ランナーの夏バテ予防に『茄子』。からだを老化から守り生活習慣病の予防にも
Aug 12, 2019 / FOOD
Sep 05, 2019 Updated
毎日猛暑が続く夏真っ只中。毎日気温が30度以上に上がり、大量の汗をかく時期になりましたね。そんなときこそ「外側からも内側からも、しっかりとケアをしてコンディションを整えたい! 」というランナーは多いはず。
国際中医薬膳師でフードコーディネーターの荒井直子さんが『ランの前後に摂るといいオススメ食材』を紹介する連載です。
8月のテーマは、夏バテ予防にオススメの食材『茄子』。
夏バテ予防に
長かった梅雨の分を取り返すかのような強い陽射しの日が続いています。夏が来て嬉しい反面、この暑さには疲れを感じる人も多いのではないでしょうか。
『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉が示す通り、ここから9月下旬まで厳しい残暑が続くことが予想されます。疲れを翌日に残さないよう、上手にケアしていけたらいいなと思います。
熱中症予防として、先月『スイカ』をご紹介しました。
高い気温や強い陽射しへの対策として、引き続きスイカもおすすめですが、長く続く暑さによる夏バテには『茄子』をおすすめしたいと思います。
皮ごと食べたい茄子
少し前まで、茄子にはあまり栄養がないと思われていましたが、近年の研究で、茄子にも栄養があることがわかりました。
特筆すべきは『ナスニン』という成分。皮の紫の部分に含まれる成分で、強い抗酸化力があり、コレステロールの酸化を防ぎ、からだを老化から守ってくれます。また、茄子のアクの部分にはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれ、生活習慣病の予防と改善に効果があると言われています。
他には、葉酸、カリウム、ビタミンKなどが含まれます。ビタミンKは、あまり聞きなれないビタミンかもしれませんが、血液サラサラに必要な、意識して摂りたい成分です。このように、茄子にもたくさんの栄養があります。
薬膳ではどういう食材?
茄子は、鎮痛や消炎の薬として、古くから漢方薬としても使われてきました。夏の間、知らず知らずにからだの内側には熱が溜まっていきます。茄子は、その熱を取り除くのに、とてもおすすめの食べ物です。また、弱った胃の働きも助けてくれるので、夏バテで食欲が落ちている人にもおすすめです。
但し、冷やす力が強いので、食べ方には工夫が必要で、胃が弱い人が胃を冷やしてしまうと、さらに消化力が落ちてしまう可能性があるので、温める力があり消化も助けてくれる『生姜』と一緒に食べるようにしたいですね。焼きナスは、ぜひ、おろし生姜と一緒に食べてください。生姜たっぷりの麻婆豆腐などもおすすめです。
茄子は、むくみも解消してくれるので、湿度の高い時期にむくみが気になる人にもおすすめなのですが、『むくみやすい人=巡りが悪い冷えやすい人』ということも多いので、この場合も食べ方には注意しましょう。巡りを助けてくれるスパイス類と一緒に食べるのが良いので、カレーやスパイシーな炒めものなどで食べると良いですね。
「秋茄子は嫁に食わすな」の意味
昔から「秋茄子は嫁に食わすな」と言われてきました。解釈には諸説ありますが、茄子は冷やす力が強いので、からだを冷やしてはいけない人、特にこれから妊娠、出産を控える人は、涼しい秋風が吹き始めたら、その食べる量、食べ方には気をつけてもらいたいと私も思います。季節が秋に変わったら、漬物や冷たい料理で茄子を食べるのは控えましょう。(暦のうえでは、立秋を過ぎ、季節はすでに秋に変わっています)
“茄子を食べること自体を控えるかどうか” について言えば、今は、昔より暑い(この言葉がつくられた頃と比べて、ずっと暑い)ので、暑さが続くうちは、まだまだ茄子を食べてもらいたいなと思います。一部繰り返しにはなりますが、からだを冷やさないようには、生姜やにんにく、ねぎといった『からだを温めてくれるもの』と一緒に食べるようにしましょう。ちょっとの工夫が、からだを快適に守ります。
手作りにこだわらない
夏の時期は、ただでさえ疲れやすいので、手作りをがんばりすぎると、料理自体がストレスにもなりかねません。疲れている時は、無理に手作りにこだわらず、外食や市販のお惣菜も上手に活用しましょう。
幸いにも、茄子は外食でも摂りやすい食材です。茄子を使った中華の炒めものや、茄子入りトマトソースのパスタ、お味噌汁や天ぷらでも良いですね。お好みのスタイルで食べてください。
お惣菜で買うなら、茄子の煮浸しや揚げ浸し、麻婆茄子、茄子が入った夏野菜のトマト煮などを選ぶと良いですね。また、私がおすすめする手抜き法としては、買ってきたお惣菜に茄子を足す!
最初に、茄子だけの炒めものを作って、そこに市販のお惣菜(中華の肉野菜炒めや、麻婆豆腐など)を加えて一緒に炒め、お好きな調味料で味をととのえます。こうすることで、茄子たっぷりのメニューが簡単に出来上がります。
上手に手抜きをして、暑い夏を元気に乗り切りましょう!
(写真 福田邦久/フードスタイリング 平岩紗千代)