ランナーが求めるウェアづくりを目指して。Runtripオリジナルランニングジャケット制作スタッフが語る第3弾モデル制作へのこだわり
Oct 16, 2023 / COLUMN
Dec 18, 2023 Updated
2021年の発売から、毎年アップデートを重ねてきたRuntrip Storeオリジナルアイテム『THE RUNNING JACKET』。2022年に登場した第2弾モデルは機能面から素材に至るまであらゆる点に工夫を凝らし、多くのランナーから好評の声をいただきました。
2023年はさらに細かな改良を重ねたTHE RUNNING JACKET第3弾モデルの発売を予定しています。Runtrip Magazineでは、ランニングからデイリーユースまで装いを楽しめるオリジナルランニングジャケット作りの過程をご紹介します。果たして、今作はどのような仕上がりを見せるのでしょうか。
第1回となる今回は、THE RUNNING JACKETの制作を担うアパレルOEM『バスターズカンパニー』スタッフ・春田創志さん(画像右)とRuntrip Storeスタッフ・橋口(画像左)による対談をお届け。第2弾モデルが完成するまでの制作秘話から第3弾モデル制作への意気込みまで、詳しく伺いました。
試行錯誤したランナーの求める「ランニングジャケット」づくり
ーーランニングジャケットづくりはどんなきっかけからスタートしたのでしょうか?
春田:ラントリップさんとランニングジャケットの制作に至ったのは、前任の担当者のときに連絡を取っていたんですよね。その担当者がランニング好きで、会社まで走ってきたり、帰宅ランをするようなランナーだったんです。その趣味の延長というか自分の好きなことをものづくりに活かしたいというなかで、ラントリップさんにお声がけして次第にランニングジャケット制作がスタートしました。
橋口:ラントリップを見つけていただいてありがとうございます(笑)。ラントリップとしてはこんなものを作りたいというイメージはあるのですが、アパレルの知識がないので「こんなのできませんか?」とよく相談しています。春田さんには第2弾モデルから担当していただいていますが、「こういう素材がありますよ」とか「こういうことだったらできますよ」と素材の提案や形、細かいところまで相談に乗ってもらえて助かっています。
ーー春田さんが携わり始めたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
春田:前任の担当者が退社するタイミングでラントリップさんの担当になりました。担当していないものでもサンプルの共有は受けているので、当時から新しいランニングのブランドという話は聞いていました。担当が変わるときに、メンズのアパレルを担当することが多かった私に決まりました。前任がランナーとしての知見が深かっただけに、ランナーが求める便利なもの、良いと感じるものに応えられるのか不安でした。
制作を進めていくなかで、次第にこういうふうにした方がいいという改善やアイデアが少し見えてきたように思います。
橋口:私も多くのランナーに納得してもらえるウェアづくりという点では非常に悩みました。ランニングジャケットは価格も高いアイテムなので、どのくらい反応があるのかヒヤヒヤしながら販売まで漕ぎつけた記憶があります。ラントリップのスタッフには様々なスタイルのランナーがいるので、第2弾制作の際には前作の改善点や意見をスタッフどうしで考えていきました。そのプロセスのなかで、春田さんから客観的な視点で提案していただけたのはとても心強かったです。
春田:そう言っていただけると嬉しいですね。
橋口:春田さんへ相談するとかなり細かい部分を調整していただけるのがありがたくて、改善したいイメージを伝えるだけで「それならこうした方がいいですよ」とか「ここは何cm伸ばすといいです」という具合に提案してもらえるんですよね。毎回「それでお願いします!」と返して、安心しきっていました(笑)。
ランニングから普段使いまで着こなせるシンプルさを求めて
ーー具体的に微調整していったポイントはどのあたりでしょうか。
橋口:第2弾を作るにあたってこだわるポイントをどこに置くのかという悩みがあって。ランニングではもちろん着られるけれど、普段使いもできるシンプルさを追求した生地選びをしたかったんです。とはいえ、どの生地がいいのか分からないのでざっくりとしたイメージを春田さんに伝えると、ものすごい数の生地のなかから「こんな生地がいいと思います」と提案してもらえたことが本当に良かったです。
サイズ感も微調整を重ねたポイントで、たとえば第1弾ではSサイズを私が着てみると丈や袖が長く感じたんです。そこで、Sサイズだけ長さを微調整してみたり、ちょっと幅を変えてみようかと検討を重ねました。
*第2弾モデルは、環境に優しくサステナブルで、そのまま走りだせる機能性を兼ね備えた『Onibegie®(オニベジ)』を使用
春田:ランニングは動作が大きいので、長さを削りすぎてしまうとそれはそれで窮屈に感じるんですよね。そのバランスの見極めは難しかったですね。
橋口:ウォッチホールを開けてランニングウォッチを出していても、手を出さずに着てもちょうどいい丈感。そんなところも気にしながら作っていきましたよね。
ーーいろんな要望を出して作り上げていったと思うのですが、春田さんはどういう視点で意見を出していきましたか。
春田:私自身ランナーではないのでランナーの動きを想像するなかで考えることしかできませんが、基本的にどの服を着ていても歩く、走る動作は日常的に行われてる行為なんですよね。たとえば、街中を歩いたり、通勤したりするなかでもそういうヒントが落ちている。汗をかいたときに蒸れにくいとか、雨に濡れたときにどうかという延長線上であれば「こんな感じかな?」と想像できるんですよね。できるだけ、ランナーの動きや環境を想像して、体感して寄り添って作るプロセスを意識しました。
春田:また、ラントリップさんからの要望も理に適っているものばかりでとても勉強になりました。素材選びはたくさん品番がある中から、条件に照らし合わせて選んでいくとかなり絞られてくるものでもあるんです。「街で着ても、普段使いしてもかっこいいジャケット」という要望があったので、機能面とビジュアルという観点の両方を満たすものを徐々に絞り、橋口さんも同じ生地を良いと言ってもらえたのは嬉しかったです。
橋口:私がイメージで伝えていることの感覚を春田さんは理解してくださって、候補の生地を7、8個に絞った段階から話し合う際にも春田さんが「これがいいと思っています」とおすすめしてくれる生地と私の感覚が一緒になるケースがほとんど。深く理解してもらえた分、その軽さやストレッチ性と見た目のかっこよさの両立にたどり着けたと思います。
細部に至るまで工夫が必要なランニングウェア
ーー春田さんが制作していくなかで、ランナーについて気づきを得たのはどんな点でしょうか?
