20代で43ヵ国のマラソンを走破!海外マラソンコレクター・鈴木ゆうりさんがエッセイ「わたし、世界をはしってます」で綴った景色とは

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ランナーが走る理由は人それぞれ。フルマラソンで自己ベスト更新を目指して日々走り続けるランナー、景色を楽しみながら走りたい人、走ったあとのビールを楽しみにランニングを続けるランナーなどーー。

ランナーの数だけあらゆる目的や理由が存在するなかで、世界中のマラソンに参加するために走り続けるランナーがいます。20代で43カ国53ものマラソンを走ってきた海外マラソンコレクターの鈴木ゆうりさん。彼女の率直な言葉で綴られるエッセイ『わたし、世界を走ってます 20代で43カ国のマラソンを走って見えてきたこと』には、数々のレースを走破し楽しんできた軌跡が記されています。

ダイエットで走りはじめ、気づけば世界中のマラソンを走ることに

大学生のころ「痩せなければ」と決意し、ダイエットのためにランニングを始めた鈴木さん。その後、ハワイ旅行へ行った際、ひょんなきっかけからホノルルマラソンに参加し、はじめてマラソンを完走します。完走直後は「正直、もう走らない」と決意したそうですが、友人のある一言で前言撤回。悔しさに背中を押されて、すぐさま2度目の参加となるフルマラソンにエントリー。

ここからロサンゼルスマラソンやシカゴマラソン、バルセロナマラソンと海外のフルマラソンを立て続けに完走。社会人になり一度は海外マラソンに参加することから離れますが、あるときその高揚感を思い出し、会社を辞めて再び海外マラソンを走りはじめます。

エッセイのなかでは、シカゴマラソンやベルリンマラソンをはじめランナーであれば1度は聞いたことのある大会から、日本人が走りにくることが噂になる大会まで様々なエピソードが紡がれています。また、赴いた先々で現地の人々と出会い、背中を押されながら走っていく様子に読者であるこちらも感情が動かされるのです。

また、8年にわたる時間は決して順風満帆だったわけではなく、好きなことを続けるためにもがく姿やコロナ禍により海外マラソンを走ることが閉ざされた時期の苦悩も。

走るという行為が世界を広げていくこと

“ランニング”という存在が鈴木さんのなかで変化していくことにも本書を読み進めると気付かされます。そのことを強く感じるのが、ルワンダやイラク、シリアで開催されるマラソンへ参加した描写。

危険だというイメージとは裏腹に、現地では穏やかな景色やマラソンで人々から温かい応援が送られる光景を目の当たりにする彼女。マラソンを通じて「人種も何もかもが違うけれども、その身を思いやり、心を通じ合わせることには、国境も何も関係ない」と気づかされるのです。

世界中のフルマラソンを走ってきた鈴木さんの文章を通して、自身のランニングの楽しみ方からこの瞬間世界で起きているできごとまで、多くのことを深く考えさせられるエッセイです。

日々走る、多くのランナーに読んでもらいたい本書。マラソンシーズンが佳境を迎える今だからこそ、手に取ってみてはいかがでしょうか。

書籍情報

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出典:tokuma.jp

『わたし、世界を走ってます 20代で43カ国のマラソンを走って見えてきたこと』(鈴木ゆうり著、徳間書店)

価格:¥1,760(税込)

(文・写真:木幡真人)

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