めた。

合宿の1日は早朝ランで始まる。というか、それが活動の中心だ。6時半に起床し、7時に集合。毎回異なるコースを指示される。10~20キロぐらいの距離で、多かれ少なかれ起伏のあるトレイルランだ。高地にあるため、酸素は薄い。走ると呼吸はやはりかなり苦しい。普段と同じペースで走ることは出来ない。感覚的には、同じ距離でも低地の5割増しぐらいの時間がかかる。低酸素に適応する時間には個人差があるが、ぼくの場合は4日目ぐらいからやや楽になった。

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