フルマラソンで成功しない“山の神”。神野大地は川内優輝に勝ち、通説を覆すか!?

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今年の箱根駅伝が終わりはや3カ月。青山学院大学の偉業達成のほとぼりは、未だに冷めていません。4月に入ると各大学に新しい選手が入学。2017年度の勢力地図はどう変わるのか、注目が集まっています。

今回の箱根駅伝では、いわゆる「山の神」が不在でした。「初代・山の神」である今井正人さんをはじめ、「2代目」の柏原竜二さん、「3代目」の神野大地さんは、誰もが知る「山の神」と言えるでしょう。彼らに匹敵するようなランナーが出て来るのか、気になるところですよね。

そんな箱根駅伝で一躍有名になった「山の神」らは、実業団に進みマラソンに挑んでいます。しかし、なかなか思うような結果が出ていないのが現状と言えるのではないでしょうか。書籍『ランニングと栄養の科学』の著者であるニッポンランナーズGM兼ヘッドコーチの齋藤太郎さんは、自著のなかで「山の神がフルマラソンで成功しない理由」について語っています。

齋藤さんは、「微妙なフォーム感覚が勝負の行方を左右する」と指摘。つまり、一般的なマラソン選手と山のぼり専門の選手ではフォームが異なるのです。

箱根駅伝で第5区の選手を待ち受けるのは、大変傾斜のある坂。あれほどの坂をのぼるには、重心をかなり前にする必要があるのです。

「運動のベクトルは平地が前に行くのに対し、上りは斜め上に向けなくてはなりません。例えるなら、普通の電車とケーブルカーの違いです」(同書より)

確かに、平行四辺形のようなかたちのするケーブルカーは、重心が安定して上りにも強そうです。普通の車が山を上ろうとすると、重心が後ろにいってしまいますよね。箱根の坂にマッチし、圧倒的な強さを見せる「山の神」らは、いわゆるケーブルカーのようなランニングフォームの選手と言えます。これは持ってうまれたフォームでもあるので、なかなか平地で走るとなると大変。山のぼりのように圧倒的な強さが発揮できなくても、不思議ではないのです。

「着地1歩につき、わずか0.01秒のロスでも、フルマラソン全体では大きなロスになる」とも齋藤さんは語ります。

フォームの改善は「山の神」にとって向き合わなければならない宿命と言えるでしょう。しかし、コニカミノルタに所属する神野選手は充実した1年目を過ごし、2年目に突入。今年はいよいよ初フルマラソンに挑戦かというタイミングです。

既に青梅マラソンで30kmレースを経験した神野選手。現在は、ニュージーランドでの日本陸連・男子マラソン強化合宿に参加中。帰国後は、4月23日に開催される「ぎふ清流ハーフ」に出場する予定です。

ここでは、「最強の公務員ランナー」の川内優輝選手も出場を予定しており、注目の対決が実現します。神野選手が初マラソンに設定している12月の福岡国際マラソンでは、2時間8分台を目指しています。昨年の同レースで、日本人1位で2時間9分11秒で走りきった川内選手との対決は気になるところ。ここで勝利することができれば、「山の神もフルマラソンで通用する」と、これまでの評判を覆すきっかけになりそうです。

4月にはいっても、まだまだ注目のレースは続きます。今年も、マラソン界から目が離せないですよね。

 


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