“身体の再教育”ってなに?「ロルフィング」がランナーに向いている理由

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身体の軸を調整するロルフィングってなに?

みなさん、お盆休みも走っていますか。旅行先や帰郷して、いつもと違うコースを走るのは新鮮で、ランニングが楽しくなりますよね。

ランナーが走っているときに意識しているものの一つに、重心があるかと思います。正しい重心移動ができれば、ケガを回避したり、身体のダメージを最小限にすることができます。地面を強く蹴り、常に足を前にだすような走り方だと、どうして足への負担が大きくなってしまいますもんね。「身体の重心の下に足をつくように走る」、このように重心移動すべき、とアドバイスを受けたこともあるでしょう。

ランナーにとって重心は非常に重要なポイント。身体の重心の軸が前に寄り過ぎたり、後ろ過ぎたり(なかには左右にズレる人も)していては、適切なステップを踏むことができません。一流のアスリートの姿勢を見ていると、競技外の時から姿勢が綺麗で、身体の軸が一本、しっかり入っていることがわかります。

今回は、そんな身体の軸を調整するロルフィングについて、考えてみたいと思います。

最近、注目されつつあるボディワークが「ロルフィング」。ヨガやピラティスと同じボディワークにくくられますが、これまであまり馴染みのあるものではありませんでした。とはいえ、身体を整えるために、ボディワークやマッサージに取り組むランナーはいたかと思いますが、これからは、ロルフィングを選択肢の一つにしてもいいでしょう。というのも、すでにロルフィングは、アメリカの一流アスリートをはじめ、俳優、作家、アーティストなど、自身と向き合う仕事に従事する人から、多くの支持を集めているのです。

そもそもロルフィングの歴史は長く、1950年にアイダ・ロルフ博士が考案。見た目はマッサージと近いものがあります。例えば、指先や肘を使って、筋肉と筋膜に圧をかける動きはマッサージそのもの。しかし、ロルフィングでは、マッサージのように身体のリフレッシュを目的としているのではなく、身体のバランスを整え、本来あるべきその人の力が発揮できるようにコントロールすることを目的としています。「身体の再教育」とも言われるロルフィングとは、一体、どのようなものなのでしょう。

ロルファーとして活躍する、「Rolfing House festa」の大友勇太さんにお話をうかがいました。

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受診側も能動的に動くロルフィングの不思議

ロルフィングの大きな流れは、施術者であるロルファーとの会話から始まります。自身の身体やコンディションについて、過去の怪我についても話します。何気ない会話の中からロルファーは身体に関する情報を集めます。

その後、姿勢や歩いている時のフォームをチェックします。これが面白いもので、筆者は身体の左半分が右半分に比べて沈んでいることが判明。一般的に、右利きの人は右半分が沈みがちとのことですが、右利きにも関わらず左半分が沈んでしまっていました。

これは週2回で取り組んでいるフットサルでのポジションが影響していることが、ロルファーとの会話からわかってきました(よく左サイドでボールを受け、左足に体重をかけてドリブルで駆け引きをしていました)。もっと詳しく対話していると、左足と右足の可動域の違いや、左腕と右腕の可動域の違いが。左足はやや外側に向いており、右足は内側寄り。動き出す際に、右側よりも左側の方がスムーズであると分析され、それに心当たりがあったりするので面白いのです。なんとなく感じていたことが、言語化されことは、自分の身体を知ることで大切なもの。

身体のチェックが終わると、実際に施術へと入ります。手技やムーブメント(動きを使った身体への教育)で、身体にアプローチが始まります。ここで勘違いしてはいけないのが、目に見えて派手なアプローチがあるわけではありません。マッサージやカイロプラクティックのように、手や肘を使って刺激を入れることもありますが、今回、私が受けた施術では、副交感神経を高めるもの。

人の身体は交感神経と、副交感神経で構成されているのですが、ストレスが高い毎日を過ごしていると、交感神経ばかりが高まってしまいます。そこで、副交感神経を高めるために、身体と心をリラックスモードに。ベッドの上に寝転んで上を向いて何もしないでいると、次第に身体と心がほどけていきます。しばらくするとロルファーが、そっと首筋に手を当てます。身体の他の神経がオフ状態になった中で、首筋だけに接触があるので、脳が自然とそのポイントを意識。

これこそがロルフィングらしい行い。というのも、ロルフィングはロルファーが一方的にアプローチするのではなく、受診側も能動的に動く必要があります(ここでは脳が首筋を意識すること)。こういった能動的な動きによって、人間が生まれ持った楽な身体や軸を再び取り戻すのです。

ロルファーの手は、首筋から腰、そして、肩に触れます。今回、行ったセッションはこれだけ。ですが、これで足や腕の稼働域が広がり、気分もリフレッシュ。心を解放することで、いろんなスイッチをオフにし、意識すべきポイントだけが反応し、身体が随分と楽になりました。また、軸が真ん中に戻った感覚も。施術前に歩くテストをすると、右足かかとに体重がかかっており、歩くたびに大きな音が出ていましたが、施術後は左右に音のバラつきがなく、スムーズに歩くことができました。短時間でこの効果ですから(個人差があります)、本来、10回にわけて展開されるロルフィングを全て受けてみたくなりました。

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ランナーにとってロルフィングを受ける理由とは

ランナーがこのロルフィングを取り入れるメリットがいくつかあります。人の身体には左右差があるので、まずはこれを認識することができます。ロルフィングでバランスが整うことで、身体の選択肢が増えます。走法でいうと、つま先での着地やフラットな着地など、色んな走り方を試し、自分に最適なものを発見することができます。

自身の身体から癖が消えるので、ランナーとしてニュートラルな状態に。シューズ・ウエアの選択肢がリセットされるので、道具選びの楽しさも出てきますね。シリアスランナーにとっては、身体が変わるので、これまで理解しにくかった指導者の言葉がスッと入ってくることも。

大友さんはウィンタースポーツの日本代表チームに帯同したり、このロルフィングが認知されつつあることを実感されているようです。ただ、まだまだロルファーが日本にはたくさんいるわけではないので(東京都内に60〜70人ほど)、少ない枠の奪い合いになりそうですね。

「身体の再教育」のロルフィング、一度、試してみてはいかがでしょう。

 

Rolfing House festa

■住所:山形県山形市七日町2-7-23 とんがりビル3F
■電話:090-2954-8207
■料金:10,000円/1回(90分)
■服装: Tシャツ、ハーフパンツなど

※ロルフィングの方法は、ロルファーによってアプローチが異なります。

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