参加自由・参加費無料のRUNセッション『トラックマフィア』ってなに?

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ピンクのキャップを被っているのは、ロンドンマラソンの沿道で仲間の写真を撮っているコーリーさん。スタート地点でも、ゴール前でもないが、沿道はものすごい盛り上がり。

2007年に東京マラソン、2011年に大阪マラソンという定員3万人を超えるビッグレースがスタートした。その盛り上がりに比例してか、この10年ほどで日本のランニング人口は増加したと言われている。事実、皇居や代々木公園、駒沢公園、砧公園などをランナーが走っている姿は、東京で当たり前の風景になった。

世界の別の都市はどうなのだろう。東京マラソンと同じくワールドマラソンメジャーズの1つであるロンドンマラソンは、チャリティ枠の多さから、1回の大会で90億円を超える寄付金が集まる。1日開催のチャリティイベントの寄付金額として、ギネス記録も保持している。そんなロンドンマラソンの開催地、ロンドンのランナーたちはどんなランニングライフを送っているのか。ロンドンマラソンの開催直前に発表されたナイキの新たな “厚底” シューズ『ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%』の発表にあわせてロンドンのナイキタウンで行われたトークイベント後、ナイキのランコーチであり、トラックマフィアというランニングクラブの創立者であるコーリー・ワートン=マルコムさんに話を聞いた。

誰でも参加できるランニングクラブ

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コーリーさんがトラックマフィアをスタートしたのは、2012年のこと。

「トラックマフィアは、僕と当時は友人だった今のガールフレンドのジュリア、それから今はロンドンを離れてニューヨークに戻ったジャギーの3人で始めたもの。2012年当時は、トラックでスピードセッションをするランニングクラブがないと言っていい状況だったんだ。僕が働いていたオフィスのすぐ近くにトラックがあったから、『トラックセッションをやろうよ』と友人たちに声をかけたのがきっかけ」

現在のトラックマフィアの活動は、毎週木曜日。18:30〜20:30の2時間が練習時間になっている。

「トラックマフィアを始めた頃は、トラック練習をするようなランニングクラブがなかったから、僕らはトラディショナルなやり方ではなく、できる限り科学的で効果的に取り組んでいるんだ。今は、2マイル(約3.2km)ほどウォーミングアップで走って、25分〜30分ほどのドリル。そこからトレーニングに入るっていうのが基本的なやり方だね」

トラックマフィアは会員制ではなく、参加自由。参加費も無料だ。
「予約制でもないし、事前にEメールで連絡をする必要もないんだ。どんな人でもウェルカム。僕らのセッションに参加したいと思ったら、来たいときに来てくれたらいい。トラックマフィアをスタートして以来、『誰でもウェルカムだよ』って言い続けているから、参加費も無料のまま。もし参加費を発生させたら、『誰でもウェルカムだよ』って言えなくなってしまうからね」

ロンドンでは、ランニングがより身近なものになっている

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ロンドンマラソン前に、『ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%』の発表にあわせてナイキタウンで開催されたモー・ファラー選手のトークショーで、MCを務めたコーリーさん。インタビューは、このトークショーの後に行った。

1回のセッションの参加人数は、30〜60人程度。男女比は6対4ほどだそう。トラックマフィアはなかなかの大所帯だが、ロンドンのランニング人口自体は増えているのだろうか。

「ロンドンのランナーは、年々増加傾向にあると思う。いくつか理由は考えられるけど、人々がメンタルヘルスに関してとても真剣に考えるようになったというのが、大きな要因の1つじゃないかな。メンタルを健康に保つためには、適度に運動することがとても重要。職場とは別の何らかのコミュニティに属していることも、メンタルヘルスには良いこと。ランニングはこの2つを簡単に解決することができるから、ランナーが増えているんだと思う」

そして、ロンドンではランニングが従来よりもアクセシブル、つまり近寄りやすいものになっている。

「インフルエンサーとも言われる影響力のあるポジションにいる人にランナーが増えていることも、ランナー増加の促進力になっているし、特別な人間でなくてもランニングを楽しんでいいという考えが一般の人に浸透し始めているんだと思う。すべてのランナーが、例えばモー・ファラーのような体型である必要はないし、速く走る必要もない。年齢だって関係ない。以前は、ランナーは自分とちょっと違う人、近づきにくい存在だと考える人が多かったかもしれないけど、今は誰もがランナーになっていいと考える人が多いと思う。本当の意味で、ライフスタイルとランニングがクロスオーバーしてきているんじゃないかな。ランニングウェアやシューズも随分かっこよくなったしね」

若い世代にはシティランニングが人気

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リージェンツパーク、ハイドパーク、セントジェームズパーク、グリーンパークといったランナーが多く美しい公園があり、テムズ川沿いも走るのに適している。ロンドンは、ランニングを楽しみやすい街である。

「公園は、信号がないから長距離走に適しているよね。レース前の長距離練習や、ランチタイムのトレーニング、ランニングクラブの練習会などで利用している人は、とても多いと思う。ただ、僕は街の中を走るのが好きなんだよ! 信号機が赤に変わって方向転換するのも、人混みを走るのも、アップダウンも、階段も、楽しいし、いいトレーニングになるからね! ランニングイベントでグループランをするときも、目に入ったものを何でも利用するんだ。道が広くなったらペースを上げてみたり、行き止まりがあればそこを往復して簡単なインターバル走をしたり、階段を駆け上ったり。若い世代は、シティランニングを好む傾向があるね。自分の住んでいるところ、コミュニティのあるところを走ることに心地よさを感じているのかもしれない」

コーリーさんが関わるランニングイベントは、面白さ、楽しさを大切にしている。

「ランニングって正直言って退屈でしょ(笑)既にランニングを好きな人にとっては、そんなことないんだけど。興味を持ったばかりの人や走ったことがない人には、とにかく楽しんでもらいたいからね。例えばショッピングセンターを1フロア貸し切ってそこを走ったり、フットボールのスタジアムや地下駐車場、ゴーカート用のコースなんかでもイベントをやったことがあるんだけど、普段走れない場所を走るって、それだけで楽しいでしょ? そういうイベントだと、若い世代も興味を持ってくれるんだよ」

確かに、ショッピングセンターやフットボールスタジアムを走ってみたい! そして、若い世代とのコミュニケーションは、コーリーさんが大事にしていることの1つだ。

「トラックマフィアやランニングイベントに参加してくれた若い世代と、会話することを大切にしているんだ。どんなことに興味があるのか、どんな仕事をしたいのかとかね。僕らにできることであれば、彼らにチャンスをあげるようにしている。モデルをやってもらったり、イラストを描いてもらったり。ランニングを通して、若い世代の人生を変えるというか、ともに何かをクリエイトしようとしているんだ。ランニングは、幸いなことにあらゆるスポーツに関わるし、世界中の色々な場所や人と繋がることができるものだから。走ることで、その先に大きなネットワークがあることを感じてもらいたいんだよ」

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(文 神津文人)

   
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