ランニングで地域を活性化! 新潟県三条市で実践されている『ランナーズ・ヴィレッジ構想』って?
Mar 28, 2018 / SPOT
Apr 26, 2019 Updated
「サーファーがいい波を求めて旅をするサーフトリップのように、ランナーがいい道を求めて旅をするスタイル」で新しい地域の魅力を探しにいく、というのがRUNTRIPの基本的な考え方。まさにその理念と同じように、ランニングで地域の活性化を目指す取り組みが全国には存在します。
その一例が、新潟県三条市で実践されている『ランナーズ・ヴィレッジ構想』。一体どのような取り組みで、実際にどんなことが行われているのか、その概要をご紹介します。
コンセプトは「何気ない道を、走りたくなる道へ」
このプロジェクトを発起した事業構想大学院大学では、日本のランニング人口が約1000万人だということに着目し、これら膨大な市場規模を地方創生に役立てるのではないかと考えました。
そんな発想から生まれたのが「農山漁村『ランナーズ・ヴィレッジ化』構想」。全国の農道・漁村・山村の道で簡易のランニングコースを作り、ランナーを誘致しようと試みました。
<関連記事> 農山漁村ランナーズ・ヴィレッジ™化構想(事業構想オンライン)
マラソン大会は場所も日程も決まっているものですが、ランナーが行きたい時に行きたいところへ自由に駆け回る、そんな機会があれば人を動かせるのではないか。そしてグリーンツーリズムや農業体験なども組み合わせた提案をすることで、ランナーに特化した農漁村誘致を図れないか、というのが当初の構想でした。
コンセプトは「何気ない道を、走りたくなる道へ」。地域の特色を生かしたランニングコースと宿泊をセットにして、観光客の増加と消費の拡大を狙いました。
新潟県三条市での取り組み
そして2017年7月、実際に新潟県三条市と提携して「ランナーズ・ヴィレッジ」プロジェクトが立ち上がりました。同プロジェクトは三条市下田(しただ)地域の持つ農山漁村らしさを前面に出した観光事業を構想したもの。地元で農業体験などを提供している『NPO法人ソーシャルファームさんじょう(下田郷SATOYAMAみらい協議会構成団体)』の若者が地域活性化のために農林水産省の農山漁村振興交付金を活用し、これらの取り組みが実現されました。
下田地域では、全国棚田百選に指定された北五百川の棚田や、景勝八木ヶ鼻などの自然景観、豊富な自然、湧水で生産される米などの”食”が自慢。さらに道路が幅広く整備され、車の交通量や信号機も少ないという、ランナーにとってはうれしい特徴が揃っています。
ランナーの拠点としては、NPO法人ソーシャルファームさんじょうが入居している旧荒沢小学校(廃校)を使用。家庭科室や体育館などそのまま活用できる施設が残っているほか、隅々まで整備が整っているため、廃校といっても心配いりません。ちなみに、事前に連絡をすることでシャワーの利用も可能で、ランナーには嬉しいサービスも。
宿泊や食事については、民間事業者と連携して提供していくそうですが、今後は農家民泊を地域として開始する計画が立っている模様。まさに街全体を挙げたビッグプロジェクトとなっています。
<ランナーズ・ヴィレッジのポイント>
・既存の道を活用するため、ハード設備の投資が不要
・ランニング人口900万人が市場のターゲット
・農林水産省「農山漁村振興交付金」が活用可能
(事業構想大学院大学 ランナーズ・ヴィレッジ レポートより)
作ったコースはサイトへアップ! 今後の広がりに期待
ランナーズ・ヴィレッジのホームページでは、実際に三条市での取り組みが公開されており、ランニングコースもいくつかアップされています。
<公開されている三条市下田地域のランニングコース>
・【6km】三条しただをさくっと堪能!笹団子コース
・【7.5km】しただ郷の四季満喫周回コース
・【14.5km】上級者にも大満足!ハードに峠を楽しむ五輪峠コース
さらにサイトでは『拠点施設・立ち寄りスポット情報』も記載されており、思わず観光してみたくなる気持ちが高まります。気になる方は、ぜひチェックしてみましょう。
ランナーズ・ヴィレッジ構想は現在、新潟県三条市のみならず、長野県飯田市(ランナーズ・ヴィレッジ南信州飯田)など、そのフィールドを徐々に拡大しています。今後も地方創生のため、“ランニング”で廃れつつある田舎町を救ってくれることでしょう。
「ランニング×観光=地方創生」という新たな概念を定着させつつあるランナーズ・ヴィレッジ構想。休日を利用し、大自然の魅力がたっぷり詰まった三条市へ”ラントリップ”してみてはいかがでしょうか。きっと地元の方がランナーを温かく迎え入れてくれるはずです。
<参考>
ランナーズ・ヴィレッジ
ランナーズ・ヴィレッジ レポート(事業構想オンライン)