「こんばんは攻撃」にライトセーバー!?夜回りランニングで地域を守るランナーへインタビュー
Jan 13, 2016 / MOTIVATION
Apr 26, 2019 Updated
誘導棒を手に持ち、道行く人々に「こんばんはー!」と声をかけながらジョギングする。
そんな集団が神奈川県逗子市にいます。
実はこれ、れっきとした地域活動『夜回り』の一環。
彼らは誘導棒を『ライトセーバー』、声がけを『こんばんは攻撃』と呼称しながら、とてもポジティブに夜回りを楽しんでいます。
経験者ならばお分かりになるかと思いますが、一般的に夜回りは、なかなか人が集まらなず継続させることが難しい活動です。
しかし、この『夜回りランニング』では、驚くことに他の市町村からわざわざ訪れる人までいるといいます。
今回は、そんな『夜回りランニング』に潜入してお話を伺いました。
想像以上に楽しい「夜回り」
2015年も終わりに差し掛かった12月29日(火)。
19時半に指定の集合場所を訪れると、すでに着替えを済ませたランナーたちが「妙な格好」でガヤガヤと集まっていました。
手にはグリーンに光る誘導灯、そして体には反射板のついたゼッケン。
皆さん、今にも走り出しそうなランニングウェアに身を包んでいます。
事前に概要を聞いていたため、この状況はすぐに飲み込めました・・・。
しかし、知らない人が見たら「一体なんの集団だ?」と思うような不思議な光景。
「はじめまして」と、隣町からの参加者の姿もあります。
さらに参加者をよく見ると、なんとプロトレイルランナーの宮地藤雄さんが!(写真右から3人目)
さっそく上級者コースとビギナーコースにわかれ、逗子の街へと繰り出します。
暗闇を走る姿はまるでエレクトリックランのように見え、思っていた以上に楽しい!
すれ違う人々には、全員で
「こんばんはー!」
「よいお年をー!」
と元気よく声がけします。
すると向こうからは、「いつもありがとう!」「ごくろうさま!」といった声が返ってきました。
夜回りランニング中は、先頭を走る地元のランナーさんが地元の案内をしてくれます。
近くの氏神様にご挨拶をしたり、イルミネーションスポットに案内してくれたり。
観光ランのような楽しみがありました。
一時期は海水浴客のマナーの悪さで話題になった、逗子海岸も夜回りしました。
こちらでは、夏にゴミ拾いしながら走ることもあるそうです。
偶然、海岸で別チームと合流!ということで記念写真をパチリ。
きっかけは、なかなか地域活動に参加できないモヤモヤ
このユニークな取り組みを主催するのは、『逗子30’sプロジェクト』のメンバー。
代表の田中美乃里さんに、活動を始めたきっかけを伺いました。
–そもそもこの活動、どのようにスタートしたのですか?
『逗子30’sプロジェクト』は、30代が中心になって地域活動を行う団体です。
でも、30代は仕事や子育てが忙しくて、なかなか平日昼間や土日の地域活動に参加できないことが多いんです。
それでいろいろ話し合っているうちに、
「ランニング好きのメンバーで、平日の夜に走っている時間を使えないか」
というアイディアが。
それが、『夜回りランニング』のはじまりです。
一緒に走る人がいれば、ランナーにとって継続するモチベーションになります。
それに地域にとっては、なかなか参加者が集まらない夜回りに人が集まるわけです。
しかも、歩くよりはるかに広範囲をパトロールできるから、これは一石三鳥だな!と(笑)
空き巣って、人がいたらやめるんですよね。
だから、みんなでワイワイ走っていれば、防犯に繋がると思っています。
–活動を始めたのはいつ頃ですか?
2013年3月から、毎月末の水曜日に行っている活動です。
ただし年末だけは、自治会の火の用心の日程に合わせています。
毎回8〜12名ほどが参加してくださって、そのうち1/3から半分程度が市外からの参加者。
「Facebookを見て知った」という方がほとんどですね。
基本的に、参加は強制していません。
来れる日に来たらいいというスタンスで行っていますが、天気などの都合以外では休まず継続できていますね。
“自分のため”が”誰かのため”に
–参加者からの反応はいかがですか?
「ランニングを継続するモチベーションになる」と言っていただけます。
中には、これをきっかけに走り始めたという方も。
逗子一丁目の自治会員ではないけれど、まるで以前からいたかのような感覚になるみたいです。
何より、これまで自分のために走っていた時間が、切り口を変えただけで「誰かのため」になるということが気持ちいいんですよね。
走り終わると、みんなものすごく喋ります(笑)
–今後は夜回りランニングをどんな風にしていきたいですか?
例えば「地域でパトロールしたいけど、年配の方ばかりで続かない」とか、「空き巣が増えている」といった課題がある地域に対して、『出張夜回りラン』をやりたいです。
ただし、どうしても毎回は行くことができません。
そのため、地元の方にコーディネーターになってもらい、その地域に自立したコミュニティを作るお手伝いができればと思います。
いろんな地域に夜回りランニングの支部ができて、曜日を変えてお互いに行き来できる関係になったら楽しいですよね。
ゴール後の飲み会も大事な要素
走り終わった後はコンビニで買い出し。
自治会館で交流会が開催されました。
この時間が大切で、「おしゃべりできる場を設けている」ということがこだわりのようです。
近くの居酒屋さんにランニングステーションの代わりになってもらい、荷物を置かせてもらうこともあるとか(もちろん、その後は感謝の気持ちを込めてたくさん飲むそうです)。
これならお店側は、たとえイベントに参加できなくても、「場を提供する」ことで地域活動に貢献できます。
そうしたメリットにも繋がるよう考えているとのことでした。
毎月末の水曜日に開催されている『夜回りランニング』は、誰でも無料で参加できます。
詳しくは、こちらの逗子30’sプロジェクトのFacebookページをチェックしてください。
あなたも、楽しく夜のパトロールに出てみては!?
今回走ったコースはこちらから
今日も元気にラントリップ!