【超厚底】ランニングシューズ4選！ソール40mm超「夢のシューズ」の特徴・機能性をシューズアドバイザーが解説
May 11, 2023 / SHOES
May 11, 2023 Updated
厚底シューズ全盛の昨今において、各メーカーから登場する超厚底シューズにも注目が集まっています。世界陸連の規定では非公認シューズに位置付けられるモデルも市民ランナーにとっては大きな武器にもなります。
そんな気になる超厚底モデルの特徴をRuntripお馴染みのシューズアドバイザー・藤原岳久さんが徹底解説。藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わり20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、現在も走るシューズアドバイザーです。
「超厚底」はメーカーの技術が詰まった“夢のシューズ”
大森：『超厚底シューズ特集』ということで、今回は4ブランドから超厚底と呼ばれるランニングシューズを集めました。アシックスの『SUPERBLAST』、アディダスの『ADIZERO PRIME X STRUNG』、ニューバランスの『FuelCell SuperComp Trainer』、ナイキの『エア ズーム テンポ ネクスト%』です。
藤原：一言で言って面白いシューズですよね。各メーカーのやりたいことがすべて詰まった特徴的ものばかりです。市民ランナーにとっては、40mm以上の制限（※1）はあまり関係がありません。市民ランナーにとっては“夢のシューズ”。どのシューズも1回はレースで履いてみたいですね。
（※1）世界陸連の規定により公認ロードレースではソールの厚さが40mmを超えるシューズは使用することができない。
大森：各ブランドによる最新のテクノロジーや素材を詰め込んだシューズという感じですね。
推進力抜群の「FuelCell SuperComp Trainer」
大森：まずはニューバランスの『FuelCell SuperComp Trainer』です。どんな特徴のシューズでしょうか。
藤原：こちらはENERGY ARCというプレートがかまぼこ状に作られていて、着地時にたわんでバネのように弾みます。そこにFuelCellミッドソールによる反発が加わり、推進力をしっかり感じます。重量は300gほどありますけど、機能満載。思ったよりも重さを感じません。
大森：ソールの厚みは47mmとボリューム感がすごいですね。
藤原：その厚さがあるから面白さがあると思いますね。海外の市民ランナーの着用率はかなり高いですね。
最厚50mmソールで高レスポンスの「ADIZERO PRIME X STRUNG」
大森：次はアディダスの『ADIZERO PRIME X STRUNG』です。こちらも海外では着用率が高いシューズですよね。
藤原：前作の『ADIZERO PRIME X』はアッパーの剛性が少し弱かったんですが、今回はSTRUNGアッパーに変更されたことで改善されました。
大森：剛性はかなり上がった感じですか。
藤原：上がりましたね。STRUNGは「引っ張る」「張る」という意味なんです。
大森：確かに引っ張り合っている感じがアッパーのデザインを見ても分かりますね。厚さは50mmと今回紹介するシューズの中でも一番厚底ですが、走り心地はいかがでしょうか。
藤原：非常に前へ進みますね。プレートはアディダスお馴染みのカーボンバー『EnergyRods』を搭載しているんですが、表面にも樹脂状のプレートが入っていて、まさに2枚刃。これが着地するタイミングで柔らかさと同時にエネルギーリターンを感じます。
大森：どんな走り方でもそれは感じられるんでしょうか。
藤原：かかと着地だと不安定さを感じてしまうかもしれませんけど、2枚刃の効果で推進力がすごく感じられます。
大森：反発の返りが速いんですね。
超厚底のパイオニア「エア ズーム テンポ ネクスト％」
大森：ナイキ『エア ズーム テンポ ネクスト％』は久しぶりの登場です。
藤原：超厚底カテゴリーの先駆者ですね。
大森：ナイキの最新テクノロジーが本当に全部詰め込まれているなって感じるシューズですよね。
藤原：ZoomXやReactフォームにズーム エア ポッドも使っていて、ラーメン食べに行って“全部盛り”にするような感じのシューズで、市民ランナーでも愛用者が多いですよね。
大森：確かに履いているランナーをよく見かけます。
藤原：このカテゴリーを見た時に、テンポネクストが一番クセがあると思います。けど、上手く使いこなせると反発力はかなり高いですよね。
扱いやすいノンプレート厚底シューズ「SUPERBLAST」
大森：そういう意味ではアシックスの『SUPERBLAST』、こちらが一番クセがない超厚底シューズという感じでしょうか。
藤原：ミッドソールの計測部分は37.5mm（最も厚い部分は40mm以上）となっていますが、『METASPEED』シリーズと同じFF BLAST TURBOがふんだんに使われていることで、クッションとスプリングが非常にエネルギッシュな走り心地を生んでいます。
大森：このシューズだけフォーム素材のみで、プレート非搭載ですよね。
藤原：そういう意味でも「私には手が届かない」とか思わずに、1足持っていると扱いやすいシューズだと思いますね。
2足目以降のシューズとして自分の走りに合った選択を
大森：1つ1つ特徴を見てきましたが、比較するとどうでしょうか。
藤原：テンポネクストを使っている人は、それよりもクセがない残り3つにも手を出してもらうと良いと思います。
大森：逆にテンポネクスト以外を使っている人は、同じカテゴリーという意味でテンポネクストを履いてみても面白そうですね。そのほか選ぶ基準はどうでしょうか。
藤原：マイナス面はあまりないですが、『FuelCell SuperComp Trainer』はちょっと重い、『ADIZERO PRIME X STRUNG』はちょっと値段が高いですね。
大森：推進力の観点から見ると、『ADIZERO PRIME X STRUNG』、『FuelCell SuperComp Trainer』、『エア ズーム テンポ ネクスト%』、『SUPERBLAST』という順でしょうか。
藤原：そうですね。『FuelCell SuperComp Trainer』はプレートの入れ方によって非常に推進力を感じます。『ADIZERO PRIME X STRUNG』はレースで履いてみたいと思えるほどのシューズです。
大森：超厚底シューズはどんなランナーにおすすめですか。
藤原：これらは1足目に選択するシューズではないと思います。しかし、面白いシューズを1足欲しいと考えている方にはぜひ履いてほしいカテゴリーのシューズだと思います。
各メーカーが持っている最新のテクノロジーを余すことなく盛り込んだ超厚底シューズ。気になっている方はぜひ藤原さんの解説を参考に試してみてはいかがでしょうか。
1.ニューバランス｜FuelCell SuperComp Trainer
・価格｜¥24,200（税込）
2.アディダス｜ADIZERO PRIME X STRUNG
・価格｜¥36,300（税込）
3.ナイキ｜エア ズーム テンポ ネクスト％
・価格｜¥24,200（税込）
4.アシックス｜SUPERBLAST
・価格｜¥22,000（税込）
あわせて読みたい
藤原 岳久さん
FS☆RUNNING（旧藤原商会）代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長，販売歴20年以上
ハーフマラソン：1時間9分52秒（1993）
フルマラソン：2時間34分28秒（2018年別府大分毎日マラソン）
NO.
RUNTRIP
HEALTH
FASHION
ITEM
COLUMN