2日分の食料・テントを背負い挑むレース「OMM JAPAN」の魅力

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山を遊び場とする気骨あるランナーにとってはメジャーレースとも言える『OMM JAPAN』。OMMとは、現在のアドベンチャーレースの起源にもなったイギリス発祥のレースで、その初開催は1968年(当時は、有名ブランドKarrimorが主催していたKarrimor International Mountain Marathonが大会名)にさかのぼる。名実ともに世界最古と言える山岳耐久レースだが、その特徴は走力のみならずナビゲーション能力や野営技術など、まさに『山の総合力』が試されるもの。そのため、エイドポイントはなく、選手たちは2日分の食料やギアなどをすべて背負い、地図とコンパスのみを頼りにゴールを目指さなければならない。

例年同様、カテゴリは大きく分けて『Straight』と『Score』の2つ。

Straight:オリエンテーリング方式を取り、CP(コントロールポイント)を指定された順番に回り、所要時間を競うカテゴリー。今大会よりクラスは(上級者から)ELITE、A、Bとあり、それぞれ距離もCP配置も異なる。

Score:ロゲイニング方式を取り、一定の制限時間の中でより得点の高いCPを獲得するために自由にルートを選択しながら進むカテゴリー。約20ヶ所程度あるCPの得点は異なり(例えばCP1は30点、CP2は10点など)、正確なナビゲーションとルート戦略が鍵となるカテゴリー。

2019年11月に開催されたレースでは、最難関であろうStraight ELITEにエントリー。双子ランナー・高橋兄弟が走ってくれた。2年前のOMM JAPAN 2017 NOBEYAMAから練習を積み、大会ごとにクラスを1つずつ上げてきたが、上位争いにはまだまだ力不足。昨年のOMM JAPAN 2018 OKUMIKAWAでも痛い目にあっている。今回はその様子を振り返る。

■昨年の大会に参加した様子はこちらから

前夜祭

「霧ヶ峰エリアのポテンシャルは感じていて、数年掛けてやっと開催までたどり着くことが出来た。ゆえに、昨年と遜色ないレベルでコース設計している」とは大会運営者。毎回、開催地にはこだわりが見える。

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高尾ビールとUPHILL BURRITO

早めに就寝して翌日に備えた。

OMM JAPAN 2019, DAY1スタート!

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朝起きると、OMM日和と言えないほどの快晴(というのも、OMMは悪条件でのレース開催を好む傾向がある)。しかし、『完走』を目指す双子チームには嬉しい限り。朝食と準備を済ませ、スタートラインへ。

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スタート直前、MAPとにらめっこ。

開始1分前、ここで初めて獲得すべきポイントが記載されたMAPを手にすることが出来る。目の前に広がっていたのは、想定していた中で最も恐れていたルートパターン!直線距離にして21.7km、制限時間10時間というものだ。「移動距離がそんなに短く済むはずがない」と言い聞かせ、8時15分覚悟のスタート!

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DAY1のMAP

オレンジで塗りつぶされているスキー場付近は、全て立入り禁止区域。CP1は道なりのため順当に獲得。しかし、問題はここから。一気に最南端CPへ向かう!ロードとトレイルをメインに、時にオフトレイルで結び、多少の迷いはあったもののスタートから2時間かけてCP2を獲得。

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CPを順調に獲得

ここまで読図能力の向上を実感していた。今大会のエリアの特徴なのか、『ヒント』が昨年よりも多く見受けられ、特別迷う心配がなかった。

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しかし、問題は走力。昨年に習うなら「読図しながら60kmは間に合うのか」ということが頭をよぎり、更に制限時間は10時間。ここで、『日没』という別の不安がでてきた。実力的にそれは絶対に避けなければならない。ということは、日没の17時頃にはどれだけ最終CP付近にいられるかが重要となる。つまり、「各CPをどれだけ早くさらっていけるか」にかかっていた。

