マラソン世界王者・キプチョゲ選手とハッサン選手が語った“マラソンという過酷な競技”への向き合い方とは

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3月4日(月)、東京・銀座のNIKE GINZAでNIKEアスリートによるトークイベント『UNITE FAST TOKYO』が開催され、男子マラソンでオリンピック2連覇中のエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)と、東京五輪女子5000、10000m2冠で、昨年10月のシカゴマラソンで世界歴代2位の2時間13分44秒をマークしたシファン・ハッサン選手(オランダ)が登場。

さらにゲストで昨年10月のMGCで優勝し、今年のパリ五輪代表に内定している小山直城選手(HONDA)と、東京五輪10000m7位の廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)も参加してのアスリートトークセッションが行われました。

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トークセッションに参加する小山選手(左から2番目)と廣中選手(左側)

本調子とはいかず優勝を逃すも、大声援の東京を激走

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ハッサン選手(左)とキプチョゲ選手(右)

トークイベントでは最初に前日の東京マラソンを振り返ったキプチョゲ選手とハッサン選手。キプチョゲ選手は2時間6分50秒で10位に終わったものの、「優勝した2021年はコロナ禍で沿道の応援ができない状況でしたが、今回は最初から最後まで応援していただき素晴らしいレースだった。日本はお互いを思いやる心があり、東京はランナーの街だと感じた」と振り返りました。

一方のハッサン選手も、「シカゴマラソンの後に長い休養をとって、十分に準備をできなかった」と万全の状態ではないなか、2時間18分5秒のセカンドベストをマーク。「東京には陸上競技で素晴らしい思い出があり、ここにまた来られて嬉しかった。レース中は名前を呼んでくれる人もいて、とてもハッピーだったし、最後の10kmは楽しんで走れた」と語りました。

目標のレースに向けて、段階的に仕上げていく重要性を強調

続いて、ターゲットレースに向けたトレーニングプランのスケジューリングについてがテーマとなり、キプチョゲ選手は「4か月かけて準備をする」ことを明かしました。

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キプチョゲ「1か月目に、今後のトレーニングに向けてストレングス、フィジカルトレーニングを行って、そこから3カ月はランニング中心になります。そこではスピードラン、インターバル、ロングラン(30~40km)で積み重ねます。そのなかで、しっかりとスタートラインに立てるように、走る準備、マインドも整えていくようにしています」

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ハッサン選手も同じくフィジカルのベースを作ることを強調。そこから徐々にトレーニングの強度を上げていくとのことです。

ハッサン「まずは体づくり。軸がしっかり鍛えられていないと体が耐えられません。そこから最初はクロスカントリーを中心に体に走ることを覚えさせていき、少しずつトレーニングの強度を上げていきます。トレーニングは一貫性が大事で、繰り返すことで体だけでなく心も鍛えられると思います」

レースに向けてトレーニングを語るなかでは、レース前のルーティンについてもテーマに挙がり、キプチョゲ選手は「ルーティンはとくにないのですが、大切なのは落ち着いて集中すること。この4か月何をしてきたか自問自答を繰り返すことで、本番へのメンタルを鍛えられると思います」と語りました。またハッサン選手は、「直前は走る量を抑えて、準備してきたことを思い出していくことで自信を持つようにしている」とのこと。

キプチョゲ選手とハッサン選手ともに、シンプルでありながら王者でありつづけることの重みが伝わってくる言葉を発します。

頂点を極めた王者たちのメンタルコントロールは「前を向くこと」

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世界の頂点を極めてきた2人ですが、当然求めていた結果が出せなかったことも。そんな時の心の持ち方、メンタルのコントロールについて2人は、「前を向くことが大事」と口をそろえます。

ハッサン「若い時は失敗を受け入れられずに泣いたこともありました。それが年数を重ねていくうちに、上手くいかないこともあると悟りました。それでも毎日ベストを尽くすことが大事。成功しても、失敗しても、そこから学べることがあって、明日は新しい自分に会えるかもしれませんので、前を向いていくことが大事だと思います」

キプチョゲ「毎日がクリスマスじゃないと私はよく言っています。私たちは機械じゃないし、失敗することもある。100%トレーニングしても、思ったとおりにならないこともあるが、それがスポーツです。事実を受け入れて前へ進んでいくことが大事で、失敗をしても前を向いて動きつづけることが必要だと思います」

日本のマラソン発展への提言とメッセージ

さらに日本のマラソン界について、自身のマラソン哲学を交えながらの提言も。キプチョゲ選手は「マラソンは人生です。素敵なメリットもあれば、心にもプラスになることもある。その良さを子どもたちに伝えるのは大人の仕事。マラソンは苦しみを感じることもあるけど、終わったあとの達成感を感じてほしい」と期待を寄せます。

一方のハッサン選手も「子どもたちはまずスポーツを楽しんでほしい。運動は心にも体にも良いもの。辛い時にそれを忘れるのもスポーツがプラスになると思う。マラソンは良い時もあれば、辛い時もある。まるで人生のようで美しいものです」と同様の考えを明かしてくれました。

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そして、日本のすべてのランナーへ向けて、キプチョゲ選手が「仲間と一緒に走る感動を伝えて、ランニングを盛り上げていきましょう」と語り、ハッサン選手も「体を動かすのは良いこと。スマホは便利ですが、たまには置いて外に出て走りましょう」というメッセージを参加者へ向けて贈りました。

ナイキシューズの進化に感謝とさらなる期待も

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今大会ではともに、ナイキの最新レーシングモデル『アルファフライ 3』を着用した2人。近年のシューズテクノロジーの進化、そして今後への期待もトークイベントの中で明かしてくれました。

キプチョゲ選手が、「たくさんの人が良いシューズを開発してくれて、リカバリーも早くできる。ランナーにとっては良いことで、ナイキ、そしてランニングの未来は素晴らしいものとなる」と語れば、ハッサン選手も「エネルギーリターンもリカバリーも得られるようになれば、長く走れる。トレーニングもしっかりできるので、シューズを開発してくれることは素晴らしいと感じている」と、ナイキのシューズ開発に感謝の言葉を述べました。

今後もキプチョゲ選手とハッサン選手の活躍、そしてナイキのランニングシューズの進化から目が離せません。

商品詳細

ナイキ|アルファフライ 3

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出典:nike.com

価格:¥39,655(税込)

NIKE.COM

(文:田中葵/ 写真:ナイキ ジャパン提供)

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