「仲間を見つけて変われた」海外のランニング文化に触れる#3【南米チリ】
Feb 21, 2020 / MOTIVATION
Mar 10, 2020 Updated
東京オリンピックまで、もう半年を切った。オリンピックには、世界中のアスリートが日本を訪れる。プロアスリートはメディアに取り上げられることがあるが、海外の市民ランナーは毎日何を思い、走っているのだろうか。そこで、海外の市民ランナーに彼らの挑戦やそれぞれの国のランニング文化をインタビューする。
1回目は北アフリカのチュニジア在住のジャベルさんから、ランニングクラブの事情や故障に向き合う姿勢、そして、サハラ砂漠の蜃気楼レースについて聞いた。2回目はアメリカ・カリフォルニア在住のサバさんの話を通して、自分に無理なプレッシャーをかけず、生活の中へ上手にランニングを組み込むライフスタイルについて教わった。
今回ご紹介するのは、南米チリのランナー、ジャヴィエラさん。可愛らしい笑顔の裏には、ランニングと人生にポジティブに向き合う姿勢があった。
ジャヴィエラさんが住んでいるのは、チリの首都サンティアゴ。チリは、スキーやハイキングからマリンスポーツまで、様々なアウトドアスポーツを楽しむのに最適だ。活動的な彼女は、週末に都会を離れて郊外やビーチにも足を運ぶそうだ。
チリでランニングは人気?
「近年、チリはランニングに恋をしています」
チリにも到来したランニングブーム。最近では毎日朝夕問わず、いたる所でランナーを見かけるそう。多くのフルマラソン、ハーフマラソンも開催されている。例えば、チリで代表的なシティーマラソンであるサンティアゴマラソンや広大な自然の中を駆け抜けるパタゴニア・インターナショナルマラソンなど。
次に、お気に入りのランニングスポットについて聞いてみた。
天候が良いことで知られるチリの南部にラントリップをしたり、『海辺のワイン畑』という名称を持つ中部の都市ビニャ・デル・マール(Viña Del Mar)を走ったりするのがお気に入りだそう。ビニャ・デル・マールは、チリのビーチリゾート地として人気を博し、世界中から観光客が訪れる。白い砂浜とエメラルド色の海を眺めながら、長い海岸線を走るのは気持ちよさそうだ。
父親の影響
ジャヴィエラさんがランニングを始めたのは、15歳の頃。フルマラソンに向けてハードなトレーニングをこなす父親と一緒に走り始めたのがきっかけだった。一緒にランニングを繰り返すうち、父親の趣味がいつしか自分の趣味になっていったのだ。
「私が走り続けるのには、いくつもの理由があります。健康に良い、走ること自体がとても楽しい、新しい友達を作る良いキッカケになる、など……。シューズとウェアさえあれば、旅行中や仕事終わりに簡単に走れるのもお気に入りの理由のひとつ。ランニングを通して、新しい挑戦ができるところも大きな魅力です」
ランニング人生を変えた失恋
単なる趣味だったランニングに、より一層真剣に向き合い始めたのは2016年。きっかけは失恋だった。
「長く付き合っていた恋人と別れたときに、TYMというサンティアゴのランニングクラブに所属することにしたんです。クラブに所属することによって、恋以外のことに集中でき、素敵な新しい仲間と出会えました」
仲間からアドバイスをもらい、お互いを高めあえるランニングクラブの環境に感動したのだという。人生の大きな変化の時期をランニングと仲間が支えてくれた。新しいスタートで心機一転し、それまで趣味として楽しんでいたランニングのギアを入れ替えたのだ。現在では、週に3回のランニングとその他の日のスポーツジムでのトレーニングも行っている。
メンタルの挑戦でもある
「ランニングは、私にとって大きな挑戦です」
それは体力や記録においての挑戦というだけではない。良い結果を走り続けるのには、強いメンタルが必要だという。一番のチャレンジは、目標に向かって継続的に努力することだ。走っている間だけでなく、トレーニングや食事・睡眠などにも気を配る。
モチベーションを保つには?
そんなランニング好きのジャヴィエラさんだが、常にモチベーションが維持できているわけではない。やる気が起きないときは、トレーニングパートナーやランニング仲間と一緒に走ることが一番のリフレッシュ。仲間といると、疲れているときやトレーニングが思い通りに行っていないときも乗り切れるのだ。仲間と出会い、ランニング人生が大きく変わった様子がうかがえる。
「走れないときは、無理せずに歩いてもいいし、何らかの形で身体を動かせば、身体も心もヘルシーでいられるんです」
ジャヴィエラさんへのインタビューで印象に残ったのは、身体の健康だけでなくメンタルのケアに気を使っていることだ。彼女がハッピーで居続けるには、仲間の支えが欠かせない。
最後に、日本のランナーの皆さんにメッセージを
「日本のランナーの皆さんへ。ランニングは人生の縮図だと思っています。調子のよい日があれば、そうでない日もある。モチベーションが上がらなかったり結果が出なかったりする時期があっても、経験から前向きに学ぶことさえできれば楽しく続けていけます。いつでもどこでも手軽に楽しめるランニングを通して、ぜひあなたの住む街の新しい一面を発見してください」
遠い海の向こうで、晴れの日も雨の日も、仲間と共にランニングを楽しむジャヴィエラさん。ランニング仲間の大切さを改めて感じた。
ジャヴィエラ・コボ・スウィーグマン (Javiera Cobo Zweegman)
南米チリ・サンティアゴ在住のランナー。ランナーである父親の影響で15歳から走り始める。週に3回6~10キロ走っている。お気に入りのランニングスポットは、雨上がりの地元サンティアゴ。モットーは、人生の小さな新しい発見を大切にし、成長し続けること。ランニング以外にも旅行やアウトドア好き。