次はCP3。状況から自然と『最短』かつ『負担の少ない』ルート選択をするように。すると、そこからCP7まで順調に獲得し不安とは裏腹に、予定よりも1時間以上早く到着することができた。

しかし、ここでまさかの事態が発生。双子の1人が体調を崩し出したのだ。よくよく聞くと、大会前週に1週間の中国出張で空気汚染の影響で体調を大幅に崩していた。床に就いている必要もあったのだが、自らの結婚式もあり、その後も仕事が残っており、十分な休暇を取れずに大会に臨んでいたのだ。

「それはキツイ……」と思うなか、顔面蒼白で今にも倒れてしまいそうな状態に。

次のCP8~11のルートから展開される勾配や距離。決して簡単ではないコースと残された自分たちの体力。この状況をどう捉えるかもこのレースの醍醐味である。言葉にすれば簡単だが、実際に現場に身を置いているとできないのが『DAY1, DNF(Did not Finish)』だ。しかし、私たちはこれを受け入れることにした。徒歩で、DAY1のGOAL地点へ。

 

雲ひとつない快晴と、赤と黄色に光輝く木々。『完走』できない虚しさを抱いた2人の背中とのコントラストが目立つ1日目となった。

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早めに帰ってきたこともあり、回復するための時間も食事もゆっくり取れた。そのおかげで顔色も回復傾向。「明日は走れるかな」そんな期待を胸に早めに就寝。

DAY2、スタート

DNF(失格チーム)は6時スタートのため、余裕を持って朝4時半起床。標高1,600mは氷点下の世界。外気にさらされた木々や靴が凍っていた。朝食の味噌汁が、身に染みる。そして、体調はすこぶる良い様子。「今日は行けそうだ!  」。

余裕を持ってスタートラインに立ち、定刻でスタート!

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DAY2のMAP

数分走ると、昇りかけの太陽と幻想的な風景が広がっていた。

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早々にCP1を獲得し、その後もDay2はヒントが見えやすいエリアだった。多少の間違いはあるものの、すぐに修正し、迷いなく最終エリアまで攻めることができた。途中、毎度この大会でお会いする男子チームと遭遇し、ルートチョイスを褒めてもらう。

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Day2序盤ではトレイルランニングで有名な選手がいるペアと交錯するも(2日間の合計で順位が出ない関係で)ほぼ歩いていた私たちのほうが早くゴールすることができた。なんとなく読図力が向上したことを実感。結果的にDay2は男子チーム10位。強豪が30チーム以上集まる中で、まずまずの結果を残すことができた。「来年こそは2日間合わせて完走しよう」と振り返る。

霧ヶ峰&車山高原のポテンシャルに感動

目標としていた『Straight ELITE完走』は達成できなかった。悔しさを感じる一方で、読図が向上しているという手応えも。

ただ、それ以上に感じたことは、今回の霧ヶ峰&車山高原エリアは過去に参加したOMM JAPANの中でも最高の遊び場だったということ。南東を見れば八ヶ岳連峰、南アルプス、富士山。南西には中央アルプスが見え、北西を見れば雪化粧した冬の装いの北アルプス。

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大会中は地図とにらめっこすることが多いが、ふと見上げれば雄大な景色に囲まれている。その美しさにふと力の抜ける瞬間も。2日目のゴール手前の車山高原から見える山々は、優しく参加者を向かえいれているようだった。きっとこういうロケーションを運営側は毎年探し回っているのだろう。細かなこだわりを随所に感じることができた。

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ちなみに、同レースの入門版のイベント『OMMLITE/BIKE』が2020年7月に長野県白馬エリアで開催される。これまた自然環境に恵まれた場だ。入門イベントのため、テントや食料をすべて担いでレースに挑む必要はないが、それなりの準備も必要。毎回、エントリーが埋まってしまう同レース。早めのエントリーをオススメする。

 

   
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