春田:自分は登山が好きなので登山用のウェアが自宅にはいくつかあるんですけど、ランニングウェアと登山向けのウェアは似ているようで全く異なると制作に関わって実感しました。ランニングは激しい動きを繰り返すので、発汗量も多くて通気性の良さや動きやすさが求められます。具体的には、ベンチレーションや通気性を良くするための機能が登山向けのウェアとは違いますよね。
コンパクトなウェアに必要最低限の仕様を詰め込むミニマムな機能性が必要なんです。ポケットにスマートフォンを入れたときに登山向けのウェアであれば、形の崩れや動いたときの揺れを気にしないけれど、ランニングは走ったときの揺れが気になります。そうした点を知っていくうち、ランニングジャケットづくりはかなり難しいものだと気づかされました。
橋口:春田さんは様々なことに気づきを得ていて、話すたびに私も勉強になるんです。そういうことを考えるのが好きだからヒントを見つけられるだろうなといつも思っています。
春田:もちろん、すべてが正解ではなくて間違ったヒントもたくさんあるので、試行錯誤の連続ですね。
オリジナルランニングジャケット第3弾へのこだわり
ーー昨年完成した第2弾は非常にクオリティーの高いアイテムになりましたが、第3弾に向けてこだわりやハードルに感じているポイントはありますか?
春田:ランナーが快適に感じる着心地は今回も求めていきたいです。前回の第2弾が実際に購入された方やラントリップさんから好評いただいているので、次に求められているものを作っていくとなるとハードルも大きくなってきますね。第2弾は最初にサンプルが上がってきた時点で私のなかでも手応えがあったので、完成に近いんですよね。作り上げて良かったと感じているので、改善してほしいという声があったら、私の方が聞きたいです(笑)。
橋口:第2弾は“仕上がった感”がとてもありましたよね。それでも、細かい改善点は浮かんでいて、第3弾のランニングジャケットはさらにランナーが走りやすいものを作れるように考えています。もうすぐ最初のサンプルが完成するので、ドキドキやワクワクを感じているところです。
春田:同じくドキドキしています(笑)。
橋口:選べる生地や機能を含めてランナーが求めてるものを作れるラントリップだからこそできることを求めて仕上げて作っていきたいです。
春田:そうですね。作りながら、ラントリップのランニングジャケットのオリジナリティとは何だろうと常に考えています。張りのある生地はランニングウェアのなかでは、あまりないんですよね。アクティビティもシティーユースのどちらもできるということは十分なオリジナリティではないでしょうか。
橋口:たしかに、登山向けのウェアに近いデザインですよね。
ーー最後になりますが、春田さんから見たRuntrip Storeの魅力はどんな点でしょうか。
春田:こうしてアイテムを制作する裏側をストーリーとして届けている点だと思うんです。私は裏方というか、あまり脚光を浴びることのない立場なのでインタビューしていただく機会はほとんどありません。この生地を使った、こんな方が生産しているという情報がコンテンツとして読めるのは実際にオンラインで買う上で、とても面白くて。これだったら買いたいと思うんですよね。こういったことを発信していることが、自然にRuntrip Storeの魅力に繋がっていると感じます。
橋口:春田さんにそう言っていただけると本当に嬉しいですね。Runtrip Storeでは、購入した方からの意見や感想を近い距離でいただけることが多いんです。Tシャツやジャケットをはじめ生地の肌触りをとても好評いただいていて、丁寧に情報を届けていくことが大切なんだと実感します。ものづくりにおける難しさはありますが、制作してくださる方たちと一緒に作っていく面白さは日々感じています。それが少しずつ反映されて、物ができていくのは本当にありがたいですね。
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ランナーに寄り添った機能性から素材選びまで、細部までこだわり抜いてTHE RUNNING JACKETの制作を担う春田さんの想いが深く伝わってきた今回の対談。穏やかな語り口調でありながら、その言葉には春田さんが良いものづくりをしたいと制作に向き合う姿が垣間見えました。
THE RUNNING JACKET第3弾モデルの発売に向けて、引き続き改良を重ねていく予定です。Runtrip Magazineでは今後もオリジナルランニングジャケット制作の裏側をご紹介していきますので、ぜひ読んでみてくださいね。
【制作ストーリー#2はこちら】
【制作ストーリー#3はこちら】
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